番外編:クリスマス始めました
ギッリギリ!ギリギリセーフ!まだクリスマス!セーフセーフ!
「メリークリスマスフィアちゃん!はいこれサンタコス!俺とお揃いだよ!」
「きゅい~!」
「・・・開口一番何を言っているのですか・・・はぁ。とりあえず中に入ってください」
今日は12月25日。クリスマスだ。広場の方では巨大ツリーの飾りがモンスターになって逃げ出したりと大変みたいだけど、リアルの方で忙しくってイベントには参加出来ないから、暇してるだろうフィアちゃんの所に遊びに来た。
ちなみに、イベント当日は参加できないかもと伝えておいたらミヤヒナからサンタセットの服をプレゼントされた。
真っ赤な三角帽子の頭に触れるところに白いもふもふがぐるっと一周突いて、天辺にウサギのしっぽみたいな白いポンポンが付いたサンタ帽子と、もこもこのショートブーツと、肩が紐になっているミニスカワンピースのサンタ服のセットだ。
もちろんサンタ服もしろいふわふわがいっぱい付いてる。胸周りの服の境とスカートの端。それからボタンがある位置に帽子の先っちょに着いているのと同じポンポンの飾りが付いてる。かわいい。
季節限定のコスプレってかわいいのが多いよな~。コスプレと言えばハロウィンだけど、前回のハロウィンイベントはコスプレがランダムだったからな~。今度自前のコスプレイベントでもやろうかなぁ・・・
「きゅい~!」
「・・・ボーパルちゃんもサンタさんですね。かわいいです」
ミヤヒナがボーパルの分もサンタ帽子とサンタジャケットを装備していて超かわいい。プレゼントに欲しい。お持ち帰りしたい。
「フィアちゃんも一緒にサンタの服着た姿が見たいなぁ見たいなぁ」(チラッチラッ)
「・・・はぁ。仕方ないですね・・・でも、別にユウさんに見せるために着替える訳じゃないですから。ボーパルちゃんとお揃いになりたいからと、このお洋服がかわいいから着るんですからね。勘違いしないでくださいね」
「はいはい。分かってる分かってる」
ミヤヒナに頼み込んでもらってきた予備のサンタセットを俺から受け取ったフィアちゃんが俺に何度も念押ししながら、若干浮かれた感じで不器用にスキップしてアトリエの奥へと入っていった。
なんだかんだ言いつつかわいい服が着れるのが嬉しいのかな?フィアちゃんも女の子だね~。
「お邪魔しま~す」
フィアちゃんがボーパルを抱えたままアトリエに入っていって、玄関先に放置されたので一応挨拶しつつアトリエに入っていく。直ぐにログアウトするつもりでボーパルしか召喚して無かったから、ひとりぼっちになっちった。一人ぼっちは寂しいなぁ・・・
「およ?意外に飾りつけがしてある。やっぱり楽しみだったのかな?」
勝手に入った工房にはクリスマスツリーが置いてあり、キラキラした飾りが壁を賑やかせている。
どう見てもクリスマスパーティの準備をしている部屋だな。パーティの予定でもあったんだろうか?もしかして俺邪魔?
「・・・それは姉さんが勝手にした飾りです・・・しかも本人は飾るだけ飾って外に遊びに行ってしまいました。まったく。何がしたいのでしょうか・・・」
「きゅい!」
俺が工房の中を見回している間に早着替えをしたフィアちゃんが戻ってきた。
女の子のお着替えは長いのが定番だけど、ゲームだとポチポチで終わるから早いなぁ。
サンタコスに身を包んだフィアちゃんは空色の髪が赤い服に映えて超かわいい。俺と同じ黒髪はリアルで見慣れていて安心感があるけど、日本じゃ見ない髪色の子もかわいいよね~。だいすき。
「フィアちゃん写真撮ろうよ写真!スクリーンショット!家宝にするから!!」
「・・・絶対に止めてください」
拒否られてしまった・・・いや、きっと家宝にするほうを拒否られたに違いない!スクリーンショットは大丈夫なはず!
「ボーパルも一緒に写真撮りたいよね~。折角おめかししたんだもんね~」
「きゅい?・・・きゅい!」
「ほら。ボーパルも一緒に写真撮りたいってさ」
「・・・はぁ。しょうがないですね・・・一枚だけですよ?」
「よしきた!」
スクリーンショットを自撮りモードにした俺はフィアちゃんと並んで立って、間にボーパルを挟んで肩を寄せ合う。
「・・・ちょっと。ユウさん近いです」
「写真撮るんだから仕方ないでしょ~。ほらほらもっと寄って!顔寄せて!ん~」
「きゅい~」
ちょこっと嫌そうな顔してるフィアちゃんの肩を抱いて、反対の手でピースをして写真を撮った。
撮った写真を確認したら、ニヤニヤ笑ってピースをしている俺と、何だかんだ「困ったものです」って感じの苦笑いを浮かべていてるフィアちゃんと、俺とフィアちゃんに挟まれているボーパルも両手を掲げてばんざいをしているなんとも楽しそうな写真になった。うん。後で額に入れて家に飾っておこうっと。
「・・・後で私にもください」
「うん。いいよ~。送っておくね」
俺の後ろからさっき撮ったスクリーンショットをボーパルと一緒に覗き込んでいたフィアちゃんがちっちゃな声でそう言ったので、勿論OKして送ってあげた。見てたら欲しくなったのかな?まぁ自分の写ってる写真だもんね。そりゃ欲しいよね。
「あ、そうだ。はいコレ。クリスマスプレゼント。こっちがフィアちゃんので、こっちがエルの。んでこれがクリスマスケーキね!」
「・・・え、あ、はい。ありがとうございます・・・」
と言って、ストレージから取り出した3つの箱のうち、2つをフィアちゃんに渡して、大きい1つを机に置いた。
クリスマスケーキはリアさんが作りすぎたみたいで5つも貰ってしまったんだよなぁ・・・そんなに食べれないからお裾分け。今日はクリスマスプレゼントなら対価なしでアイテムを渡せるからな。便利便利。
「あ、そろそろ時間だから俺達は帰るね。それじゃあ良いクリスマスを!」
「きゅい~!」
家でやってるパーティを抜け出してきたからなぁ・・・早く帰らないとシルフにバレる。
「じゃあバイバイ!・・・ん?」
じゃ!と手を上げてアトリエから出ようとしたのに何故か前に進まない・・・。
いつの間にバインドの状態異常に!?
「・・・って、フィアちゃん?服掴まれたら帰れないんだけど・・・」
筋力で少女に全く敵わない虚しさよ・・・。まぁ今更だけど。
フィアちゃんならあっさりと俺をお姫様だっこぐらい出来そうだよなぁ・・・今度やってもらおうかな。どんな気分なんだろうなぁ。
「・・・んと」
「え?なんだって?」
「きゅい?」
難聴系主人公になったつもりは無いんだが、下を向きながら呟かれたら流石に聞こえないって・・・
「・・・えっと、クリスマスプレゼント・・・です。ユウさんに・・・うぅ」
ちゃんと聞き取ろうと思って下を向いているフィアちゃんに顔を近づけたら、ほっぺを赤く染めたフィアちゃんに可愛らしいラッピングをした箱を押し付けられてしまった。
何この子。すごくかわいいんだけど。ぎゅってしたいわ~。今日は時間無いからしないけどもね。
-------------------------------------
以下、翌日のとある姉妹の会話ログより抜粋。
「やっふ~~~~!!久しぶりのFWOだぁ~!暴れるぞ~!」
「暴れるな暴れるな。一緒に一狩り行くんだからバーサークは困るぞ」
「え~?だって、クリスマスイベントがまるまる参加出来なかったんだよ?この恨みはやっぱりFWOで晴らすべき・・・ってあれ?お姉ちゃん前までそんなマフラーしてたっけ・・・?」
「ん?このマフラーか?これはねぇ・・・う~ん。内緒」
「え?なにそれ!すっごい気になる!ねえねえ教えてよう!どうしたのそれ!自分で編んだの?」
「ほらほら、いつまでも喋ってたら置いてくぞ~」
「あ!もう!そんな簡単には騙されないんだからね!って、ちょっと!本当に置いていかないで!待ってよおねえちゃ~ん!!」
妹に背を向けて歩く姉はひっそりと手編みのマフラーを掴み、自然とにやける口元を隠しながら足早に町の外へと向かっていきましたとさ。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
ギリギリになったのは大体モ○ストと桃○の所為です。テトメトは悪くねえ!




