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145匹目 寝起きドッキリ

前回こっちではセクハラをしないと言ったな。


・・・ふっ(遠い目)

 

「お~い。フィアちゃ~ん。朝だぞ~。起きて~」


「……うぅ~ん……お姉ちゃん……森が……ユウさんに……」


 フィアちゃんと仲良く添い寝をした翌朝。ログインした俺は隣で寝ているフィアちゃんを起こそうとゆさゆさしてるんだが、悪夢を見ているのかうなせれるばかりで全然起きる気配がない。

 昨日は何でもないように振舞っていたけど、エルが石化したり、初めて街の外に出たり、俺と体が入れ替わったりと、いろいろ疲れが溜まっていたんだろうな。


 疲れてるんなら寝かせてあげたい気もするけど、うなされてるし起こしてあげたほうがいいよな?まぁ、さっきから起こそうとしてるのに目が覚めなくて困ってるんだけど。


「……んん、ボーパルちゃん……」

「あっ……」


 フィアちゃんが唐突にフィアちゃんの体を揺すっていた俺の右手を掴んで、俺が腰をおろしている場所とは反対の右側へとコロンと寝返りを打った。

 フィアちゃんの体が回転したら、当然手首をとられている俺もその回転に巻き込まれて引っ張られるわけで……


「ぷへっ!」

「……うぅん……」


 とっさに左手をフィアちゃんの頭の向こうについたけど、筋力値の差と不意打ちの所為で減速仕切れなかった俺はフィアちゃんの首元にキスをする様に顔をうずめてしまった。


 ……うん。フィアちゃんの首元から女の子の甘い匂いがする。心なしかフィアちゃんに触れた俺の唇にも甘い感触が残ってるな。流石VRMMO。五感の再現率が高いわ~……


「……ふ、不可抗力!!不可抗力だからノーカン!アカBANは勘弁してつかあさい!」


 この場に居ない誰かに……というかきっと見ているであろう2人のGM(特にメト)に対して弁明を叫びつつ、フィアちゃんから体を離すために左手を突っ張ろうとしたんだが、失敗してもう1回フィアちゃんの首元に見えないキスマークを付けてしまった。


「……ふにゅぅ……」


 右肩を真下へと押さえつけられている状態からなんとか首を捻りフィアちゃんの胸元を見ると、上下逆の十字固め状態で拘束されている俺の右腕があった。


 俺の体が下がった事でフィアちゃんの胸元あたりに来た俺の肘に、フィアちゃんが両手で抱きかかえるように押さえて、手の平はふとももで挟み込んで拘束されてる。

 普通上下逆だと簡単に振りほどけると思うんだが、そこは貧弱な俺の筋力。体勢が悪いこともあり寝ぼけた少女の拘束すら振りほどけない。故に俺はフィアちゃんの首元に顔をうずめたまま、肘をフィアちゃんの慎ましやかな胸に押し付けられ、手のひらをぷにぷにのふとももで挟まれた状態から動くことが出来ないのだ。不可抗力だからね。しかたないね。


 とはいえ、いつまでもこの状況を甘受してはいられないんだよなぁ。

 頭の上から聞こえてくるフィアちゃんの寝息は、抱き腕枕効果か落ち着きを取り戻し、心安らかに眠りっているようで大変よろしいんだが、関節を決められ続けている俺のHPがゴリゴリと音を立てて削れている。もし痛覚設定をONにしていたらと思うと背筋が寒くなってくるな。


 さて、俺がフィアちゃんに抱き殺される前に、なんとかフィアちゃんには起きて欲しいんだが、どうすべきか。

 右手は完全に拘束されているし、左手はフィアちゃんに体重をかけないように突っ張ってるから動かせない。となれば使えるのは口ぐらいか。そして目の前にはおいしそうな白い肌が。これはフィアちゃんの首筋をはむはむペロペロしろって事ですね。分かります。


 ……しないよ?普通に声をかけて起こすよ?だからハラスメント注意のアラームさんは帰って、どうぞ。


「……うにゅ……?ユウさん……?どこ……?」


「あ、フィアちゃん起きた?おはよう」

「……おはようございます……?」


 ハラスメント注意のアラームさんが目覚まし代わりになったのかフィアちゃんがやっと起きてくれた。

 これで、フィアちゃんへのセクハラとHP減少のチキンレースは終了だな。


 ……何と何でレースをしてるんだ俺は……


「寝起きで悪いんだけど俺の腕を離してくれると助かるかな。流石にそろそろダメージが無視出来ないレベルになってきたから」

「……ぅん?……腕……?」


 まだ寝起きで頭がボーっとしているのか俺の腕をぎゅ~っと抱きしめたまま、足の間に挟まっている俺の手の感触を確かめるようにふとももをむにむにと擦り合わせているフィアちゃんに、腕の開放をお願いすると目の焦点がちゃんと合ってるのか心配になるとろんとした瞳が自分の体へと下りていった。


 最初にフィアちゃんの瞳に映ったのは、フィアちゃんの首元に顔をうずめるように押さえつけられている俺の頭。次にフィアちゃんの胸の間へと押し付けるように関節をキメられている俺の腕。最後にフィアちゃんのふとももに挟まれ身動きが取れない俺の手。


 そこまでを目にしたフィアちゃんは、とろんとした瞳をきょとんとした瞳へと変えて僅かに首を傾げている。寝起きの頭では今の現状を受け入れる事が出来なかったのだろう。自分の足元まで移動させた視線が今度はゆっくりと上がってくる。


 最初にフィアちゃんが認識したのは、フィアちゃんのふともものかなり際どい位置を(まさぐ)っている俺の手。次にフィアちゃんの胸のほのかなふくらみを確かめる様に強く押し付けられている俺の腕。最後にフィアちゃんの匂いを楽しむように、あるいはその柔肌を舐めまわすように首元へと押し付けられている俺の頭。


 そこまでを認識したフィアちゃんは、きょとんとした瞳をぐるぐると混乱した瞳へと変えて体全体をピンク色へと染めていく。


「な……にゃにゅをやっひぇるんでふかあにゃたは!!」(訳:なにをやってるんですかあなたは!!)

「ちょっ!フィアちゃん!締まってるキマってるメキってる!!」


 一度に現在正気度の5分の1以上の羞恥を得たフィアちゃんは不定の羞恥に陥った訳では無いだろうが、少なからず混乱しているようで呂律の回っていない言葉と唾を俺の顔へと浴びせながら両手と両足で拘束している俺の腕に更に力を込めて圧し折りにかかってきた。

 当然痛みは無いけど、自分の肘からメキメキミシミシという音が響いてくるのは恐怖以外の何物でもない。


「寝ているフィアを襲おうとするなんて信じられません!信じてたのに……」

「いやいやいやいや!朝になったから起こそうとした俺をフィアちゃんが抱え込んで関節をキメてきたんだよ!?」


 俺は悪くねぇ!


「……ふぇ?」


 フィアちゃんが俺の言葉を聞き一瞬力が抜けた隙を突いて急いで右腕を救出する。

 しばらくグッパーしたり、肩を回したりしてみるが問題なく動いたな。ふぅ……危うく勘違いで片腕が使えなくなるところだった。基本後衛とはいえ、片腕が使えないハンデはでかいからな。


 俺が腕の調子を確かめている間に、フィアちゃんも俺の3割近く削れているHPを確認したのか、「フィアちゃんを襲おうとしたわけじゃ無い」という俺の話を多少なりと信じてくれたみたいで、大分落ち着きを取り戻してくれた。


「……そういえば夢でボーパルちゃんを抱きしめていたような……」

「あ、それは俺の腕だな」


 腕というか肘だな。綺麗にキメてくれた。


「……むぅ。やっぱりボーパルちゃんを足で挟んでた気も……」

「そっちは俺の手だな。というかボーパルの大きさで抱きしめながら足では挟めないだろ?」


 ぎゅっと抱きつけるサイズの大きなボーパルはありだと思うが。むしろありだと思うが。


「……つまり、こういう事ですか?……フィアは寝ぼけてあなたの腕を抱きしめた上に、あなたの手を足に挟んで離さず、起きたらあなたがフィアを襲おうとしていると勘違いして攻撃してしまった、と?」

「YES!」


「……はぅぅ……」


 親指をグッと立ててフィアちゃんの言うことを肯定すると、俺から離れた事で熱が収まりつつあったフィアちゃんのほっぺたが、またポンっと幻聴が聞こえそうな速度で赤面して、両手で顔を隠されてしまった。

 顔を隠してるフィアちゃんの手も真っ赤だから色的にはあんまり変わってないけどね。


 照れてるフィアちゃんもかわえぇから、もうちょっとイジメていたい気もするけど、「ねぇねぇ今どんな気持ち?」とかって聞くのはあまりにもデリカシーが無さ過ぎるからこれぐらいにしておきますか。せっかく誤解が解けたのにまた蒸し返すのもな。


「……ふぃ、フィアはもちろんあなたを信じてました……よ?」

「嘘おっしゃい。思いっきり『信じてたのに……』って過去形で言ってたじゃん」


「……むぅ~、ふみゃっ!……ゆ、ユウさんはいじわるですぅ……」


 はっ!ちょっと視線を逸らして照れてるフィアちゃんがかわいすぎてついほっぺたをぷにっとしてしまった!


 も、もうちょっとぐらいなら楽しんでもバチは当たらないよね?ね?


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。


おかしい。セクハラは控えると言ったのに運営から注意が飛んできた・・・

今回は修行回にするはずだったのにテントから出るだけで(まだ出れてない)1話使ってしまった・・・

当初の予定ではそろそろユニコーンの角を手に入れているはずなのにユニコーンのユの字も出てきてない・・・

牧場○語が楽しすぎて執筆が進まない・・・アンゴラウサギのボーパルと、ニワトリのミズキと、ヒツジのアイギスと、ネコのノゾミと、野良キツネのイナリは出てきたから、次は妖精のティーニャが出てくる番だな。楽しみ。

あとウシのカゲロウがモーモー言ってる。ウシの名前の時点でこれしか思いつかなかった。ちくせう。順調に洗脳されてやがる!

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