162匹目 アトリエ帰還
クリスマスイベントだと思った?残念通常話だよ!
「ただいま~」
「きゅい~」
「にゃぁ~」
「……だからアトリエはユウさんの家では無いです」
フィアちゃんと心温まる触れあいをしている間にボーパル達の活躍でユニコーンの角を確保できた俺達は、泉を通って無事にアトリエまで帰ってこれた。
これで第四層にいつでも飛べる様になったな。ラッキーラッキー。
ちなみに今のお供はボーパルとミズキとテイーニャとノゾミの小動物パーティだ。若干1体天使混ざってるけど。
「はぁ……姉さん。ただいまです」
「ホー!」
「~~~!」
フィアちゃんが「やれやれです」って顔をしてるけど、両手にミズキとティーニャを抱えて翼をもふりながら言われてもほのぼのしかしない。
気持ちは分かるけどね。1回もふり始めたら止め時が分からなくなるよね~。
「……姉さん……材料はこれで揃いました。もうちょっとだけ待ってていてください」
下手に動かして”ポキッ”とか”ポロッ”とかいったら嫌だからそのまんま放置していたエルの石像が、アトリエを出たときと全く同じ格好でイスの上に鎮座している。
そういうイベントだからかもしれないけど、石化の硬化時間長いなぁ……このイベントが発生したって事は近いうちに石化攻撃をしてくる敵が現れるのかね?バジリスクとか、コカトリスとか?石化の解除薬は幾つかストックが欲しいな。
「……えっと……まずは石化薬の材料が……コレとコレと……」
「フィアちゃん何か手伝おうか?」
「~~?~~~♪」
「……手伝いは要りませんのでティーニャちゃん達を捕まえておいてください。あ、ホーリーユニコーンの角はそこの調合机に置いておいてください」
「は~い」
「~~!」
「にゃぁ!」
言外に邪魔扱いされたのでおとなしくティーニャをわし掴みにして、今にもフラスコに映るノゾミに猫パンチしようとしていたノゾミを反対の手で抱えてエルの向かいの椅子に座って机の上に2匹を乗せた。
あ、角出しとかないとな。
【アイテム:素材】ホーリーユニコーンの角 レア度6
癒しの魔力が込められ、白く発光している角。
高い治癒能力を持っており、あらゆる状態異常に対する薬の材料になる。
主に錬金術と調薬に使われる他、武器の材料にもされる。
説明を読んでるだけでも凄いアイテムだって事は分かるな。あらゆる状態異常に対する薬ってつまり万能薬ってことでしょ?
もしくはこの角を材料にそれぞれの状態異常回復薬を作れるかだな。万能材料だな。素晴らしい!フィーブッコロス!何語か忘れちったけど素晴らしいって意味だったはず。たぶん。どう聞いても物騒な単語にしか聞こえないけど。
武器の材料ってのは良く分かんないけど、槍の穂先にでもするのかね?付く効果は回復だろうから……槍で突くと回復する?うわぁ……使い勝手悪っ。薬と違って使い捨てじゃ無いのが唯一の利点かねぇ……。
「きゅい!きゅい!」
「うん?あぁ。改めて見ても凄いアイテムだな~と思ってな。ゲット出来たのはボーパル達のおかげだ。ありがとな」
「きゅい!」
ドロップした2本のホーリーユニコーンの角を机の上に置いて、手元を覗きにきたボーパルの体を持ち上げてティーニャとノゾミの隣にぽむっと置いて、俺も椅子に座った。
時間が空いてるからね。偶にはみんなとの触れあいも大事だよね。
というわけでもふもふタイムじゃー!
とりあえず目の前のボーパルからいってみよう!進化してからずっとそのキラキラの羽衣みたいのがどうなってるのか気になってたんだよ~。
「きゅい~?」
「う~む……このキラキラには触れないんだな。なんかオーラ的なものなのかな?……ふぅ~」
「きゅい!?」
両手をボーパルの体を包むように添えて、わきわきと動かして羽衣的なオーラに触れられないことを確認してから、そのままわし!っとボーパルの体を掴んでモミモミしてやった。
右手をわきわきすると右側を向いて、左手をわきわきすると左側を向くボーパルの反応が可愛すぎてうさうさと動くお耳をふぅ~っとしたらピクンと体を跳ねさせて反応して、後ろ足でタシタシと手を叩かれて抗議されてしまった。
すまん。すまんて。あんまりにも反応がかわいかったものだからつい。でも怒ってるボーパルもかわいいなぁ……嫌われたら泣くからもうしないけど。
「~~~!」
「……んにゃ」
ボーパルをもみもみ、なでなでしながらデレデレしていたら、ティーニャが「混ぜろ~~~!」と言わんばかりに俺の左手に飛びついてきて、ちっちゃな体をめいっぱいに使って甘えてきてる。
反対の右手にはいつの間に近づいてきていたのか、ノゾミがそっと座り俺の右手に体重を預けてきている。
なんだよぅ。2人共可愛すぎかよぅ……!(歓喜)
「~~~~♪」
箸が転がっても楽しいお年頃なテイーニャはちょっとくすぐったらコロンコロン転がって笑い転げ始めたので、うつ伏せになったタイミングで天使の翼を引っ掻く様に掻いてやったら手も足もピーンと伸ばしてうにゅ~っと伸び始めた。
なにこのかわいい生き物。俺も萌え死にさせるつもりか!
思わず頬をニヤニヤと吊り上げながら「ここか?ここがええのんか?」とばかりに翼全体を”かいかい”してやると翼の付け根の辺りが一番気持ちいらしく、両手両足をピーンと伸ばしたままバタバタと机の上を泳ぐようにもがいてる。
一瞬痛かったのかと思ったけど、相変わらず音符が飛び交っているような楽しそうな声を出し続けているから気持ちよかったのだろう。翼の付け根は自分じゃ手が届かなそうだから誰かに掻いてもらったら気持ちいいのかもな。俺も今度翼が生えた時に誰かに掻いて貰おうかなぁ……
「にゃぁ」
俺の右手に寄りかかっていたノゾミはそのまま脇腹をもふもふするとお手をする様に右手を上げて差し出してきたので、うやうやしく受け取って肉球をもみもみしてみた。
あ~いいわ~。ぷにぷにだわ~。猫はぷにぷにの肉球のさわり心地が最強だよなぁ~。
と、しばらく肉球をぷにぷにしてたらノゾミが困ってる。めっちゃ困ってる。自分から手を差し出してきたのにまさか掴まれてもみもみされるとは思っていなかったのか、「いい加減離しなさいよ」とでも言いたいように”ざりざり”と肉球を掴む俺の手を舐めてる。
もう……しょうがないにゃあ。肉球をぷにぷにしていた手を離してやり、腕を伝たってお腹から顎まで撫で上げていく。あ~ノゾミのすべすべふわふわの毛並みもいいなぁ~。いつまでももふり続けたくなるわ~。
「ホー……」
「ん?ほら、ミズキもおいで」
ゴロにゃんしだした2匹のお腹をわしわししてると仲間に入りたそうな目でちょっと離れた所から見ていたので、おいでおいでしてぴょこぴょこと寄ってきたミズキの頭を指の腹でなでなでする。
ミズキの形状記憶アホ毛を抑える様になでなでして、手を離してピョコンと跳ねるアホ毛をツンツンする。
アホ毛がふらふらと揺れる感触が不思議なのか、しきりに首を傾げているミズキが超カワユス。
くる~っと回ってきたほっぺに刺さる様に人差し指を配置して……触れた瞬間もふもふ!反対側ももふもふ!かいかい!
ほっぺをかかれて気持ち良さそうに目を細めるミズキの相手をしながら、順番待ちをしているボーパルの首筋をもふもふして、「かまってかまって」と顔に張り付いてきたティーニャを首を振って飛ばして遊んでやり、無視しないでと手に尻尾を絡めてきたノゾミのお尻をわしわししてやった。
忙しいなぁ~もぅ~♪
なにせ皆をもふりながらちょこちょこと動き回って錬金をしているフィアちゃんの後姿も眺めてないといけないからね!
こう……ちょっと違うけど、料理している女の子を眺めてる気分。なんかいいよね。上手いこと表現できないけどほっこりするよね。
……エルが復活できていたらこの気持ちも共有できたのかもなぁ……早く治って欲しいなぁ……
「……できた~!」
あ、完成したっぽい。フィアちゃんがどこかから”ごまだれ~”って聞こえてきそうなポーズをしてる。
傍から見たら超シュールだけど、フィアちゃんだからかわいい!許す!
「……これで姉さんも元通りに……なんか今のままの方が静かでいい気がしてきました。好きなときに戻せるようになりましたし……」
「いやいや、そこは戻してあげようよ!何のために取りに行ったのか分からなくなっちゃうから!」
「……冗談です」
微妙な間が気になるなぁ……まぁいつもの事なんだけどさ。
ここまで長かったんだし、ここから更に一波乱とか要らないからね?本当だよ?
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
クリスマスイベントも書こうかと思ってたけど、御伽噺の体を装ったなにかを書いていたらそんな暇は無かったよ・・・年末で忙しかったのもあるしね。
そして御伽噺は前もって参加表明をしていなければ応募出来なかったよ・・・悲しかったから短編として投稿だけしたけど、締めが大分雑になっちった。まぁしゃーなし。
クリスマスイベントはなぁ・・・簡単なのなら今からでも間に合うかなぁ?




