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129匹目 始まりの街防衛戦閉会式

『プレイヤーの諸君!!我々の勝利だ!!』

『始まりの街の勝利だよー!お疲れさま~!』


 パパさんが消えてしばらくすると空にいつもの巨大スクリーンが出てきてテトとメトが映ってる。

 そんな事より魔人ちゃんが気になるんだが、あっちを無視するわけにもなぁ……


『あ、この放送が終わってから30分経つまではイベント中になってるから第二層に入れないし、モンスターもポップしないぜ』

『その間に傷ついたプレイヤー達は街まで戻ってねー』


 うむ。今いるのは始まりの街周辺の草原だからモンスターもウサギしか出ないし安全だけど、一応街へ帰るか。レン君たちとも合流したいしな。


「えーと、魔人ちゃん?とりあえず一緒に街に移動して欲しいんだけど……」

「はぁ?何を言ってるんだ人間。何故魔人である私が人間如きのいう事を聞く必要が―――」


 俺が魔人ちゃんに歩み寄って声をかけた瞬間、初対面の時のフィアちゃんの眼差しから更に温度を奪った絶対零度の眼差しで睨まれた。視線だけで人が殺せそうな顔してる。怖い。


「きゅい!」


「―――ごめんなさい!何でも聞きます!!」


 と、思った瞬間ボーパルがドカンと地面を踏み抜いて威圧して魔人ちゃんが土下座してる。

 上下関係はっきりしてんなー。


 俺<魔人ちゃん(実力差)

 魔人ちゃん<ボーパル(主従)

 ボーパル<俺(召喚主)


 って感じかな?

 なんとか魔人ちゃんの矢印をひっくり返すとまでは行かないものの、イコールぐらいには持っていきたいなぁ……。

 ま、ボーパルが俺と一緒にいるし仲良くなる機会もあるかな。


『えー、今回のイベントの報酬なんだがドロップは既に分配されてるから各自ストレージを確認してくれ』

『貢献度の集計はもうちょっと待ってね~。予定では明日にはランキングの発表と一緒に報酬も配布するからね!』


 ふむふむ。ランキング報酬は明日か。

 そういえば俺の貢献度ってどうなってるんだろ?ボーパル達の貢献度が全部俺に入ってくるのかな?それとも俺とボーパル達は別で集計されてるのかね?


『あ、ちなみにサモナーの貢献度だがパーティ貢献度はそのままだが、個人の貢献度はサモナー自身と召喚モンスターの貢献度の合計を足して人数で割った数値になるぜ』

『つまりはパーティ貢献度をイベントに参加した頭数で割った値ってことだね~』


 俺の心を読んだかのような説明ありがとうございます。

 えーっと、頭数っていうのは今回のイベントに参加した人数って事だよな。つまり俺達の場合は7で割るわけだ。

 ……個人での1位は厳しいかな?


『さて、それじゃぁお待ちかねの次回イベントなんだが……』

『魔王のお城へと乗り込んでの攻城戦!!』


『『の前に……』』


『『第二回闘技大会を開催するぜ!!(よ!!)』』


「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」


「うるさっ……」

「きゃっ!?」


 次回のイベントの発表があると毎回のことだが周りがうるさいな……

 耳塞ぎ損ねた……まぁ、そのおかげで魔人ちゃんの可愛い声が聞けたからいっか。


 ……というか城で待っているパパさんは……


『魔王にはお城で待っててもらうぜ』

『具体的には1ヶ月ぐらいかな?』


 城の奥で準備万端で待っているパパさん涙目。

 パパさん、涙ふけよ……


『今度の闘技大会はパーティ戦だぜ!』

『この大会の様子は抜粋してホームページで公開するからね~』


『載せる試合のプレイヤーに許可は取るし、報酬も払うぜ。と言っても大会自体は非公開でもなんでもないから大したものはあげらんねーがな』

『あ、勿論変態は出場禁止だからね。第二陣が変態だけになったら嫌だもん……もう手遅れな気もするけどね……』


『今さらっとメトが口にしたけど、この大会が終わったらプレイヤーの第二陣が入ってくるぜ。皆仲良くしてやってくれよな!』

『イジメたり、変態に引き込んだり、無理やり布教したりしたらダメだからね!』


 いや、前半2つは分からんでもないけど最後のは変じゃないか?布教なんてするやつ居ないだろ……居ないよな?

 このゲームのプレイヤーならありえそうだから困る……


『んじゃ、最後に何故かAIの暴走で捕虜になったあの子の対応だが、死力を使い切った反動でレベルが0になってスキルも全ロスト。ついでに東門の耐久値をゴリゴリ削った分の補修費用で多額の借金持ちってことにしておこうか。借金を全部返したらレベルが1になってもいいぜ』

『ちなみに魔人ちゃんは一番の下っ端で魔王軍の情報は殆ど持ってないからね~。持ってたとしてもセリフが全部”禁則事項です”に差し変わるからね~。女の子の秘密を無理に聞き出そうとしちゃダメだよ?NPCと同列の扱いになるから逮捕されちゃうからね~』


「ふぇ……?」


 テトとメトがそう言うと、魔人ちゃんが気の抜けたような声を漏らしたかと思うと一気に脱力して土下座から土下寝になった。というか、魔人ちゃんまだ土下座してたのか……ボーパルがそんなに怖いのかね?

 あんなに可愛いのに……って、さっきまで魔人ちゃんにびびっていた俺が言っても説得力無いか。


 ……というか、え?魔人ちゃん野生のウサギよりも弱くなった上に借金持ちになったの?

 捕虜の上に借金奴隷なの?薄い本が厚くなるの?


『……ぶっちゃけ魔人ちゃんの奥義を連発されたら迷惑すぎるからな。レベルが戻ってもあの奥義は使えないぞ』

『……とあるウサギさんと相性が良すぎるからね。仕方ないね』


 ああ、うん。ボーパルが自由に変身できるようになったら敵が可哀相だもんな。仕方ないな。


『それじゃあ、貢献度報酬と次回イベントの詳細は後日メールで告知するぜ!』

『魔人ちゃんのお世話は魔人ちゃんの飼い主の飼い主が責任もって面倒見るよーに!』


 魔人ちゃんの飼い主の飼い主って……俺じゃねーか!!ふざけんな!いきなり任せられても困るって!

 ……というか面倒を見るって借金の事は含まれてないよね?勝手に連帯保証人にされたりしてないよね!?


『んじゃ、また次のイベントで会おうぜ!じゃーな!!』

『またね~!!』


 毎度の事ながら言いたい事だけ言ってテトとメトが消えていった。つまり今から30分で草原にウサギが出現するようになるわけだ。

 とはいえこの場に居る中でウサギにやられそうなのは魔人ちゃんぐらいなんだが……


「えーと、とりあえず街中に移動したいんだが……魔人ちゃん大丈夫か?」

「全身から力が抜けて起き上がる事もできず、飛翔スキルも消えたから身動きが一切取れない上に、敵性生物に囲まれている今の状態が人間にとっての大丈夫の定義だとするのなら、私は人間の生態について驚愕と哀れみと絶望に包まれるんですが?」


「ああ、うん。大丈夫じゃないのは分かった……」


 ボーパルに何か言われたらしく若干言葉のトゲが丸くなった気がしないでもないが、ストレートな罵倒が遠回りな毒舌に代わっただけのような気がする。


 俺、本当にこの子と仲良くなれるんだろうか……?


「自力で動けないならおんぶでもしていこうか?」


 イナリの背中に乗せて運んでもいいかな。俺も乗ってたし大丈夫だろう。


「無抵抗な同性の幼子と肌を重ねたいだなんて、人間はなんと恐ろしい……」

「純粋な好意からのセリフをそこまで邪推できるお前の方が恐ろしいよ……」


 てか、同性じゃねーし。


「んで?結局手助けはいるのか?いらないのか?」

「人間は無抵抗な同性の幼子を敵性生物に囲まれている状態で放置するんですね。ボーパル姉さま。今すぐ主を変えるべきです」

「きゅい?」


「助けて欲しいなら素直にそう言えし……というか、俺は人間呼びなのにボーパルは姉さま呼びなのな」

「なんですか?お姉ちゃんとでも呼んでほしいんですか?」


「ヤメロ!そんな「うわぁ引くわ~」って見つめんでも、そんな呼び方させないから!借金と生活を盾に妹プレイを強要しているなんて思われたら社会的に死ぬから!普通にユウって名前呼びでいいから!」


「へぇ~」(にやぁ~)


 あ、すごく嫌な予感が……


「なるほど……じゃあユウお姉ちゃんと呼ぶことにします」

「やっぱりかあ!!」


「どうしたんですかユウお姉ちゃん。そんなに私をおんぶしたいのなら早くしてくださいユウお姉ちゃん。借金を盾に私にお姉ちゃん呼びを強要している特殊性癖のユウお姉ちゃん」

「やめれ!突然活き活きとしながらあること無い事叫ぶんじゃない!一体どこで誰が聞いているか……」


 ポン


「……」


 突然肩に置かれた手の感覚にギギギ……と、錆付いたロボットの様に振り返ると俺の後ろには実にいい笑顔をした……


「お姉ちゃん?ちょっと頭冷やそうか?」


 緑の魔王(ラスボス)が現れた。


 ユウ は にげだした!


「……どこへ行こうというのかね?」


 しかし まわりこまれて しまった!

 魔王 からは にげられない!


 あ、これ詰んだな……


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


魔人ちゃんは毒舌ロリにしたいんだけど難しい・・・

毒舌と罵倒はまったくの別ものだしなぁ・・・お兄ちゃんとおにぃちゃん♪ぐらい違うしなぁ・・・愛が違うんだよ愛が。


次回はもうちょっとユウ視点で魔人ちゃんの話をするか、掲示板で魔人ちゃん攻略会議をするか、ウサギ様攻略(物理)会議をするかだね。どうしようか。

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