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169匹目 丘陵の悪魔

うぅ・・・会社がデスマーチでやばいよぅ・・・

ちょっと落ち着くまで更新が止まるかも。すまないね。


 

 モンスター 暴兎(ぼうと) Lv24

 状態 パッシブ 潜伏


 モンスター うさぎもち Lv15

 状態 パッシブ 睡眠


 モンスター 首狩りウサギ Lv28

 状態 パッシブ 潜伏


 モンスター 兎詐欺(うさぎ) Lv18

 状態 パッシブ 隠蔽


 モンスター エンジェルラビット Lv34

 状態 パッシブ 飛翔 透明化


 こ、こいつぁやべぇ……


 え、何?この草原ってウサギの進化系の詰め合わせなの?つまりここが死地であると?

 いや、見た目と語感で言えば”ウサギ地獄”は地獄よりも楽園の様だけども。俺だって別に本気で楽園(ヴァルハラ)に行きたい訳では無いんだからね?


 うん。まぁ、落ち着け。一旦落ち着こう。ウサギ達もまだパッシブだし活路はある。始まりの町の周辺のウサギ達はこっちから殴らない限り逃げていくような臆びょ、優しい子達ばっかりだったしね!


 んー、とりあえず逃げるか?いや、でもヤる気になったウサギの索敵範囲と移動速度から言って逃げるのはなぁ。先制でアイギスがヘイトを集める事が出来なかった高速移動する敵とか絶対に相手したくない。


 となると先制攻撃か?でも、近くにいるウサギ達が鑑定圏内にいる5匹だけとは限らないんだよなぁ……なにせ隠れる場所には事欠かないし。それに、結構至近距離なのにまだパッシブなのはもしかしたら戦闘する意思が無いからっていう可能性も……


 いや、戦闘する気が無いなら何故隠蔽や潜伏や透明化を……う、うん。きっとスキルのレベル上げの最中だったんだな!そうに違い無い!たぶん!


 さて、逃げるのも先制攻撃も止めといた方がいいとなると、後出来る事は……和平?

 うん。そうだな。言葉が通じるんだ。争う必要なんて無いよな!……いや、俺にはウサギ達の言葉は分かんないけども……

 もし、「安定も平穏も増して和解なんて牙を捨てた飼い犬の所業!」って言って襲ってこられても、まぁそんときはしゃーない。どの道、戦闘になるのも時間の問題だろうし、さしてコストが掛かるわけでも無いから声だけは掛けてみるかな。

 そうと決まればファーストコンタクトだ。アイサツは大事。古事記にも書いてある。


「……は、はろぉ~?」(震え声)

「「「「「きゅい!」」」」」


 モンスター 暴兎(ぼうと) Lv24

 状態 アクティブ バーサーク


 モンスター うさぎもち Lv15

 状態 アクティブ 膨張


 モンスター 首狩りウサギ Lv28

 状態 アクティブ 潜伏


 モンスター 兎詐欺(うさぎ) Lv18

 状態 アクティブ 擬装


 モンスター エンジェルラビット Lv34

 状態 アクティブ 飛翔 透明化 詠唱中


「メッ!メェェエエエ!」

「きゅい!」

「ホー!」


「にゃぁ~……」

「~~……」


 ミィィィスったぁぁぁ!!完全にスベったぁぁぁぁ!!

 い、いや、妙に緊張しちゃってね?口が勝手にね?ほ、ほら皆も有るでしょ?何故かテンパって先生に命令をしちゃったり、面接官に好きな食べ物を聞いたり……あ、無い?うん。そうだよね。皆モンスターだもんね。学校も面接も無いよね。

 うん。今回に関しては俺が全面的に悪かったです。だからアイギスのその「上の失敗のツケはいつも下の者の命で贖われる……」みたいな目やめて!良心にグサグサ刺さってるから!それにノゾミとティーニャのジト目と呆れた呟きも!ほらもう敵来てるから!気持ちを切り替えて戦闘いくよ!はい、詠唱して!


「ぎゅぃいい!!」

「きゅ~~」

「きゅい!」


 草むらから飛び出してきたのは3羽のウサギだな。順に暴兎、うさぎもち、兎詐欺だ。

 レベル的には24、15、18だから殆ど鎧袖一触だろうが、相手がウサギだから一切油断できない。なにせ第四層の奥地に出てくる敵だからな。見た目が可愛くてレベルが低いからって油断する奴がいたら、ゲームオーバーと言う高い授業料を払って「油断。ダメ、絶対」という真理を教わる事になるだろうな。


「ぎゅぃぃい!」

「きゅい!」


 最初に接触したのは暴兎とボーパルだ。

 どこぞの熊のボスの様な赤いオーラを纏った暴兎とボーパルが互いに空中でハイキックをぶつけ合い、弾かれる様にして互いの味方の方へと飛んでいっている。

 あの赤いのは前回の闘技大会でタクが使っていたヤツだよな。たしか、防御力が下がる代わりに攻撃力が上がるスキルだっけ?

 元々紙防御であろうウサギの身で更に防御力を下げるとか剛毅だなぁ……当たらなければどうという事は無いってか?それ、当たったら即死って言い換える事もできるんだよ?


 んで、あの状況でもボーパルなら宙を蹴って追撃も出来ただろうが、相手の手札が全く分からないから一旦引いたのかな?まさか、ボーパルに限ってナメプしてるとは思えないしな。

 ボーパルは単純な攻防では殆ど負けなしだけど、若干絡め手に弱い所があるからな。仲間を頼って様子見するのも大事だよな。ボーパルはうちのパーティで一番の衝撃力を持っているから下手な所で損耗される方が困るしね。まぁ、一撃で全てに片がつくなら押せ押せでも勿論いいんだけども。


「きゅ~~!」

「ホー!」


 んで、敵地後方でうさぎもちを嬲り殺しにしているのがミズキだ。

 うさぎもちは戦闘が始まった時からぷくぅ~と膨らみだしているんだが、それ以外に何をするでも無く、ミズキのカマイタチをペチペチと受けている。

 あの子はいったいなんなんだろうな?おっきくなって的が大きくなっただけのような気が……

 まぁ、レベル15だしな。クラスチェンジ一回じゃそんなもんか。

 膨らむ効果はダメージ軽減の代わりに敏捷低下とかかな?あとはお餅だから……喉に詰まらせて即死とか?いやいや。それは強すぎか。せいぜい鳥もちぐらいかな?


「きゅいい!」

「メェエ」


 そして次のペアは何やらお見合いをしているアイギスと兎詐欺だ。

 アイギスには碌な攻撃手段が無いから攻撃できずにまごついているのも分かるけど、兎詐欺は何をしているんだろうな?

 見た感じボロボロの外套を着て骸骨のお面を斜めに付けた兎詐欺は、身の丈を越える漆黒の鎌を威嚇するように構えようとして、鎌の重さにふらふらしてる。

 いや、本当に何がしたいんだろうな。状態的には擬装になってるんだが……もしかしてあれか?首狩りウサギあたりに擬装しているのか?それにいったい何の意味があるのか分からないけど……まぁ、言うてレベル18だし。見た目を完全に擬装できている時点で凄いか。


 んで、その首狩りウサギだが一向に姿が見えないな。いや、姿は兎詐欺の能力で確認したけども。

 首狩りっていう名前的に一撃死でも狙ってるのかね?こっちに来られたら厄介極まりないけど、アイギスがチマチマ挑発打ってるし、俺はヘイトを集める様なことを何もしてないから大丈夫だろう。むしろ戦闘が始まってから鑑定しかしてないまである。だって皆オート戦闘の方が俺が一々指示するより強いんだもーん。

 むしろリアルタイムゲーで全パーティメンバーに指示を出し続けるとか不可能じゃね?俺には無理。スペックが足りないって。あぁ、勿論必要な指示は出すけどね?


「きゅい!」

「きゅ~~!」

「ホー!?」

「~~~?」つんつん


 待て待て!今さっき俺のスペックが足りないって話をしたばっかりなのに状況を一片に動かすな!

 え~っと……?どこからともなくウサギの声が聞こえたと思ったらボロ雑巾ならぬ、ボロ餅状態になってたうさぎもちが復活してミズキがビックリして、詠唱が終わりかけたティーニャが誰をドカンするべきか聞きに来たと。

 うむ。つまりエンジェルラビットを鑑定して位置を割り出せばいいんだな。

 まぁ、もしくはボーパルやアイギスの相手を吹き飛ばしてボーパルをフリーにするのでもいいけどね。たかが透明になっているぐらい、目隠しして戦闘をしていたボーパルにかかればチョロイ相手よ。えっへん。


 モンスター 首狩りウサギ Lv28

 状態 アクティブ 潜伏 暗殺


 モンスター エンジェルラビット Lv34

 状態 アクティブ 飛翔 透明化 詠唱中


 ん……?あれ?なんで首狩りウサギの表記がこんな近くに―――


「きゅい!!」

「あっ……っぶね!あぶね、あっぶねぇ!!」


 ふと下を覗き込んだ瞬間死神のエフェクトの様な物が俺の視界で瞬いた気がし、慌ててエビの様に背後に跳躍した俺の目の前で俺の首があった位置を鎌が通過した。


「あ、アイギスゥゥゥゥゥウ!」

「メェエエエ!」


 間一髪。ギリギリで首を繋いだ俺の魂の叫びに応じたアイギスがヘイトを奪う技をかけてくれたので一先ずは安心だろう。

 ふぅ……やばかった。下手したらこの前のボス戦よりも死が身近にあったよ今。

 にしても暗殺持ちかよ……暗殺と、潜伏?と、もしかしたら擬装もかな?なんにせよ戦闘中で意識が割かれているとはいえ、ボーパルの索敵を潜り抜けてここまでくるとは流石だな。

 首狩りウサギ。お前も良きライバルだった……


「きゅい!」

「って、ちょっと!なんかまだこっちに向かってきてるんですけど!助けて!アイギスさん俺を助けてよー!」

「メメェ~?メェエエ?」


 いや、そんな「あれれ~?おかしぃぞぉ~?」見たいな声を出されても!その子が出張ってくるって事はこの場で唯一人間の俺が死んでるって事だから!ただでさえも死神みたいな見た目のウサギに襲われてるのにこれ以上死神を増やさないで!


「きゅい!きゅい!」

「おっとっとぅ」


 んんぅ?なんかそんなに強くないぞ?あぁ、なるほど。格上のボーパルの索敵を抜いたからビビッてたけど、ようは暗殺にのみ特化してるってことか。納得。それなら暗殺が失敗した以上怖がる必要は……


「きゅい!(天)」

「きゅい!(首)」

「はぁっ!?ええぃボーパル!早くあのエンジェルを落として!」

「きゅい!(神)」


 あんの天使め。首狩りウサギに加速のエンチャントをしやがった。

 それでも狐火と隠密を駆使すれば危なげなく避けれる範囲だけれども!それでも俺が戦っている時点でおかしいの!

 そもそもなんでコイツは戦場(いくさば)で歌を歌ってめっちゃ目立ってるノゾミや、ゲームじゃなければ血肉が花火の様に撒き散らされているであろう爆殺で兎詐欺を(アイギスごと)仕留めたティーニャじゃ無くて執拗に俺を狙うんだろうか……

 いや、そりゃあサモナーにしてリーダーの俺を狙う利点は分かるよ?でもモンスターが挑発を無視してこっちを襲ってくるもんかね?もしそうならアイギスの価値がまた1つ下がるんだが……


 ……ん?待てよ?リーダーを直接狙う?つまりは……首狩り作戦?はっ!そういうことか!汚い!運営汚い!リーダー狙いの暗殺特化モンスターなんか作るなよ!サモナーキラーもいい所じゃねえか!ぶーぶー!


「きゅい!」

「きゅぅ~……」


「ん。これで全部か?ふぅ~。なんとかなったなぁ」

「ホー!」

「メェエ……」


 暴兎を電子の塵に変えたボーパルがエンジェルラビットを地に落とし、俺に襲い掛かっていた首狩りウサギを背後から強襲して戦闘終了。

 兎詐欺はティーニャが爆発四散させたし、うさぎもちはちょっと離れた場所でミズキが地味に嬲り殺しにしていた。

 う、うん。堅実で良い戦い方だったと思うよ?うん。ミズキ偉い偉い。アイギスも俺のピンチに直ぐ助けようとしてくれて助かったよ~。ノゾミも―――


「きゅい!!」

「ホー!」

「~~!」

「うひぃ!」


 俺がノゾミをぎゅっとしてスリスリしようと頭を下げた瞬間。索敵と魔法に優れるボーパルとミズキとティーニャがほぼ同時に叫び、ボーパルは空に斬撃を、ミズキはカマイタチを。ティーニャは頭を下げた俺のうなじから背中に侵入してきた。

 いや、即時攻撃手段の無いティーニャが誰かの影に隠れようとするのは分かるけども、そこでなんで俺のうなじに入ってくるんだよ。そういうのはアイギスの役目でしょうに。


 ドゴォオン!


「う、うぉ!?なんだ!?」

「きゅぅ……」

「にゃ~……」


 敵も気になるがとりあえず、背中でもごもごと悪さをするティーニャを、ふともものスリットから手を突っ込んで引っ張り出そうと画策していた俺の耳に突然激しい爆発音が飛び込んできた。その轟音はウサギさんセットを付けている訳でもないのに、俺の体をビクンッと跳ねさせる程でボーパルとノゾミのお耳がはんにゃりして、垂れうさと垂れぬこになってる。かわいい。

 爆破で落ち込んだ気分を若干改善しつつ見上げた空には綺麗な花火が幾つも咲いていた……その距離が極至近で、一歩間違えれば俺たちが汚い花火になっていたので無ければもっと楽しめただろうなぁ。


「まったくもう!ちょこっと休憩する時間も無いのかよ!はいはい鑑定!」


 魔法の花火の残滓の向こうでぷかぷかと呑気に浮かんでいるモンスターの影を睨みつつ鑑定。

 実は相手は爆弾ウサギでもう処理終了してました~って言うのなら簡単だったんだが、そういうわけでも無さそうで面倒臭い。

 さっきの戦闘で全員大したダメージを負っておらず、ティーニャのMPもまだまだ余っているのが救いだな。


「うわぁ……」

「きゅい……」


 という訳で鑑定後。俺が漏らした嘆きとボーパルが漏らした珍しく緊張の色が見える呟きが重なった。


 ネームドモンスター 白銀の航空魔導兎 Lv39

 状態 アクティブ カリスマ 飛行 バリア 


 モンスター 航空魔導兎 Lv37

 状態 アクティブ 忠誠 飛行 バリア 


 モンスター 航空魔導兎 Lv36

 状態 アクティブ 忠誠 飛行 バリア 


 モンスター 航空魔導兎 Lv36

 状態 アクティブ 忠誠 飛行 バリア 


 モンスター 航空魔導兎 Lv34

 状態 アクティブ 忠誠 飛行 バリア 


「きゅい、きゅい!」

「「「「きゅい!」」」」


 ……どうやら俺達に救いは無いらしい。


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


??「ようこそ丘陵へ!ビザはお持ちですかぁ~?」


いやぁ、白銀だなんてありふれた二つ名だな~。ありふれてるって事はそんなに強くないんだろうなぁ~?(すっとぼけ)


・・・いや、まてよ。ありふれた・・・世界最強・・・うっ、頭が。一体何魔王様なんだ・・・


とまぁ、こんな良いところなのに引っ張る宣言をする鬼畜作者がいるらしいですよ~。そんな人は自分で自分をZAPするべきだよね!


ではまた、戦場で。

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