177匹目 あの頃ウィアナちゃん
テトメトの脳内会議の結果シルフはお留守番に決まりました。
ユウ以外のキャラが居ると進行速度が著しく落ちるからね。仕方ないね。
「……ところで、リーンちゃん。ウィアナちゃん。精霊樹を見てくれ。こいつをどう思う?」
「「すごく……小さいのじゃ(です)……」 」
「「「~~~……」」」
嘘おっしゃい!どうみても昨日見た時よりも倍ぐらいの高さになってるじゃん!俺の家の一部が飲み込まれてるって!森の家みたいでオシャレな感じになってるから!陽当たり最低だけど!
「……はぁ。もういいよ。なんか切り倒すには絶望的なサイズになってきたしここまできたらどこまで大きくなるのか気になってきたしね」
「のじゃ!わらわもそう思ってたのじゃ!」
「「「~~~!」」」
「……私は悪くないです」
一瞬前まで「しゅん……」としていたリーンちゃんとドリアード達が、俺の言葉を聞いた途端目と顔を輝かせて精霊樹へとダッシュしていった。
……そんなにお世話したいのかね?まぁ、ドリアードなんて木の世話が存在理由みたいな妖精だし、リーンちゃんは精霊だから精霊樹には特別な思いがあるのかな?分かんないけど。
そしてウィアナちゃんは自分に非は無いとばかりに顔を逸らしている。まぁ、実際ウィアナちゃんに出来る事ってゾウさんジョウロでの水やりぐらいだもんね。ちなみにゾウさんジョウロは家の倉庫に落ちてたらしい。レン君達のサービスかな?
「ジ~……」
「……」
ウィアナちゃんは一切悪くないのは分かっているけど、目を逸らす仕草が可愛かったので横顔をジ~っと見つめてみる。
俺は黒髪だけど金髪もいいな~。白いほっぺもほわほわで柔らかそうだし~。と見つめていると、チラッと横目で俺を確認したウィアナちゃんがプイっと体ごと回転して俺に背中を向けてきた。
なんかかわいかったので俺もウィアナちゃんの周りを追いかけて回り、また横からジ~っと見つめるとウィアナちゃんもまたチラッと俺を見てからプイっと体ごと回転した。
……
ジ~。プイっ。ジ~。プイっ。ジ~。プイっ。ジ~。プイっ。ジ~。プイっ。ジ~。プイっ。
「きゅい?」
同じ所でグルグル回っている俺達が不思議だったのか、ボーパルが精霊樹の天辺から俺達の隣へと飛び降りてきた。
……ボーパルなんでそんなところに……いや、高い所があったらとりあえず登りたくなるのは分からんでもないけど、減速一切無しで飛び降りてくるのはどうなんだ……え?ここならダメージ喰らわないから大丈夫?いや、そうかもしれないけど恐怖心的に……まぁ、ボーパルだしなぁ。
「きゅいきゅい?」
「えっと……何をしているの?と聞かれますと……」
「あははは……」
純粋な瞳で質問されちゃうと俺達なにやってんだろ~って気持ちになるな……
と思いつつウィアナちゃんの方へと顔を向けるとウィアナちゃんも俺と同じような苦笑を浮かべながら俺へと振り向いた所で、バッチリ合った視線に二人とも同じ事を考えている事が分かり何故だか笑えてきた。
「ボーパル姉さま。私は今ユウお姉ちゃんに……視姦されていたのです」
「そうそう……ってうぇぇぇ!?あれ!?あの心が繋がったような笑みはなんだったの!?俺の気のせい!?」
ウィアナちゃんとの友好度もだいぶ上がってきたな~と、嬉しくなってうんうん頷いていた俺だが突然の裏切りにビックリしてウィアナちゃんへと振り返ると、ニンマリと悪い笑みを浮かべるウィアナちゃんが……
こ、これは出会った当初のあの頃ウィアナちゃん!?まさか俺にいじられた仕返しをするために覚醒を!?
……うん。まぁ、ステータスが変わる訳じゃないから何が出来る訳でも無いけどね。
「きゅい、きゅい?」
「はい。ボーパル姉さま。視姦というのはですね。相手を見つめることで、相手を辱めて性的興奮を……」
「ストッ~~~~プ!ストップ!この話終了~。ボーパル今日もウサギエリアで戦うからみんなを呼んできてくれ。順番に召喚するからな」
「きゅい!」
いらん事を吹き込もうとしたウィアナちゃんを押しのけてボーパルに言伝を頼んで送り出した。
まったく。ウィアナちゃんはボーパルになんてことを吹き込もうとしてるんだか……いや、ボーパル以外ならいいって訳じゃ無いからね?リーンちゃんに「”しかん”ってなんなのじゃ?」って聞かれたら答えに詰まるのは確実だから止めてお願い。
「……はぁ。しょうがないですね。今日のところはこれくらいにしといてあげます」
「ありがとうございます……」
……あれ?なんで俺がお礼を言ってるんだ?
ん~?なんかわけわかんなくなってきた……
「きゅい!」
「コーン!!」
「メェェ……」
やれやれ顔のウィアナちゃんにお礼を言いながら首をひねっているとボーパルとアイギスを引きずっているイナリがやってきた。後ろにはミズキ達も居るな。
というかイナリがアイギスを運ぶ手段が、寝ているアイギスをそのままもふもふの尻尾に乗せて持ってくるって方法なんだが、羨ましすぎるぞ。ちょっとアイギス代われ。今日はレベル上げ止めてお昼寝の日にするから。え?ダメ?どうしても?むぅ。なら仕方ないか……
「今日のメンバーは。とりあえずボーパルとアイギスとイナリは確定で。後は……ん~」
ミズキとティーニャがもう1レベルでクラスチェンジなんだよなー。ノゾミとどっちかで連れていくか、2匹で連れていくか……
「んにゃぁ……」
「あ、今はやる気でないと。了解。じゃあ後で呼ぶからね」
「んにゃ」
「メェェ……?」
ノゾミがやる気出ないらしいので後回しにしたんだが、アイギスから抗議の声が上がってきた。しゃーないじゃん。ノゾミと違ってアイギスは居ないと戦えないんだから。今日も頼りにしてるぞ?
「メェエ」
なんとかアイギスの説得に成功。決め手は片手に持ったオヤツだな。
……別に賄賂じゃないし。正統な報酬だし。あ、みんなも食べる?全員分バッチリあるよ。
「それじゃあモグモグ。行ってきまむぐむぐ!」
「もきゅい!」
「ホー!」
「~~~!」
「モグモグモグ。メェ」
「はい。ノゾミちゃんとティータイムして待ってます」
「んにゃ~」
みんなでオヤツをモグモグしながら手を振った先にはノゾミを胸に抱いてお見送りをしてくれるウィアナちゃんと、ウィアナちゃんの胸に抱かれながら肉球を見せる様に右手を上げているノゾミが。
2人でティータイムとか何それ羨ましい。俺も是非参加したい所だが……探索とクラスチェンジを心待ちにしてる子達がいるからまた今度今度ね。
それじゃあ準備も出来た事だしウサギエリアに向けて出発!
……次は白銀ちゃんみたいな規格外の強キャラに出会いませんように。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
・・・おかしい。話をスムーズに進めるためにシルフをクビにしたのに何故話が進まないんだ・・・
大体はウィアナちゃんの所為だな。テトメトは悪くねぇ。
そして精霊樹に対して自重を止めたリーンちゃんとドリアード達。次にユウが精霊樹を見た時どうなっているのかは誰にも分からない・・・




