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147匹目 魅了

リア友とパラノイアやったぜ~

全員初心者だったから全くZAPが無かったぜ~


・・・ZAPスタイル(ZAPするとは言っていない)

 

 森エリアの第三層を奥へ奥へと進んでいく。

 お供はボーパルと、ミズキ、アイギス、ティーニャだな。

 ずっとお留守番のノゾミには悪いが、フィアちゃんがある程度戦える事が分かったとはいえ、一撃もらったらぴちゅるオワタ式なのは変わらないので、安全が確保されていない戦闘に参加させられない以上、火力を減らせないんだよね。

 まぁ、ノゾミならたっぷりお昼寝できて喜んでるかもだけどね。


「……むぅ。すみません……」


「いや、あれはしょうがないって。俺達が避けれたのも偶然だしさ」

「きゅい!」

「ホー!」


 俺達は全員で森の奥へと進んではいるが、歩いているのはフィアちゃん以外のメンバーだな。

 フィアちゃんは俺の背中の上で、もたれかかるようにしておんぶされてる。

 しっかり捕まらないとずり落ちてしまいそうな気もするが、そこはフィアちゃんの筋力と器用値だ。

 デコボコの森の道をおんぶで進んでいるのに、フィアちゃんの体は殆ど揺れていない。乗り心地バッチリだな。


「……ですが、フィアの所為であなたにご迷惑を……」


「んー、本当に気にしなくていいんだけどなぁ……」


 というか、耳に息を吹きかけるのをやめて欲しい。

 フィアちゃんが、ちょこんと俺の右肩に頭を乗せて喋るものだから、その度に耳にフィアちゃんの吐息がかかって背筋がぞくぞくするような錯覚がしてくすぐったいんだよね。


 フィアちゃんが何故俺におんぶされているのかというと、森エリアの第三層に出てくるモンスターが問題だった。

 昼に出てくるモンスターの1匹は分かってる。どんぐリスだ。


 こいつらはアイギスでも庇いきれない波状攻撃を放ってくるのでフィアちゃんがやばいかと思ったんだが、フィアちゃんがもう1つの武器である綺麗な青を基調とした錬金杖を取り出すと、某大泥棒の仲間のつまらない物ばっかり切ってる侍がマシンガンの弾を切り裂くように、飛来するどんぐりを次々と打ち落としていった。


 フィアちゃんいわく、出来そうだと思ったからやってみたら出来たらしい。

 ボーパルが敏捷でやっている事を器用値でやっている感じだな。


 敏捷はドングリの軌道を見極め、打ち落とす。

 器用値はドングリの軌道を予測し、打ち落とす。


 っていう違いはあるけど、結果は同じだな。敏捷は不意打ちに対応出来ないし、器用値は予測できても間に合わなければ意味が無いから、まったく同じとは言えないけどね。


 とにかく、どんぐリスは問題なかったんだ。

 群れたドングリ帽子のリスのかわいさには俺もフィアちゃんもやられたけど、そんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない。


 問題なのはもう一匹の方。名前はチャームバタフライ。

 大きさは俺の顔ぐらいで、大きなハートと小さなハートを組み合わせた4枚の羽を持っている。薄いピンク色の羽に、所々白色の縁取りでハートの模様が描かれた実にキュートなちょうちょだな。


 そしてこのちょうちょが視界に入った瞬間。フィアちゃん以外の全員が一斉にあさっての方向を向いた。

 もはや、ちょうちょやガのような形のモンスターが視界に入ったら全力で目を逸らすのが条件反射になっている俺達と違い、バッチリ、シッカリ、キッカリ、チャームバタフライを目撃してしまったフィアちゃんは、バッチリ、シッカリ、キッカリ、魅了されてしまった。


 ぽっ、と頬をピンクに染め、瞳の中にハートマークを浮かべながら、熱に浮かされた様にふらふらと歩いていくフィアちゃんを、俺とアイギスで必死に引き止めている間にボーパル先生がちょうちょの羽が引きちぎれる程の連続キックで撃墜して、ティーニャが燃やし尽くしてしてくれたので事なきを得た。


 まだ魅了の効果が残っているのか、それとも恥ずかしさからか、頬をまだ若干ピンク色にしながらフィアちゃんにお礼を言ってもらって、その時はそれで終わったんだが、同じことが3回程続くと流石にへこんじゃって、目を瞑りながらでも進める方法として、俺がおんぶしながら進む事になった。

 ボーパル先生の索敵能力を掻い潜る敵が増えてきたなぁ……何か考えないと。

 空間察知でリスはある程度分かるみたいだけど、幹とかに止まって、身動ぎをしないちょうちょは分かんないみたいなんだよね。黒い樹ばっかりの森でピンクの羽だから、わりと先制で見つけれるからいいけど。


 んで、俺の背中にしがみ付いた目を瞑っているフィアちゃんからは、「……はぁ……はぁ」と、多少熱の籠もった吐息が、俺の右耳へと送り込まれている。ぞわぞわするからやめて欲しいんだけど、ちょこっとこのぞわぞわが癖になってきた感もある。


「……でもやっぱりあなたに任せきりなのは申し訳が……」


「分かった。分かった。フィアちゃんの謝罪はしっかりと受け取りました。だからフィアちゃんはもうごめんなさい禁止ね」


 失敗して落ち込んでるのは分かるけど、耳元でずっとぶつぶつ謝られ続けたらこっちまで気が滅入っちゃうよ。


「……え、ですが……」

「ありがとう!」


 突然立ち止まり大きな声でお礼を言い出した俺に、ボーパル達の視線がビックリしたように集まるが一旦置いておく。


「ごめんなさいって言うぐらいならありがとうって言ってよ。マイナスの言葉ばっかり言ってたらもっとマイナスな気持ちになっちゃうよ?それに、俺もフィアちゃんから貰うならごめんなさいより、ありがとうの方が嬉しいしね」


 そう言ってフィアちゃんへと、にこっと笑いかけたが、フィアちゃんは律儀にもまだ目を瞑ったままだったので、代わりに頭をなでなでした。フィアちゃんの髪の毛はサラサラだなぁ。ゲーム内だと汚れないし、髪が痛まないからかね?


「……ふゎ……ぅん……あ、ありがとうございます」

「うん。そっちの方が十倍かわいいよ!」


 にししっ、と笑ってフィアちゃんの頭を更になでなでしていると、プイッと顔を背けられてしまった。


「……ふんっ。ユウさんのその手の冗談は今回のクエストで聞き飽きました。事ある毎に言われてたらフィアだって、からかわれてるって気づきます」

「え~?本当の事なのにな~。イテッ!」

「きゅい!!」


 耳までほんのりピンクになって照れているフィアとお喋りしてると後頭部に衝撃が走った。

 ボーパルの叫びが耳に入り、脳で理解するまでの間に、条件反射で後ろを振り向く。

 すると視界に入ったのは、かわいいリス達とかわいいちょうちょ達。


 ……わ~、かわいいな~。そりゃあ敵地のど真ん中で叫べば敵が寄ってくるよね~。てへっ。





 ……ミィ~~~スったぁあああ!!


 という脳内の叫びは視界に写るチャームバタフライの羽から侵食してきたピンク色に押し流されて塗り変えられた。


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


魅了はノゲノラの愛の奴隷状態みたいな感じかなぁ。相手に対する警戒心が0になる感じ?

殴ったら戻ります。


次回はどうしようかなぁ。

ユウが目覚めたところに飛ぶか、フィアちゃん視点にするか、まさかのティーニャ視点にするか・・・

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