181匹目 ランダムテレポート
日付を飛ばす宣言をしたはずなのになぜこの人は次のイベントを発生させてるんですかねぇ・・・?
キャラが勝手に動くのはよくある事。マップが勝手に変わるのもよくある事・・・?
《召喚モンスター:ノゾミがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
ノゾミ チャームソングキャット
Lv37 → 38
体力 10
筋力 16
敏捷 30 → 31
器用 65 → 66
魔力 32 → 33
精神 24 → 25
スキル
隠蔽 気配察知 夜目 登攀 歌唱 魔唱 魅了 回避 耐寒 幻惑耐性 混乱耐性 二枚舌
「……なぁ、ボーパル。アレなんだと思う?」
「きゅい?きゅい……きゅきゅい!!」
あ、うん。ボーパルに聞いた俺が悪かったね。何言ってるか分かんないや。でも、この戸惑いを共有できる言葉の分かる人間がこの場に居なかったから致し方なし。
「きゅい!きゅい~……きゅい?」
「あぁもう!ボーパルはかわいいなぁ!!」
「きゅい!?」
俺のハテナ顔を見たからか、わちゃわちゃもふもふとボディランゲージを続けた後に「分かった?」って感じで小首を傾げたボーパルがかわいすぎてやっぱり何も伝わらなかった。でもかわいいからいっか!
さて、なんで俺が丘陵の真ん中でボーパルを顔中でもふってるのかと言うと、ウサギの集団をばったばったとなぎ倒しつつ進んでいた俺達の先に明らかに異質な建造物的な物が見えたからだ。
元々起伏の変化が大きめの丘陵の中にあって一段と高い高台の様になっている場所に建っているその建物はどう見ても……
「……砦……だよな」
「きゅい!」
砦であった。
一番高い山の天辺で、全方位を警戒するように建っているその建物は遠目からでも堅牢な様子が見て取れる。
とはいえ、エリアの真ん中にドンと砦が建っているだけならそんなに問題は無い。なんか面白そうな建物だな~ぐらいの感想でノコノコ向かった事だろう。では何が問題なのかと言うと……砦が建っている場所がマップの端っこのボスエリアの辺りっぽいんだよなぁ……
……つまりあそこにボスが居ると?もしくはあの砦自体がボスであると?うわ~、面倒くさいなぁ……
仮にあの砦の制圧がこのエリアのボス戦だたと仮定した場合、ぱっと思いつく攻略方法は3つぐらいかね……
1.まずアイギスが正面から突っ込む。次にボーパルが正面から突っ込む。最後にみんなで正面から突っ込む。完璧な脳筋作戦。もはや作戦とはよべないけれど、一番分かりやすい。
2.イナリと俺のセットスキルの隠形を使ってこっそり侵入してボスを暗殺するスニーキング作戦。多分これが運営の考えてる攻略方法じゃないかな?問題はバレた時がヤバイ事と、ボスが何処にいるのかさっぱり分かんない事だ。一番高い所に居てくれたら分かりやすいんだがなぁ……
3.ボーパルブラスターで砦ごと吹き飛ばす。問題は小山の天辺に砦があるからボーパル号を取り出したりしたら絶対にバレて総攻撃を喰らう事と、それで勝っても全然嬉しくない事だな。ボス戦の達成感が0だわ。まぁ、今までもそんな事は多々あったけども。
「とりあえず今日のところはこれ以上近づくのは止めておこうか。ボスエリアに捕らわれたら逃げれなくなるし、ボス戦する気分でもないしね。今度ミヤヒナに双眼鏡か望遠鏡でも作って貰って、もちっと偵察してから挑もうか」
「きゅい!」
というわけでボーパルと2人でいそいそと小さな丘を下りてりてアイギス達と合流。来た道を戻りながらのレベル上げ作業に戻った。
まぁ、作業とは言ったが、このFWOは昔のRPGの様に格下相手なら○ボタン連打してれば勝てる様なゲームじゃないから、一戦一戦気合を入れてないと危ないんだけどね。
仮にさっき遠目で見つけた砦にボスが居るとするなら、そのレベルはエルダートレントのLv40を10上回るLv50って事で、今のままじゃちょっと敵わないからもっとレベルを上げないとな~
まぁ、しばらくボス戦に挑むつもりは無いから無理をする必要も無いけどさ。
「んじゃ、のんびりまったりレベル上げしますか~。出来れば毛皮や肉以外のレアリティが高いアイテムをドロップしますように……」
「きゅい?」
「んにゃぁ~ぉ」
フルバーストでMPが切れたティーニャと交替で召喚したノゾミの暢気な欠伸に迎えられた俺たちは、砦を見つける前とやる事が変わってない事もあり、ウサギと2、3戦する頃には砦の事などすっかり頭の隅に追いやられていた。
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《プレイヤーがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
《召喚モンスター:ボーパルがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
ユウ クロスサモナー
Lv41 → 42
体力 20
筋力 13
敏捷 31 → 33
器用 20
魔力 60 → 63
精神 50
スキル
杖Lv32 蹴りLv25 空歩Lv12 召喚魔法Lv31 火魔法Lv12 水魔法Lv42 付加魔法Lv22 鑑定Lv33 → 34 ダッシュLv25 回避Lv32 防御Lv7 耐寒Lv8 耐暑Lv5 毒耐性Lv1 幻惑耐性Lv42 夜目Lv21 錬金術Lv1
奥義
共鳴召喚Lv3
最大共鳴可能時間 3分
ステータス共鳴値 10%
最大共鳴スキル数 3
再使用待機時間 24時間
《スキルポイントを2点獲得しました。SP8 → 10》
ボーパル 月兎
Lv41 → 42
体力 20
筋力 67 → 70
敏捷 67 → 69
器用 15
魔力 20
精神 20
スキル
月光合成 槌術 ボーパル流格闘術 空間察知 ダッシュ 壁面走行 空中機動 月光走行 未来予測 回復魔法 幻惑耐性 混乱耐性 暗中模索 環境適応
「……それが、なんでこうなったし……」
「んにゃぁ……」
微妙な起伏の影に身を隠す俺が、そぉ~っと覗いた先では殆ど目と鼻の先の近さにある巨大な防壁がデンと鎮座しており、反対側に顔を向けるとボスエリアの境界を示す殆ど透明のバリアが俺達の退路を塞いでいる。
「……うん。詰んだな」
「にゃむ」
既に半ば諦めモードに入っている俺達がなんでこんな所に居るのかというと、大体は俺達の正面でボスエリアのバリアに弾かれて目を回しているウサギの所為だと断言できる。
このウサギ、名前をジャンピングラビットって言うんだが、てっきり高く跳べるウサギとかそんな感じだろうと思って油断していた俺の正面に空間をジャンプして現われ、俺に触れて俺ごと転移。
俺の肩に乗っていたノゾミ以外のみんなを置き去りにして跳んだ先がこの場所で、ジャンピングラビットは着地と同時にボスエリアから弾き飛ばされてすぐそこで伸びてる。
まったく。テレポーターとか厄介にも程があるんですけど。確かにレベルは40超えてて強いなーとは思ってたけど、パーティから孤立してボスエリア送りとか流石に酷すぎない?初見殺しにも程があるよ!後で運営に抗議しとこうっと。
何が酷いってボスエリアに入ってしまったから召喚魔法が使えない事なんだよな。ボーパル達は距離が離れすぎて強制送還されてるし、俺とノゾミの戦闘力皆無コンビで砦を攻略してLv50のボスを倒せと?なにそれ無理ゲー。これは確実に死んだね。
「……はぁ。こうなったからには仕方ない。折角だからちょっと偵察していきますか」
「にゃぁ~?」
ノゾミが「えぇ~?」みたいな声上げてるけど、このままここに居てもいずれ見つかってやられるだけだからどの道死ぬしか無いんだって。
俺の隠形があれば見つからない様に移動するぐらいは出来るはず。たぶん。きっと。恐らく。メイビー
「あ、そうだ。大切なことがあった」
「にゃん?」
隠形を発動させ、いざ向かうかと言うタイミングで、浮かせかけた腰を降ろした俺の肩に乗っていたノゾミが、立ち上がる反動で落ちない様にと突っ張っていた手をすっぽ抜けさせ、不思議そうな顔をして小首を傾げてる。かわいい。でもおひげがこしょばい。だが、それもまた良し。
「ノゾミが死にそうになったら遠慮無く俺を盾にして逃げてくれ」
「にゃぁ?」
頭にハテナが浮かんでいる様子のノゾミだが、これは大事な事だ。
なにせノゾミと俺ではデスペナルティの内容が大きく異なるからな。
俺は死んでも残高が少ない金とレベルアップしたばっかりで微かしかない経験値をちょびっと失って、碌に使ってもいないステータスが1日減るだけだが、ノゾミが死んだら丸1日ノゾミを召喚出来ないからな。
ノゾミ無しでの戦闘も可能ではあるが、そもそもノゾミが死ぬときは遅かれ早かれ俺も死ぬしな。なら俺だけが死んで召喚解除された方がいいに決まってる。
「にゃあ!」
……ということをノゾミに説得したら元気の良い返事をもらってしまった。う、うん。一応俺の望む結果にはなったんだが……なんだろう、この寂寥感は。
今回は死ぬのも想定内というか、デスルーラする気満々だし別にいいんだけどさ……もうちょっと俺を大切にしてもええんやで……?
「それじゃあ行くぞ。潜入開始だ!」
「んにゃぁ」
まずはバレない様に防壁に張り付くところからだな。山の天辺にあるとはいえ、斜面はなだらかだし隠形があるからなんとでもなるだろう。たぶん……
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
最近出番が少なめのノゾミとぶらり2人旅(敵対砦への潜入任務)
ちなみにジャンピングラビットの転移は視界内の半径5M以内に自分1人だけが跳べる物と同じエリア内のどこかにランダムで自分の触れている相手と一緒に跳ぶものの2つで両方24時間に1回です。
だとしても結構チート級だけど、ボーパル達と同じレベル40台だからね。それぐらいはやってくるよ。ただ、ボスエリアに転移するのは修正はいって次から無理になる予定だけどね。
それじゃあまた次回。でわでわ~




