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183匹目 グッバイ今世!!

今回はキリのいい所まで進めたかったのでちょっと長めです。

ただ今回中には確実にユウを殺しますんで!お待たせしてすいません!今回、今回中には必ず息の根を止めてみせますんで!テトメトにお任せください!!

 

 カチャカチャカチャ……ガチャン。


「にゃぁ」

「ノゾミすげぇ……」


 猫語翻訳機の持ち合わせが無い俺達は、あれからボディランゲージでなんとか意思疎通を図り、ノゾミが抱っこして欲しいと伝えていることを読み解くことに成功した。

 俺のお腹とノゾミの背中がくっつく形で抱き上げた後、ノゾミのナビゲートに従い鍵の掛かっている小さな扉の鍵穴にノゾミのお手手が届く様に高さを合わせると、あとは鍵穴に爪を突っ込んでカチャカチャガチャンとあっという間に鍵を開けてしまった。


 ノゾミ先輩マジパネェっす!流石っす!抱っこされてぷらぷらしてる後ろ足が超キュートっす!ちょっと肉球むにむにさせてほし「んにゃ!」痛い!顎に頭突きされた!もふってした!幸せ!


「にゃぁん」

「へいへい。探索を続けますよ~」


 俺の顎にロケット頭突きを決めたノゾミが空中で器用に身を捻り、俺の体をよじ登って肩の上から「進みなさい」とご命令なさってる。

 まぁ、猫の手じゃドアノブを捻るのは難しいだろうしね~。ご命令の通りに進みますよっと。

 扉を開く音は俺達にしか聞こえないだろうけど、勝手に開く扉は目撃されるからな。偶然風で開いたんですよ~って体を装って……よし。脱出成功!


 さてさて、隣の部屋はどうなってるのかな~っと。


「ん?んん?あ、あれは……宝箱!?わ~!」

「にゃぁ!」


 右から左へと見渡す様に視線を動かしていた俺だが、小部屋の中央にデン!と置かれている如何にも財宝が入ってそうな金ぴかの箱を見つけて全力ダッシュで確保に向かう。周囲確認(クリアリング)なんぞ知った事か!だってボス鍵とか入ってそうな感じのピカピカの宝箱だぞ!?このゲーム始まってから初めて見つけた宝箱なんだぞ!?これが向かわずにいられるか!


「なにが出るかな♪なにが出るかな♪」

「にゃにゃにゃにゃんにゃん。にゃにゃにゃにゃん♪」


 宝箱の中身はノゾミも気になるようでウキウキした様子を隠そうともせずに宝箱が開くのを今か今かと待ち構えている。

 さてさて、それじゃあ早速開けますか!と思い、ガッ!と宝箱の蓋を掴んで力を込める。


「ふんぬ~!むぎぃ~!そお~い!」

「……にゃぁ?」


 ビクともしねぇ……!!

 蓋が開かないどころか微動だにもしねぇ。床にくっ付いてんのかな?これじゃあ箱ごと持ち帰ってボーパルに蹴り壊してもらう事も出来ないな。

 というかなんでこんなに蓋重いの?もしかして何かしらの謎を解いてテレテレテレレレン♪しないと開けられないタイプなの?……あっ……


「……鍵かかってる……」

「にゃぁ……」


 よく見なくても宝箱の正面にでっかい鍵穴ついてるわ……これ飾りじゃ無かったんだな。てっきりそういう模様だと思ってた。

 でも、まぁ。鍵がかかってるというだけならば……


「助けてノゾえも~ん!」

「にゃあぁ~……」


「しょうがないにゃぁ~。ご主人は私が居ないと何にも出来にゃいんだから~」みたいなやれやれ顔でノゾミが宝箱の前に陣取ってカチャカチャやりだした。

 無能なご主人ですまんな~って返事はたぶん間違ってるんだろうな。なんかノゾミ楽しそうだし。いつもありがとな~って言っとこう。


「さて、ノゾミが鍵開けしてる間に部屋の探索するか~」


 ん~っと。この部屋は武器庫……なのかな?にしては置いてある武器は疎らだけど。

 武器スタンドは壁じゅうにあるのに置いてある武器は剣と槍が数本ぐらい……これ、残りは全部ウサギが持って歩いてるって事?そこそこのスペースがあいてるぞ……?これはやっぱり俺とノゾミのタッグじゃカチコミは無理だな。うん。

 それで、こっちの袋の中身は……石?実は爆弾岩だったりするかも。鑑定!……うん。ただの石だな。ゴミじゃん。


 カチャン。


「にゃあ」

「お。開いたのか?さっすがノゾミ!頼りになるぅ~!」


 宝箱の前でちょこんとお座りして、心なしか誇らしげな顔をしているノゾミのネコミミをもふもふしたらプイッと顔を逸らされた。

 ……でも顔を逸らすだけでその場から動きはしないんだな~。と思っているとノゾミは顔を背けたままチラッと流し目で「どうしてもご主人がなでなでしたいなら。撫でられてあげてもいいのよ?」って感じのアイコンタクトをしてる。

 かわいい奴め。俺がどうしてもなでなでしたいからもふらせてね~。あごの下もかいかいしてやろう~。うりうり~。


「にゃむ」

「あ、もう満足した?そう……」


 ノゾミにもふもふしてた手をペシっと叩き落されて、するりと俺の手の中から抜け出したノゾミがスタンドの天辺までするすると登り、俺の手の届かない高い所で毛づくろいを始めた。


 ノゾミはいつでもマイペースだなぁ……まぁ。そこがかわいいんだけどね!


 さて、ノゾミとのスキンシップもとったところでお楽しみのお宝の確認といきますか!


「とぅ!」

「にゃぁ~」


 今度はたいして力を込めるまでもなく豪奢な宝箱の蓋がぱっかりと開き、その中に隠されていたお宝を俺達へと現した。


「おぉ~~~!……おぉ?」

「にゃ~?」


 金銀財宝かはたまた退魔の剣でも入っているんじゃないかとドキドキしながら開けたんだが……

 中に入っていたのは金銀財宝どころか、ダンジョンマップですらなく、たった1振りの―――


「ウサミミハンマー?」

「にゃむ」


 だった。

 全体的にピンクピンクした女の子らしいハンマーなんだが、T字のハンマーの天辺に生えてる片方が折れてるウサミミ以外にもあっちこっち出っ張った形をしている。有体に言えばトゲトゲハンマーだな。ファンシーな色合いやウサミミとは反して殺意の高い形状をしていらっしゃる。

 ま、まぁ。ちょっとどうかと思うデザインだけども、これだけ豪奢な宝箱に入ってるんだし、きっとハイスペックなんだろう。俺達のパーティでハンマーを使うやつはいないが、きっと高く売れるぜ。

 と思い、ウサギが最後に装備していたからか片手で掴める程度の大きさのハンマーを手に取った瞬間。状況を飲み込む間もなくそれらは連鎖的に起こった。


 持ちあげるハンマーにくっ付いている様に一緒に持ちあがる宝箱の床面。

 底面が少し持ちあがり、”カチッ”という音がすると同時に”ビー!ビー!”と砦中に響けと鳴り響く警報。

 どこから湧いて出たのか狭い部屋内にわらわらもふもふと溢れるお揃いの兵服と槍をもったウサギの軍団。

「え、……え?」と困惑する俺の声。

「にゃぁ……」と呆れた様にため息を零すノゾミ。

「きゅい!」という叫びと共に四方八方から俺を串刺しにするために突き出された槍の群れ。


 ……うん。とりあえず1つ分かった事がある。(トラップ)だこれ!!?

 宝箱の底に感圧板なんか仕掛けるんじゃないよ!!初見殺しにも程があるでしょう!!ちゃんとチュートリアルでこの宝箱には罠があるよって書いておいてよ!


 ……まぁ、それじゃあ罠の意味が無くなるけどね。あ~、今更だけど石の入った袋はこのためにあったのか。分かるかそんなもん!ぶーぶー!


「「「「きゅい!」」」」


 あ~、これは詰んだな。もはや何も出来ないレベルで詰んだな。後はノゾミに槍が向かないうちにさっさと死ぬ事ぐらいしか出来ないか。

 となれば覚悟を決めて一歩を踏み出すしかないな。


 苦笑いを浮かべて俺を包囲するウサギの槍衾へ向けて一歩踏み出した俺は、次の瞬間には全身に槍を突き立てられて意識が暗転した。

 消える視界の隅で見たノゾミは元々高い所に居たおかげもあり、怪我は無いようだな。よかったよかった。


 さて、それじゃあ……グッバイ今世!!


 -------------------------------------


「ハロー来世……っと。もう今世か」


 次に意識が浮上したのは始まりの町の教会だった。ここに来たのも久しぶりだなぁ……できればもう来たくない所だが。


「えっと、まず。ノゾミ達は……うん。全員召喚可能状態だな。よかったよかった」


 ノゾミの生死だけが心配だったんが、無事だったようで何よりだな。

 となると気になるのは持ち帰ったウサミミハンマーだな。

 ……持ち帰ったよな?うん。ちゃんと傍らに落ちてる。ストレージに仕舞う暇は無かったからな。俺の持ち物判定されるかちょっと不安だったんだが、宝箱からゲットした時点で俺の物になってたみたいだな。

 危うく、何の成果も得られませんでしたぁぁぁぁぁ!!状態になる所だったぜ。セーフ!


 それじゃあ早速鑑定っと。


【武器:槌(両手装備)】ウサギ印の龍鱗の破城槌 レア度?

 攻撃力+100(0) 命中-20 重量10 耐久値700

 龍のウロコを鍛えて作られた強力なハンマー

 物質に対して高い特効能力を持っており、その一振りは城をも砕くと言われている

 ウサギの刻印が刻まれている

【効果】

 物質特効:極

 セットスキル:キャッスルクラッシュ

【ウサギの刻印】

 種族【ウサギ】以外が装備時、攻撃力×0

 種族【ウサギ】が装備時、装備者の敏捷×0.3攻撃力上昇(少数点以下切り捨て)


 えっと……あっと……うん?え?こんなの……どうしろと?


 他にプレイヤーもNPCも居る教会の中で、思わずポカンと口を開けて呆けてしまった俺はきっと悪くないだろう。


 ただ……他のプレイヤーにもこのハンマーを鑑定出来る機会を与えてしまったというだけで。

もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。


Q.えっと・・・あっと・・・うん?え?こんなの・・・どうしろと?

A.前々回に載ってるボーパルのスキルを見てみると・・・あら素敵な2文字の単語が書いてありますねぇ(白目)


ユウが死んじゃったのでかわいいノゾミとの2人旅はおしまいです。あ~ぁ。

次回からはボーパルが復活!やったね!

次の話はボーパルの無双かフィアちゃんとイチャイチャか悩み中~。新しいゲームを買ったのでちょっち遅れるかも。すまんね。

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