155匹目 合流
本日2話目です。お気を付けを。
あと、キリのいいところで切ったからちょっと短いです。前回ちょっと長かったからね。丁度いいね。
「ぬ……けたぞぉおおおおお!!」
『~~~~!!』
聞き覚えのある鳴き声と共に、無数に振ってきた風の刃が、俺達を苦しめていた葉っぱを枝ごと断ち切り、一瞬見えた光へと全力で飛翔しなんとかエルダートレントの上へと抜ける事が出来た。
と、同時に共鳴召喚のタイムリミットだ。ありがとうティーニャ。本当に助かったよ。
『~~!』
俺の脳内でティーニャが両手をブンブンふってバイバイをした後、解けるように天使の羽が消え。ティーニャの気配も感じ取れなくなった。
近くにあった大きな葉っぱの上に着地した俺は、間違っても葉っぱの縁の鋸の様になっている部分に触らないように真ん中辺りに腰を降ろした。正直緊張やら、安堵やらで足がガクガクしてる。イナリとアイギスを下で待たせてるから急がないとダメなのは分かってるけど、ちょっとだけ休ませてくれ。
アイギスは鉄壁だし、イナリは1匹なら幻術と隠行をフルで使えるから、ちょっとなら大丈夫なはずだ。頑張れ2人共。安全地帯から応援してるぞ。
「お~い、フィアちゃ~ん。もう大丈夫だぞ~……多分」
座り込んだ後も俺にしがみ付いたまま離れないフィアちゃんの背中をぽんぽんと叩きながら、大丈夫と言い切った後に不安になってしまった。
根っこ攻撃は地面から数メートルしか射程が無いし、リンゴや葉っぱは落下してくるから上を取れば問題ない。枝の触手は上の方には生えていないから、一番上まで登ってしまえば安全だと判断したけど、そんな保障はどこにもないんだよね。もしかしたら全てが俺の勘違いである可能性も……無いと信じたいなぁ……
「……って、フィアちゃん?聞いてる?」
「……きゅぅ~」
あ、ダメだ。気絶してる。
俺が声をかけても顔を俺の肩に押し付けたままだから、緊張で聞こえていないのかと思ってフィアちゃんの細い肩を揺らすと、コテンと力なく首を横に倒したフィアちゃんは瞳をグルグルと回してマンガ的に気を失っていた。
がっちりと俺に抱きついたままだから、てっきり意識はあるんだと思ってたが、気絶しながらも抱きついていたとは。フィアちゃんは抱きつき癖があるのかな?
……いや、これだけ力を込めて抱きついたら抱きついた対象がペシャンコになりそうだから、そんな可愛いらしい物と同列に語れるかは微妙だけど。
俺は痛覚が無いからフィアちゃんの温もりしか伝わってこないけど、さっきからじわじわHPが減ってるんだよね。添い寝相手をうっかり絞殺するとか恐怖しかない。早く起きて欲しいところだけど、気絶した相手を無理やり起こすのはなぁ……相手が男ならたたき起こすけど、フィアちゃんだし……
……王子様のキs、いや何でもない。自然に起きるまで抱っこして行動するかぁ。役得役得。ダメージ喰らってるけど。
「ホー!ホ、ホゥッ!ホ~」
「サンキュー、ミッズ!さっきは助かっ……何してんの?」
フィアちゃんを起こすのを諦め、胡坐をかいた足の上にフィアちゃんを乗せて、頭をなでなでしてフィアニウム(新元素。フィアリンとも言う)を補充していると、ちょっと離れた所から、今回の功労者の1羽であるミズキの声が聞こえた。
感謝の言葉を言いつつそっちを見ると……ちょこちょこと両足を動かして不安定な葉っぱの上を駆け、端まで着くと「行くぞ~、跳ぶぞ~、ん~、えいっ!跳べた!!」って感じで葉っぱの一枚一枚を慎重にジャンプしてこっちに駆け寄ってくるミズキの姿があった。
非常に微笑ましいんだが、なんでわざわざ不安定な葉っぱの上を走ってくるのか。フクロウなんだから飛べばいいのに。初見のボスを縛りプレイとか余裕だな~と思っていたんだが、どうもそんな感じじゃないな。バサバサと翼をはためかせて、跳躍成功の舞を踊っているミズキの左の翼に赤い線が走っていて、中ほどから消えている。部位欠損貰っちゃったかぁ……そりゃ迎えに来れないわけだ。ほんの数メートル先にいる俺の所に来るのですら一苦労みたいだからな。
あ、転んだ。バランス悪くて起き上がれずにジタバタしてる。かわいい。
「ホゥ!ホ~~ッゥ!」
「暴れるな暴れるな。逆に落ちそうになってるから……よっと」
コロンコロン転がって徐々に葉っぱの先へと移動しているミズキを落ちる前になんとか回収し、右手に装備する。
胴体にフィアちゃんを。右手にミズキを装備したから、残りは左手と足と頭だな。ボーパルとアイギスとイナリを当てはめるのなら、アイギスが盾的な意味で左手で、イナリが移動力的な意味で足で、ボーパルが頂点的な意味で頭だな。
完璧な布陣だな。セット効果はもふもふ力アップで間違いなし!
「ホゥ~」
「あれ?そういえばミズキ1人か?ボーパルは一緒じゃないのか?」
てっきり2人共上にいるものだとばっかり……
「ホー、ホウホウ。ホゥ……」
「きゅいぃぃぃぃいいいい!!!」
ドガァアアアアアン!!
「……なるほど。あっちか」
「ホー」
右手に止まったミズキと話していると、突然雄たけびと同時に爆発が起こり、エルダートレントの頭頂部の葉っぱが吹き飛んだ。
あぁ、エルダートレントがザビエルヘヤーに……まぁ、敵だからね。仕方ないね。精神攻撃は基本。
「んじゃ行くか。とりあえずボーパルと合流しよう」
「ホー!」
「……んにゅ……ダメです姉さん。パンツは食べ物じゃないですぅ……むにゃ」
……フィアちゃん。どんな夢見てるんだよ。見てみたいような……見ない方がいいよな……
というかコレもう気絶じゃなくて普通にお昼寝じゃね?
もふもふ!
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テトメトが連続更新だなんて明日は雪かな?って言われました。
・・・やめろよ。明日仕事で山に登るんだよ。この時期なら雪降っててもおかしくないんだよ。天気予報では晴れだけど、急に天気変わって吹雪にならないよね・・・?(ガクブル)




