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138匹目 ウサギフィア

戦闘は・・・苦手なんじゃ・・・むしろ、もふもふと幼女以外は・・・苦手なんじゃ・・・

 

「フィアちゃ~ん。迎えに来たよ~」

「きゅぅい~」


 お昼寝中のみんなを置いて街へと戻ってきた俺とボーパルは、CLOSEの札が掛かっているアトリエの前でフィアちゃんを呼んでいた。

 チャイムがあれば鳴らすんだけど、ドアベルは付いてるのにチャイムは付いてないからな。まぁ、俺の家にも付いてないけど。


 扉をノックしてからしばらく経ったのに、アトリエ側からなんの返事も無いから、もう1回ノックしようかな?と考えていたらアトリエの扉がゆっくりと開いて、扉の隙間からぴょこんとウサミミが飛び出してきた。


 ……えっと、これはどういう状況なのかな?頭かくして耳隠さず状態?いや、そもそも隠れる必要ないよね?扉が開いた時点でフィアちゃんが開けてくれた事は分かってるんだし……

 もしかして俺を誘ってるのかな?そんな怯えたウサギみたいに、ウサミミをぷるぷる震わされたら、ぎゅっと抱きしめて撫で回したくなっちゃうでしょ!


「えっと、フィアちゃん?どうしたの?」

「きゅうい?」


 とりあえず、扉の向こう側にフィアちゃんが居ることは確実なんだし、扉の隙間から中を覗き込もうと思ったら、それよりも先にボーパルがぴょこぴょこと扉の内側に入っていって。すぐに扉が開けられた。


「……あっ……」


 扉が開いた先には、予想どおりにウサギさんセットを身につけたフィアちゃんと、水色と白のしましまニーソに包まれた細いフィアちゃんの足に嬉しそうに顔をこすり付けているボーパルが居た。

 ちょっと前まで俺が着てた服だしな、ボーパルには懐かしいのかもな。


 予想と違ったのはウサギさんセットを着ているフィアちゃんの反応だ。

 てっきり、これからの戦いや、エルの様子を考えて硬い表情をしているか、かわいい服を着てちょっと得意げなドヤ顔でもしてるかな~と思っていたんだが。


 実際は、もともと雪の様に白かった肌をほんのり桜色に染めて、小さなウサギの顔のぬいぐるみの飾りが手の甲についた手袋で、膝からよりも股下からの方が近そうな短いスカートを必至に押さえつつ、膝を擦り合わせてもじもじしてる。


「……あぅ……あんまり、見ないでください。この服。ちょっとえっちぃです……」


 照れて桜色になっている顔をぷいっと横に向けて、拗ねた表情をしているフィアちゃんの頭の上では、自動で動くウサミミがぴょんぴょんと自己主張をしてる。


 なんだこの可愛い生物は!お持ち帰りしたい!今すぐぎゅっと抱きしめてもふもふしたい!否!する!


「照れてるフィアちゃんもかわいい!!」ぎゅっ!

「……ちょっ、抱きつかないでください!頭も撫でないでください!子供扱いしないでくださいって前も言ったじゃないですか!」


 フィアちゃんに正面からぎゅ~っと抱きついて、ウサミミの付け根辺りを帽子越しになでなでしてたらイヤイヤと首を振って拒否されてしまった。フィアちゃんが首を振るのに合わせて振られたウサミミが、ペチモフと俺の顔に当たってる。幸せ。


「え~?子供扱いなんてしてないよ~?小動物扱いしてるだけだって~。もふもふ、さわさわ、すりすり、ぎゅ~」

「きゅい~!」むぎゅむぎゅ!


 俺がフィアちゃん成分を補給していると、一緒に遊びたいと思ったのか、ボーパルが天井を蹴って、俺とフィアちゃんの間に無理やり体を突っ込んできた。


 もう~。ボーパルも、ヤキモチさんだな~。一緒にもふもふしちゃうぞ~!


「……ボーパルちゃんまで……ふぅ。もういいです。よく考えたらこうしてあなたに全身を撫で回されるのに比べたらちょっとスカートの丈が短いぐらい、そんなに恥ずかしくなかったです。そもそもあなたの服の方が丈は短いですしね……」


 あ、楽しそうにピコピコ振られてるボーパルのしっぽの向こうに見えるフィアちゃんが、何かを諦めたような色彩の消えた瞳をして、脱力してる。

 照れフィアタイムは終了かぁ~。じゃあ俺も一旦離れようかな。

 なんか、若干シルフが憑依していたような気もするし、このまま続けてたらドアノブが照れちゃうかもだしな。


「よっし!フィアちゃん成分の補充完了!それじゃ、森へ出発しようか!」

「きゅいー!」

「……フィアちゃん成分ってなんですか……姉さんみたいな事言わないでください」


 なんと。エルに先を越されていたとは。ぐぬぬ……俺も精進せねば。


「……また、バカな事を考えている顔をしてます。姉さんが待ってるんです。早く行きますよ」

「きゅーいー!」

「あっ、ちょっと待って!置いてかないで!」


 こうして、何故か戦闘能力が1番低いであろうフィアちゃんを先頭に、街から出発した。

 あっ、戦闘に入る前にフィアちゃんのレベルを鑑定しておかないとね。生産活動でもレベルは上がるらしいし、もしかしたら高レベルの可能性もあるかも。まぁ、レベルだけ高くても、器用値極振りとかだったら戦闘は出来ないけどね。


 -------------------------------------


「……ふぅ。久しぶりに沢山歩きました」

「……ああ、うん。森の入り口についたね」

「きゅい!」


 キツネミミとウサミミとウサギの3人パーティはレベル差のため、ウサギに1回も襲われることなく森の入り口まで、テクテクやってきた。ここまでは正直ピクニックと変わらないが、ここから先がアクティブモンスターが出てくるから気をつけないとな。


「……どうしたのですか。街を出てからずっとうわの空ですが……」

「ああ、いや。気にしなくていいよ。ちょっと考え事をしてただけだから。これからはちゃんとやるから!」


 まぁ、今考えても答えが出るわけじゃ無いからな。とりあえず、横に置いといて。さっさと戦う準備をしようか。

 みんな出て来い!


「メェエエ……」zzz

「~~~~……」zzz

「こむにゅむにゃ」zzz


「って、全員、寝てんじゃねーよ!もう召喚したんだから起きる起きる!」


 最初に召喚したメンバーは、アイギスとティーニャの、囮と爆弾コンビ。

 それと、イナリだな。イナリにはフィアに張り付いて護衛をしてもらおうと思ってる。アイギスの挑発とボーパルの遊撃の両方を抜けてくる相手用の対策だな。まぁ、第三層までは心配する必要は無いと思うけど。


 寝ているアイギスのお腹をわしゃわしゃしてアイギスと、アイギスを枕にしていたイナリを起こし、イナリの頭をこねくり回すことでしっぽを振らせて、イナリのしっぽに包まっていたティーニャを吹き飛ばして起こした。

 ついでにイナリのしっぽをもふろうと近づいていたフィアちゃんも、イナリのしっぽビンタにもふっ!とやられて、尻餅をついてた。嬉しそうな顔で。


 分かる分かる。イナリのしっぽのもふもふには幸せが詰まってるよな~。もふもふが好きな人に悪い人はいない!


「よし。全員起きたな。それじゃあ出発!目指すはクマの所だ!行くぞー!」

「……はい。よろしくお願いします」

「きゅい!」

「メェエ」

「~~!」

「コーン!」


 以下クマ戦ダイジェスト。


 クマが現れた!


 クマの雄たけび!


 ユウには効果が無いようだ

 ボーパルには効果が無いようだ

 アイギスには効果が無いようだ

 ティーニャには効果が無いようだ

 イナリには効果が無いようだ

 フィアは恐怖になった!


 フィアは訳も分からずユウに抱きついた!

 ユウは驚き戸惑っている!


 ボーパルの攻撃!


 クマは力尽きた!


 ユウはクマの毛皮を手に入れた!


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


ロックゴーレム「ラースベアーがやられたようだな・・・」

サンドマン 「ククク・・・奴は四天王の中でも最弱・・・」

??? 「ウサギごときに負けるとは、我ら第一層四天王の面汚しよ・・・」

ラースベアー2「前回の俺様はウサギ如きに負ける面汚しだったが、今回の俺様は完璧だ」


なお???以外の四天王は既にウサギ如きに負けている様です。

早く海に進出してイルカとか幼女人魚とか、セイレーン(ロリ)とかを仲間にしたいけど、なかなか・・・。エリアボスはア○スラさんとかでいいよね。


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