140匹目 妖精の儀式
本日2話目を『くらえ!』
オドロキ君を見ると怪文の悪夢とついでに牛の叫び声ガガガガガガ・・・
マヨイちゃんめっちゃ成長してたね。中身はほとんど変わってないけど。
ティーニャに連れられやってきました。第二層の外れ。
ここでは沢山のフェアリー達が輪になって踊っています。いやぁ~かわいいですねぇ~。
「……!ティーニャちゃんがいっぱいです!」
「いや、ティーニャは種族名じゃないからね?固体名だからね?」
「……間違えました。ちょっと前のティーニャちゃんがいっぱいです」
「いや、間違えてるところはそこじゃなくって……まぁいいや。でも、フェアリー達はなんでこんなところにいるんだろ?」
沢山のフェアリーを初めて見て、テンション上がりまくりで、俺の言葉が半分程しか耳に入っていないっぽいフィアちゃんは置いておいて、フェアリー達の観察をする。
フェアリーの紙装甲じゃ、フェアリーガーデンの外は危険が危ないだろうに……って、よく考えたらフェアリーもモンスターだったな。イベントでも無ければモンスターに襲われたりはしないか。
「「「「~~~~♪」」」」
「……ちっちゃくてかわいいです!」
マイムマイムを踊るように、輪になったフェアリー達が、時計回りに回転しながら、輪っかを大きくしたり小さくしたりして踊っている。どのフェアリーもみんな楽しそうに笑いながら、なにやら歌のような物を歌ってるな。
フィアちゃんの言う通り、お人形さんみたいなフェアリー達がいっぱい集まって心の底から楽しそうに踊っている様子はすんごくかわいい。フェアリーは家にいっぱいいるけど、やっぱり何度見てもかわいいなぁ……
「~~~~!」
「「「「~~~~!」」」」
ティーニャがフェアリー達の所へ飛んでいって何か話してる。
妖精語は分かんないけど、今のティーニャ達の会話はなんとなく分かった。ティーニャが「ま~ぜ~て!」って言って、踊ってたフェアリー達が「い~い~よ!」って言ったんだろうな。
「「「「~~~~♪」」」」
「~~~!」
「うわっとっと……俺達もか?」
「……楽しそうです。ぜひ一緒に踊りましょう」
「きゅい!!」
「メェエ~?」
「コンコーン!!」
歌って踊ってたフェアリー達が一度解散して、俺達の背中をグイグイと押して、さっきまで自分達が踊っていた場所へと連れて行こうとする。
もちろん貧弱なフェアリーの筋力じゃ、俺達を無理やり押すことなんて出来ないけど、そもそも俺達には拒否する気持ちがアイギス以外は無いからな。おとなしくフェアリーに連れられて前へと進む。
「えぇ~?踊るの?メンドイ……」とでも言いたげなアイギスはイナリに咥えられての強制連行だ。
アイギスはいつも、初めは面倒臭そうな顔してるけど、いざ遊ぶとなったら楽しそうにしてるからな。こういう時は無理やりでも誘ってあげるに限る。ひとりぼっちは寂しいもんな。
「「「「~~~~♪」」」」
「きゅい、きゅい。きゅきゅい。きゅきゅう♪」
「メェエエ~」
「コン、コン。ココーン。ココ~ン♪」
俺達が連れてこられたダンス会場の中心には、ぼんやりと光る石碑っぽいなにかが置いてあった。フェアリー達はこれを中心にグルグルと周りを回って踊ってたんだな。
何が書いてあるかは読めないけど、なんか神秘的な雰囲気で綺麗だな。
「……どうしましょう。フィアはティーニャちゃん達が歌っているお歌の歌詞を知りません。あなたは知りませんか?」
「いや、俺も知らないけど……まぁ、フェアリー達だし、大体の雰囲気で歌ってればいいんでね?耳コピして」
フェアリー達の歌を聞いてたけど、歌って言うよりは短いフレーズを何回も繰り返している感じなんだよね。これなら覚える量は少ないからなんとかならないかな?
「え~と、『いあ、いあ……』?う~ん。ダメだ、全然聞き取れん……」
「……『クタ……』『クテ』?『クトゥ……』?むぅ。分かりません」
2人掛りでもダメでした。妖精語は声が高すぎて音を拾うだけでも難しいんだよなぁ……全部「~~~~!」っていう超音波みたいな音に聞こえる。
仕方ないので、なんとなく雰囲気だけ合わせて適当にグルグル踊ってたらドンドン楽しくなってきた。
すぅ~と何かが抜ける感覚と共に、心がふわふわしてどんどん軽くなってゆくぅ~。たぁ~のしぃ~なぁ~。たぁ~のしぃ~なぁ~。
「たぁ~のしぃ~、ハッ!あ、あれ?俺は一体……」
ふと、気がついたらフェアリー達と石碑の周りを踊っていた。
んん?微妙に記憶が飛んでる気が……?
というか、踊ってるみんながメッチャ笑顔だな。フェアリー達はもちろん。あのフィアちゃんまで満面の笑みで狂ったように笑いながら踊ってる。幸福薬打たれたみたいになってる。
……なんだろう。楽しそうではあるんだけど、そこはかとない狂気を感じる……というか、いつの間にか石碑の下に魔法陣っぽい物が光ってるんだけど、あんなのあったっけ?最初から魔法陣グルグルしてたんだっけ?というか気づいたらMPが半分程ごっそりと消えてるんだけど、なにか魔法使ったっけ?あ、俺以外のメンバーもMP減ってる。MPが少ないボーパルとアイギスのMPなんかもうすぐ0になりそう。あ、0になった。2匹とも糸の切れた人形みたいに気絶しちゃった。
……最強の矛と盾だった2匹が両方倒れたのか~。そうか~
「……よし。逃げよう。フィアちゃん逃げるよ!!」
「……あっ」
どう考えてもヤバそうだから、とりあえずフィアちゃんだけを連れてこの場から離れて全員を召喚し直そうという俺の目論見は、俺が背中を向けるよりも一足速く強い閃光を放った魔法陣によって阻止されてしまった。
魔法陣から広がっていく閃光は、笑いながら踊り続けているフェアリー達を飲み込み。気絶しているボーパル達を飲み込み。俺に手を引かれて驚いた顔をしているフィアちゃんを飲み込み。なんとか逃げようとしている俺を飲み込んだ……
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……知らない天井だ。
というか天井じゃなくて地面だ。俺は地面にうつ伏せに倒れてるんだな。え?なんで地面に?
あ~、確か。森で出会ったフェアリー達と一緒に踊り狂っていたら魔法陣がカッ!って、なって光になったんだったな。そこから記憶が無いが……コケて頭を打って気絶してたとか?恥ずかしい!
んっ、ん~?あれ?な~んか体に違和感が……体の内側から不協和音が響いて来るみたいでキモチワルイ……耐えられない程じゃないけど、一応体の確認をしておこうか。
え~と。ふとももの半分ぐらいまでしかない短いスカートに、スカートの5センチ下までを覆い隠しているしましまニーソ。両手は真っ白な手袋を着けていて頭の上には2本のウサミミが踊っているのが感触で分かる。
うん。いつも着ていたウサギさんセットだな。何も問題は無い。何も問題は……無いよな?
ん~、頭をぶつけたせいかイマイチ考えが纏まらない……
「……うぅ。一体なにが起きたのですか……」
「あっフィアちゃん?気がつい……た……」
地面から体を起こして座り込んでいた俺の背後。
そこから聞こえた声に反応して振り向いた俺の視界には。
頭痛がするのか目を閉じて、片手で額を押さえている、地面から体を起こした。
俺が居た。
もふもふ!
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問題。次の3つの内、神話生物”ウサ神様”の鳴き声はどれでしょう。
①きゅいきゅ・い きゅいきゅ・い
②もふも・ふ もふも・ふ
③ぴょんぴょ・ん ぴょんぴょ・ん
正解はWEBで!




