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135匹目 どんぐり合戦

逆転裁判のアニメなんてやってたんですね。この前初めてみました。

碧ちゃん。もとい、真宵ちゃんがかわいかった。

「きぃう!」


「あいた!」


 木の上から投擲されたドングリが俺の眉間にスコーン!と命中し、思わず顔を仰け反らせる。

 実際は痛くないんだけど、びっくりして痛いって叫んじゃうことってあるよね。俺が特別ビビリなわけじゃないよね?


「コーン?」


「おぅ。大丈夫だ。大袈裟に叫んじゃっただけだからな。心配してくれてありがとうな」

「コン!」


 俺にドングリをぶつけてくれた相手を消し炭にしたイナリが心配そうに俺の顔を覗き込んできたので、安心させる意味と感謝を込めて頭をなでなでしてやると、嬉しそうにしっぽをぽふぽふと俺にぶつけてきた。

 当ててんのよってやつですね分かります。でもイナリさん。嬉しいのは伝わってくるんですが、狐火の操作が不安定になってふらふらしているので戦闘に集中してください。我らがリーダーが居るから負ける事は無いけど、今みたいに攻撃が飛んでくることはあるんだからね?


 さて、俺達は今森エリア第三層の昼にいる。昼夜が入れ替わるギリギリまで粘って月光草を集めた後、アトリエへ行こうと向かっている途中で襲い掛かってきたモンスターの迎撃中だな。

 メンバーはミズキを除いた5人。ボーパル、アイギス、ティーニャ、ノゾミ、イナリ、俺だ。

 ミズキとティーニャはMPが切れたら交代して今は2回目のティーニャだな。ノゾミにMP回復の歌を歌い続けてもらえばもっと継戦能力が上がりそうだが、同時に戦闘回数も上がるのは目に見えているんだよなぁ……

 コンフューモスは別にいいんだけど、ギャザーファイヤフライさんに見つかると、蛾の大群を送り込まれるから戦闘時以外は控えてもらっている。キモイもん。戦闘時は光ったり燃えたり断末魔の悲鳴が上がったりするから歌ぐらい今更だな。

 そもそも今回の目的はレベリングじゃ無くて採取だしな。戦闘する必要性もない。


「「「きぃうい!」」」


「~~~!」

「……んにゅ」

「あたたたっ!」


 敵モンスターの一斉攻撃に「あぶにゃい!」とばかりに俺を盾にして隠れるティーニャ。……と、最初から隠れてるノゾミ。

 ご主人様を盾にするってどうよ……いや、いいんだけどね。ティーニャもノゾミも紙装甲だし、物理耐性のあるイナリのしっぽは、ぶんぶんもふもふと振られてて風圧だけでティーニャが飛んでいきそうだしね。でもそのせいで一子相伝の暗殺拳みたいな声が出ちゃったよ、まったく。


「きゅいきゅいきゅいきゅい!!」

「メェエエエ!」


「「「きぃうぅ~~」」」


 ボーパルが枝から枝へと飛び回り、1跳びで2,3匹ずつぐらい敵を仕留めていっているし、アイギスに群がってきた敵をティーニャが纏めて(もちろんアイギスを含む)吹き飛ばしているんだが、なかなか数が減らない。

 分身でもしてるんじゃ無いかと思って鑑定してみたんだが、特になにも書かれてなかったし、ギャザーファイヤフライさんみたいに仲間を呼ぶ能力でもあるのかね?


 モンスター どんぐリス Lv28

 状態 アクティブ


 駄洒落か!と突っ込んでしまった俺は悪くねえ。

 見た目はドングリ帽子を被った手のひらサイズのリスだな。おしゃれさんだね~。先端がくるんと丸められたふわふわしっぽがちょー可愛い。丸まっている中に指を突っ込みたい。


 ちっこかわいいどんぐリスは頭のドングリ帽子の中に手を突っ込んで、帽子に入っていたにしてはおかしいサイズのドングリを引っ張りだして投げつけてくる。

 珍しい遠距離物理タイプだな。レベル差もあり、個々はたいして強くないんだが、数が多い。防衛イベント時ならアイギスの範囲挑発→ティーニャの爆撃で決着がつくんだが、遠距離攻撃基本の相手に挑発しても殆どのリスは近くに寄って来ないし、派手に爆撃して倒れてきた木の下敷きになったりなんかしたら目も当てられないから広範囲攻撃もしづらい。

 まぁ、つまりは地道に仕留めるしか無いわけだな。既に日が昇ってるし、タイムリミットは無いから頑張ろうか。戦闘中は封印が出来ないしな。


 どんぐリスかわいい。是非仲間にお招きしたい。


 -------------------------------------


 《スキル:付加魔法がレベルアップしました》

 《召喚モンスター:イナリがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》


 イナリ 妖狐

  Lv24 → 25

  体力10 → 12

  筋力11

  敏捷35 → 36

  器用15

  魔力40

  精神15


 スキル

 爪術 火魔法 狐火 幻術 並列詠唱 幻惑無効 物理耐性 火属性耐性 混乱耐性 隠形 夜目 防御 回避 暗殺


 《どんぐリスの封印率が100%になりました》

  《どんぐリスが封印完了しました》

  《スキル:召喚魔法がレベルアップしました》


 封印完了っと。どんぐリスのくるもふしっぽ……もとい、次の召還枠ゲットまでには後1種類封印が必要だな。

 第三層の昼に出るのはリスだけじゃないだろうから、ここで粘っていればじきに召還できるとは思うが、MP回復薬の作成を頼んでからでもいいか。

 ちなみにどんぐリスのドロップは普通のドングリと、ドングリ帽子だった。

 ドングリは地面に埋めたらドングリの木が育つことがあるらしい。ドングリ帽子は単なる飾りだな。無限ドングリ機能は付いてない。残念。

 ドングリはリーンちゃんとウィアナちゃんへのお土産にしようっと。

 ……虫が沸いたりしないよね?子供の頃に袋一杯にドングリを拾って、虫食いドングリが無いから大丈夫だと思っていたのに、気づいたら全滅してたりしたしなぁ。あれは本当に無から沸いて出たんじゃないかと子供心に不思議がった覚えがある。

 今なら分かる。ドングリの虫はテレポートの使い手だったんや……。虫ですの!


 っと、バカな事を考えている間に第二層に到着。後はフェアリーガーデンでドングリを渡して、アトリエに行くだけだな。


 -------------------------------------


「あたたたたたっ!ふぉあたぁ!ぶへっ!ちょっ!誰だ泥団子投げたやつ!出て来い!というかこのメンツで泥団子なんか投げれるのリーンちゃんだけだろ!」

「し~らないのじゃ~♪」

「「「~~~♪」」」


 ……まぁ当然というか、なんというか、大量のドングリ(オモチャ)を持ち帰った俺達はフェアリーガーデンを素通りすることなんか出来なかった。


 ログハウス(マイホーム)に無事帰還した俺達を迎えてくれたのは椅子に腰掛け、フェアリーと遊んでいるウィアナちゃんだった。……何故か金髪ツインドリルヘアーにされていて、髪の毛をみょんみょんとフェアリーに遊ばれていたが。

 訂正。筋力1では、そこらのフェアリーよりも力が弱いらしく、なすすべなくフェアリーに遊ばれているウィアナちゃんだった。金髪の子かわいそう……

 まぁでも似合っててかわいいけどね。「オーッホッホッホ!」とか高笑いしそうな感じ。実際は死んだ魚の様な目でどんよりしてたけど。

 そして更にドングリというオモチャを手に入れたフェアリー達が、ティーニャを先頭にウィアナちゃんにイタズラをしようと突撃していったので鉄拳制裁で黙らせた。恐るべきは無邪気な子供の残酷さよ……


 ウィアナちゃんの髪の毛にドングリを仕込もうとしたフェアリー達+監督不行届で呼び出したリーンちゃんに正座させてお説教して、髪型をツインドリルに変更させてみょんみょんしてやったら喜ばれた。


 ……自分がやられて嫌なことは人にしてはいけません。って教えようとしたのに喜ばれた場合はどうすればいいんや……

 とりあえず、フェアリー達に悪気は無く、ウィアナちゃんに遊んで貰っていたつもりだった事は分かったので、皆でごめんなさいして、フェアリー達は2階への立ち入りを禁止した。ホームのシステムで登録者以外の立ち入りを禁止したので、飛んで入ったからセーフなんていう反則も通じない。登録してあるのは、俺達とウィアナちゃんとリーンちゃんの9人だけだな。

 いくら悪気が無かったって、昼夜問わずちょっかいをかけられ続けたら心を病んじゃうかもしれないしな。育児ノイローゼになっちゃう。フェアリー達はウィアナちゃんの子供じゃないけどさ。なお悪いか。

 レン君がちょちょいと作ってくれた寝室には完全防音機能が付いていて、部屋の中と外で音を遮断することも出来るから2階に居る間はウィアナちゃんも平和に暮らせるだろう。ただ、ONとOFFしかないから完全防音にしたら寂しいかもしれないけどね。今度何か音楽を聴ける家具でも買ってこようかな。


 ……でもね、レン君。外界の音を遮断したいのならヘッドホンとか、耳栓とかでいいと思うんだ、俺。「魔人ちゃんと一緒に住む~」って言っておいたのに、寝室が1つしかなくて、室内の音を完全に遮断出来るって……いや、やめておこう。それ以上いけない。


 とりあえず、2階が安全になった話をウィアナちゃんにしたら、聖女のような慈愛の籠もった儚い微笑みで感謝されてしまった。

 ウィアナちゃんって昨日まで「我は魔を司る魔人だー!」って叫んでた気がするんだが……

 ま、まぁ。一時的な物だろう。たぶん。おいしい物を食べて静かに眠ればいつものウィアナちゃんに戻るさ。きっと。

 とりあえず昨日リアさんに貰った特上牡丹鍋をお裾分けしておいたらまた聖女スマイルを貰ってしまった。もうスマイルはお腹いっぱいだよ!そしておいしそうな匂いを察知して俺に引っ付いてくるフェアリー達はお腹ペコペコだよ!特に顔面に張り付いて、人の頭を抱え込んでくる幼女精霊(リーンちゃん)と滝の様な涎を垂らしている食いしん坊ヤギ(アイギス)がな。

 そのままなし崩し的に宴会になり、精霊ちゃんが用意した果物をみんなで食べたり、ドングリ合戦をしたりした。


 説明しよう!ドングリ合戦とはドングリで行なう雪合戦のようなものである!

 フェアリーにはドングリを投擲できる筋力を持っている者は殆どいないので攻撃は基本上空からの投下のみ。上を取れば取るほど有利だが、弾丸(ドングリ)の補給には地面に降り立つ必要があるという戦略性が問われる遊びである!


 ……まぁ、楽しい事第一で、箸が転がっただけでも楽しいフェアリー達に戦略性なんて期待できるはずも無く、泥遊び(ドングリ入り)に変わってしまったけどな。元々”ドングリで”遊ぶことじゃなくて”みんなで”遊ぶことが目的だったんだから当然か。


 結果的に俺が持ってきたドングリの殆どが泥の下に埋まることになったわけだが、ドングリの木が育つかな?

 まぁ、説明を見た感じ、埋めたからといって確実に育つものでも無いみたいだし、埋め方も適当極まりないから無理だろうな。農業っぽいスキルも持ってないし。


 ……それでも1つぐらいは育たないかな~と、ドキドキしてしまうのは人の性だな。

 無いのは分かってる。分かってるんだけど、もしかしたら……ってやつね。UR出現率0.01%なのに、ついついガチャを回しちゃうあの感じによく似てる。当たる筈が無いと思いつつ回しちゃうんだよねぇ……


 とか、関係ない事を考えつつ泥んこ遊びを続けるリーンちゃんたちからそっと離れて街へと転移する。


 レン君のところで家具を探してもいいんだけど、先にフィアちゃんのところに行きますかね。


 ……と、その前に泥を落とさないとな……転移先が噴水だし、軽く水浴びでもするか。


 ……街のど真ん中の噴水で水浴びとかそれなんて羞恥プレイ?まぁ、さっと洗うだけだし、問題無いだろう。


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


どうも。最近ゆっくりTRPGにはまっているテトメトです。

ゆっくりボイスでサモナーの話を動画化したら面白いんじゃね?と思ったけど、動画作成のハードルが高くて諦めました。

思ったより大変だったんや・・・主に初期設定と操作を覚えるまでが。

みんなすごいなぁ・・・

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