143匹目 フィアの実力・・・?
2話同時更新です。
時系列は殆ど同じだからどっちから見ても問題ないよ。
あっ……
「アイギスガーーーーード!!」
「メェ!?」
「「「ブヒィ!?」」」
すぐ隣で空を泳いでいたアイギスの後ろ足を掴み、ブタの方に放り投げるのに合わせてセットスキルの跳躍を使い、後ろへと跳ぶ。
アイギスをぶん投げた反動もあり、なんとかブタの攻撃をかわすことが出来た。代わりに成すすべなく空中で殴られたアイギスが後方へ吹っ飛んでいったが、まぁ問題ないだろう。だって、
モンスター オーク Lv18
状態 アクティブ
レベル差が倍あるもんな。アイギスの耐久力を持ってすれば問題なしだ。
ジャララ……ドスン!!
「てめえらの血はなに色だーっ!死にたい奴からかかって来いーっ!!」
サブ武器であるトゲトゲ鉄球を取り出して横にドスンと置く。
ぶっちゃけトゲトゲ鉄球の扱いなんて出来ないから殆どハッタリなんだが、このまま押し通すしかない!
頑張れ俺!負けるな俺!勝負に負けても試合に負けても心が折れなきゃ負けじゃ無い!ピンチの時こそふてぶてしく笑うんだよぅ!
「ブ、ブヒィイイイ……」
「ブ、ブヒブヒ」
「ブブゥ……」
俺のハッタリが効いたのか、小さくて細い少女とトゲトゲ鉄球の異色の組み合わせがオークの警戒心を煽ったのか、オーク達は攻撃を止めてこちらの動きを見ることにしたようだ。
……一切の迷い無くアイギスをスケープゴートにした上に、吹き飛んだアイギスの方を見ようともしない俺を見て「こいつやべぇよ!マジキチだよ!」って顔をオークがしている気がするが気のせいだろう。
とにかく今の内にもう一度状況を整理しよう。
まず、フィアちゃんからだ。
フィアちゃんは戦闘系のスキルは1つも持ってない。武器はメインが錬金杖でサブがトゲトゲ鉄球。ステータスは器用値が一番高く、ついで筋力。自分の体よりも何倍も大きな鍋をかき混ぜるのはかなりの筋力が必要らしく、トゲトゲ鉄球を振り回すことも出来るが、俺自体がトゲトゲ鉄球の扱いを知らないので上手く使えない。
後は、爆弾を投げたりして戦うらしいが俺じゃフィアちゃんのストレージは開けないし、開いたとしても効果が良くわからない爆弾を使って自爆はしたくないな。
俺の体に入っているフィアちゃんはまだ、石碑の解析を続けている。フィアちゃんが解析し終わって俺達が元に戻ればオークさんは終了のお知らせだ。
となればなんとか、フィアちゃんが解析を終えるまで時間を稼ぎたいんだが……
「~~~!」
「ブヒィイイ!?」
「「ブ、ブヒイイ!!」」
と、そこでノビているイナリの前辺りから飛び出した火球がオークの1匹の顔面に激突し、燃え上がらせた。
「ナイス、イナリ!いや、ティーニャか?どっちでもいいがよくやった!いっけえええええ!」
イナリを褒めると、イナリの下から小さな手がブンブンと振られたので今のはティーニャか。そういえばイナリもティーニャも火魔法が使えたな。体が入れ替わっても変わらず使える魔法があるのはいいぞ。森の中で火っていう判断はどうかと思うけど。
そして萌えブタ……では無く燃えてるオークに俺の追撃のトゲトゲ鉄球が向かう。
俺自身の体を1回転させた遠心力を乗せて、横凪に力任せに振るわれたトゲトゲ鉄球は鎖を長く伸ばし過ぎてオークの遥か後ろを通過し、鎖の部分が火球の当たったオークにぶつかった瞬間加速してオーク3体の周りをグルグルと回り、オーク3体を鎖で捕らえてしまった。
「「「ブ、ブヒィイイイイイイ!?」」」
「と、トゲトゲ鉄球つえぇ……」
「~~~~!」
鎖はグルグル巻きになっているだけだからすぐ脱出出来るだろうし、絡まっている間武器を失うからこの使い方は正規じゃないのかも知れないけど、今は問題なし。
急いでかすり傷だった盾を右手に装備し、イナリのしたから救出した火球放射器を左手に装備して鎖に囚われもがいている。オーク3体へと近づく。
「「「ブ、ブヒィ!ブブゥ!」」」
「ちょっと、何言ってるか分からないですねぇ」
雨に打たれるチワワみたいな瞳で懸命に命乞いをしているのは何となくわかるんだが、内容がちっとも伝わらないから意味無し。そもそも何を言われてもフィアちゃんを襲うようなブタ野郎を見逃す気は無いしね。
ん~、まぁ。オークだし、多分「くっ殺せ!」とか言ってるんだろ。それじゃあ遠慮なく。
「お前の罪を数えろ!汚物は消毒じゃー!!」
「~~~!」
「「「ブ、ブヒィイイイイ!!」」」
燃えろ~燃えろ~よ~。炎よ燃えろ~。火の粉を巻き上げ~天までこがせ~
「チャーシュー3つの出来上がり!紐じゃ無くて鎖で縛って焼いてある所が美味しさの秘訣だな!」
「~~~!」
「……およ?」
ブタ人間を名状しがたきチャーシューの様な物に変えた後。急に視界が歪んだと思ったらチャーシューが苔むした岩になった。
「あ、元に戻ったな。オークを倒すのがイベント終了条件だったわけね」
「……よかったです。やっぱり自分の体が一番です」
全員の憑依状態も同時に解除されたらしく、無事に自分の体に戻れたフィアちゃんがホッと胸を撫で下ろしながらこっちへと歩いてきた。
その後ろではボーパル達も自分の体に戻れたらしく、さっきまでの壊れたおもちゃの様な動きからいつもどおりの動きに戻ってるな。
「きゅい~」
「メェエエ?」
「~~!!~~!」
「コン!コンコン!」
ボーパルはアイギスの足をポムポムと叩いて、なにやら慰めており、イナリは押し潰された仕返しとばかりにティーニャを踏みつけようとしてヒラリヒラリと木の葉の様に避けられてる。折角殆ど無傷で切り抜けたってのにこんな所で怪我するなよ~
「……予想外に時間を取られました。日が暮れる前にあなたが言っていた社へ向かいましょう」
「だな。オークを封印したらさっさと行こうか」
ちょっと危なかったけど、入れ替わりは結構楽しかったな。
なんとか帰り道でも寄れないかフィアちゃんを説得できないかな~。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
フィアちゃん強い(確信)
実際ゲームとかで見るサイズの鍋を均等にかき混ぜようとしたら結構大変そうだよね。しかもずっとだし。
トゲトゲ鉄球を飛ばせるほどの筋力が必要なのかは分からんけど。
さらばオークさん。合掌。




