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160匹目 ホーリーユニコーン

 

「さて、フィアちゃん。ボスも倒したし、ユニコーンが出る第四層にはもう行けるようになったけどどうする?もう辺りは暗くなってきたけど……」

「……夜に行った事の無い場所へ行く危険性は分かります。でも……フィアは姉さんを助けたいです。この先に姉さんを助けられる方法があるのならば……行きたいです。お願いします」


 エルを一刻も早く助けるために俺達に頭を下げたフィアちゃんのお願いを断れるはずも無く。そのまま俺達は第四層へと進む事にした。

 ダメージはフィアちゃんがくれた薬で治して、MPを消費したミズキとティーニャを入れ替え、俺とフィアちゃんとボーパルとアイギスとティーニャとイナリで第四層へ入った。


 ……フィアちゃんがシリアスな顔してたから突っ込まなかったけど、ユニコーンって昼のモンスターな気がするんだよなぁ……


 いや、大丈夫。きっと大丈夫なはず。ユニコーンさんも空気を読んで待っててくれるはずだ。待っててくれよ頼むから!!


 -------------------------------------


「あ、森が……」

「……木が少なくなりましたね」

「きゅい!」


 今まで奥へ行くほどに木の密集率が上がっていっていたのに、第四層に入ると途端に木が少なくなった。

 森と言うよりも林と言った方がいい程で枝葉の間から降り注ぐ月光で、ボーパルの月光合成が解けないほどだ。


「……ここにユニコーンが……早く行きましょう」

「ちょ、まてまて!どんな敵がどこにいるのかすら分からないんだから先に行っちゃダメだって。先頭はボーパル。殿はイナリでフィアちゃんは俺とティーニャと一緒に真ん中な」

「~~~!」


 木が少なめとはいえ、死角ばっかりの林の中を走り出そうとするフィアちゃんの腕を慌ててつかんで止める。

 要人NPCが単独行動しだすとかトラウマが刺激されるから止めて欲しい。不思議のダンジョンで転移した要人NPCがタコ殴りにされて蘇生アイテム全部喰われた上に全滅扱いされたトラウマが……

 ジバ○イル絶対許さねぇ……


「とりあえずボーパルは不意打ちを喰らわないように索敵よろしく。んで、ティーニャはちょっと木の上まで飛んでユニコーンっぽいのがいないか見てきてくれ」

「きゅい!」

「~~~!」


 俺のお願いにボーパルは短いあんよで敬礼をして返して、フィアちゃんの頭の上に座って”うさぎさんずきん”のウサミミの飾りを両手で握ってウィンウィンと操縦桿を操作するように動かして遊んでいたティーニャが若干名残惜しそうにふよふよと木の上まで浮かんでいった。何してんだが……


 周囲の様子を探るのは月光が満ちた空間なら機動力が爆発的に上がったボーパルでもいけるんだが、不意の戦闘になる可能性も考えたらボーパルが手元に居ないのは怖い。

 別にウチはボーパルのワンマンパーティって訳でもないけど、戦闘でボーパルが占める割合は大きいからな。しゃーなしだ。


「……ふぅ。落ち着きました。すみませんでした」

「大丈夫大丈夫。フィアちゃんは駆け出す前に止まったからね。問題ナシだよ」


 小さな体をさらに縮こまらせて申し訳無さそうに上目遣いで俺の顔色を窺うフィアちゃんに笑いかけながら答える。

 ゴールにもうちょっとで手が届きそうな場所まで来たからな。逸る気持ちも分からんでもないが、ここまで来てフィアちゃんがやられたら最悪だからな。

 俺の近くから離れられないように手を繋いでおくか。フィアちゃんの筋力値なら簡単に振り払えるけど、多少は意識して止まってくれるかね……


「……あぅっ」

「~~~~!!」

「おう。テイーニャおかえり。ユニコーンはいたか?」


 フィアちゃんの”うさぎさんてぶくろ”をもふもふしてると木の上から降ってきたティーニャがフィアちゃんの頭の上にチョコンと座った。気に入ったのかな?


「~~~!」

「ふむふむ。あっちになんか居るのな。了解。じゃあそっちへ向かうか」


 林の奥を指差したティーニャが興奮した様子で何かを言ってるから多分あっちに何かあるんだろう。

 俺は大丈夫だけど、フィアちゃんがおねむになる前にサクッと行って帰ろう。ユニコーンがどれぐらい強いのかは分からんけど、エルダートレントよりは弱いだろうしなんとかなるさ。


 -------------------------------------


 モンスター ホーリーユニコーン Lv34

 状態 睡眠中 パッシブ


「おっ、ユニコーンみっけ」

「……寝てるみたいですけど、いっぱい居ます。大丈夫ですか?」

「メェェ……」


 ティーニャの指差す方向へと身を潜めながら進むことしばらく。6匹程で固まって寝ているユニコーンの姿を発見した。

 しかも……


「泉までセットである。ラッキー」


 寝ているユニコーン達の近くには月光を反射してキラキラと輝く泉があった。

 ユニコーンを倒してから歩いてフェアリーガーデンまで帰らなきゃダメかと考えていたから、ここでショートカットが出来るのは嬉しい。戻ってくるのもラクチンになるしな。


「メェェ……」

「はいはい。寝てるユニコーンを見て羨ましそうな声出さない。これ終わったら送還してあげるから好きなだけ寝てていいからね」


「メェ!」


 アイギスがやる気を出した所でユニコーン戦の作戦会議だ。と言っても話す事は殆ど無いけど。


「俺とフィアちゃんはこのまま隠れてるから後ろは気にせず殲滅してこい!以下適当で!」

「きゅい!」

「メェエ!」

「~~~!」

「コーン!」


 俺の命令を聞いた4匹が一斉に飛び出しユニコーンの群に飛び掛っていった。

 みんなガンバ。俺はフィアちゃんの護衛をしながら待ってるからね。


「……ユウさんは一応リーダーなんですからその大雑把な指示はどうかと思います……」

「一応ってなんだよぅ。俺は正式なみんなのリーダーだよ?」


 俺の出した指示が完全な的外れでは無い事は理解しているのだろう。俺へと呆れた視線を向けているフィアちゃんも大人しく隠れてボーパル達が飛び出していった先を見つめている。

 ぶっちゃけ俺らが戦闘領域に居ても邪魔なだけだしなぁ。要人NPCのフィアちゃんはもちろん。戦闘不能になったら即全滅確定な俺も死ぬわけにはいかないからな。2人の防衛もしながら戦闘するよりは隠れている方がいいだろう。

 決して楽をしたいとか、フィアちゃんと2人で身を寄せ合って隠れてるのが楽しい、とかって理由では無いのだ。違うったら違うんだからね!


「……変な事考えてないでボーパルちゃん達の応援をしてください」

「いや、別に変な事なんか考えてないよ?だからそっと俺から距離を取らないで?一応フィアちゃんの護衛役でもあるからね?フィアちゃんの方が近接は強いだろうけども」


「きゅいぃぃ!!」

「~~~!!」

「コーン!!」


 チュドーン!!


「……ならあなたから離れても大丈夫ですね」

「いやいや、大丈夫じゃないから。フィアちゃんは戦闘職じゃないんだから一緒にいよ?ね?」


「メェエエエエ!!」

「「「「「「ヒヒーーン!!」」」」」」


「……なんか怖いので嫌です。こっち来ないでください」

「嫌って言われた!?そんな事言わずにさ~、一緒に応援してようよ~」


 ピカピカと定期的に光を放つ戦場の外側で、俺とフィアちゃんは藪に身を隠しながら謎の鬼ごっこを繰り広げていた。

 そんな事をしている場合では無いのは分かっているが、なんとか捕まえて”怖い”と”嫌”は取り消して貰わなければ!


「だいじょぶ、だいじょぶ。コワクナイヨ~」

「……笑顔とセリフと手の動きが全て怖いです。フィアを捕まえてなでなでする気でしょう?ボーパルちゃんみたいに!イナリちゃんみたいに!」


「メェエエエ!!」

「きゅいいいい!!」

「~~~~!!」

「コーーン!!」


「「「ひ、ヒヒ~ン……」」」


 俺とフィアちゃんの謎の鬼ごっこはユニコーン達が全滅するまで続いた。

 ユニコーンは光属性に耐性があってティーニャの光魔法が効きにくかったり、光魔法や回復魔法を使ったり、馬だけあって高い敏捷からの一角突きでアイギスを跳ね飛ばすほどの威力を出したりしていたのだが、殆ど見てなかった。

 フィアちゃんに嫌われるのに比べたら優先度が低かったからね。仕方ないね。

もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


いろいろ考えてたのに何故かホーリーユニコーンとの戦闘がカットされてしまった・・・

まぁ戦闘書いてたら長引くからね。仕方ないね。

6匹も倒せば1匹くらいは角を落としてくれるでしょう。


・・・物欲センサーさんが仕事しなければ。

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