127匹目 VS魔人ちゃん 3
ただいまー(生存報告)
がっつり雨が降ってる中アキバを回ってきました。
一抱えもあるスライムのヌイグルミを買ってきたよ!
・・・なんで買ってきたんだろう・・・旅行の不思議。
高笑いを続けていた魔人ちゃんを突如始まりの街の中から飛来した極太レーザーが飲み込んだ。
『ハァーハッハッハッー!ボーパルブラスターは船から切り離せない?海から狙ったら丸見えだから当たらない?なら船ごと街中に運べばいいじゃない!』
『いつから船は陸に上がれないと!』『錯覚していたァ!』
繋ぎっぱなしのフレンドコールから3人の元気な声が聞こえてくる。
最初にレン君から連絡が来た時はビックリしたけど、ボーパル号は普通にストレージに入れて持ち運べるからな。街中にちゃちゃっと船を支えるための枠を組んでボーパルブラスターの準備をしていたんだろう。
流石の魔人ちゃんもあのボーパルブラスターの直撃を受けたんだから無事では済むまい……
「ッ!逸らせ拒絶結界ぃぃいいいいいいいいい!!」
「うぉおお!?」
ボーパルブラスターに飲み込まれ光になった魔人ちゃんの声が辺りに響いたと同時に、魔人ちゃんが居た位置からあらゆる方向へとボーパルブラスターが拡散されて放出される。
……わ、わぁ~万華鏡みたいできれーだな~。あ、あれだ。何かに似てると思ったらガードスキル・ディ○トーションみたいな感じだな。ハルバード投げなきゃ。
「~~!?」
「メェ!」
ジュッ!
ティーニャ目掛けて飛んできた流れ弾を”カバー”で間に割り込んだアイギスが代わりに受ける。……お尻で。
何故わざわざ装甲の無いお尻で受けたんだ……って、そんな事はどうでもいい!アイギスのお尻からプスプスと煙が上がってるけど関係ない!……でも面白いからSSは撮っておこう。うん。
離れた位置に居るボーパル以外の全員でアイギスの影に隠れてやり過ごしつつアイギスのお尻を撮影しているとボーパルブラスターの掃射は直ぐに終わった。
幸いにも街中から空に浮かぶ魔人ちゃんの結界に当たって拡散されたボーパルブラスターのほとんどは、魔人ちゃんの後方の空と魔人軍残党に降り注いだらしく、プレイヤーに被害は殆ど無いな。アイギスの尻が焦げたぐらいだ。
ちなみにボーパルは当然のように拡散するボーパルブラスターを蹴って回避していた。ブラスターって蹴れるものだっけ……
まぁ、ボーパルだしな。「しゃらくせぇ!」の一言とともに即死ビームを蹴り折ってもおかしくないな。
深刻なボーパルのウサギ離れは今更どうしようもないので置いておくとして、ボーパルブラスターが消えた後の空からゆっくりと魔人ちゃんが落ちてくるな。ボーパルブラスターもテレポートでよければよかったんじゃないかと思うんだが、あの結界とテレポートは同時発動は出来ないのかもな。
「きゅい」
「くぅ……」
短い腕を組んで仁王立ちをするボーパルの前にふらふらと落ちてきた魔人ちゃんは、すでに結界も解除されて体も元々の幼女姿に戻っている。領域の維持が出来なくなったのか、真っ赤な満月もいつの間にか消え去り、澄み渡るような青空が戻ってきている。
「きゅい、きゅいきゅい!」
「……くっ、殺せ!」
太陽が戻ってくると同時に鮮血の様に真っ赤だった体が雪のような純白に戻ったボーパルへと、所々こげている魔人ちゃんが四つん這いで呼吸を整えながらくっころしてる。
でも、ボーパルにくっころなんかしたら本当に殺されかねんぞ?折角HPが残っているのに勿体無い……ボーパルは敵には容赦しないからなぁ……。身内にはあまあまだけど。
「きゅい、きゅいきゅいきゅいきゅい!!きゅきゅきゅい―――」
「で、でもそれは……だって……うぅ……」
ボーパルがなんか魔人ちゃんを説得してる……。いや、あれは説教かな?魔人ちゃん涙目になってるし……。
説得(肉体言語)の後に説得(言語)とか順番が逆な気が……
魔砲少女かな?あるいは幻想殺しかもしれん。
いいぜ。ウサギが弱者だなんていうんだったら、まずはふざけた幻想をぶち殺す!って感じで。
「きゅい!きゅきゅきゅい!きゅい!!」
「う、うぅ……それでも私は……うぅ……」
あ、説得(脅迫)が佳境に入ってる。ボーパルもイライラしてるのか、右足で地面をテシテシ叩いてスタンピングしてる。
テシテシテーシ、テーシテシテシ。って感じでリズムを刻んでる。やっぱり楽しんでいるのかもしれない。
「きゅい、きゅいきゅい。きゅい?」
「……はぃ。一生あなた様に仕えますぅ……」
あ、落ちた。
ボーパルが急に緊張を解いたかと思うと、地を這う魔人ちゃんに無造作に歩み寄り握手でもするようにすっと手を差し出した。その瞬間、魔人ちゃんがダバーッと涙を流してボーパルに忠誠を誓った。
何を言っているのか分からないと思うが俺もわけが分からない。ウサギ語ってスキル一覧に無いんだよな……魔人ちゃんに習ったら分かる様になるかな?
って、ん?
魔人ちゃんが力を使い切って昼間に戻ったはずなのにまた空が暗く……って、あぁ。今のでイベントが終了したからまた、あの渦巻き雲が出てるのか。
……あれ?あの渦巻き雲ってたしか魔人ちゃんが出てくるときのワープゾーンみたいなものだったよな?
でも魔人ちゃんはここに居るわけで……じゃあ、あの渦巻き雲はいったい……
「ッ!パパ!?もしかして私を助けに!?」
まさかの親御さん登場!?魔人ちゃんのパパさんって一体……魔王かな?それとも魔神かな?
『愚かなる人間どもよ。我は魔人とモンスターの王。魔王である』
ラスボスキター!!
といっても声だけだが。魔人ちゃんと違って降りてきては来ないんだな。まぁ、声だけなら渋めのおじ様だし、そんなおっさんのパンチラなんてだれも見たくないだろうしな。
『貴様らが倒した魔人は我の配下の魔人の中でも最弱の存在。直ぐにでも第二第三の魔人に貴様らの巣を襲わせる事も出来る』
え?魔人ちゃんって四天王だったの?
というか、パパさんは魔人ちゃんを助けに来たんじゃないのか?全く関係ないこと言ってるけど。
『だがしかし、ただ潰すだけでは面白くない。我はこれでも最弱とはいえ魔人の率いる軍隊を退けた貴様ら人間の力を評価しているのだぞ?
故に次は我が城の1つへと貴様らを招待してやろう!
人間如きにこの城の主を倒す事が出来るとは到底思えんが精々我を楽しませてくれよ駒どもよ。
クックック……、フハハハハ、アーッハッハッハ!!』
パパさんは魔人ちゃんとは違う、堂に入った三段笑いを披露しながらフェードアウトしていった。
……魔人ちゃんを残して。
というかパパさんは魔人ちゃんがまだ生きて捕まっている……というかボーパルに忠誠誓っていることを知らないんじゃないか?さっきも魔人ちゃんを倒した~とか言ってたし……
魔人ちゃんも信じられないって顔で既に暗雲が消え去り、雲ひとつ無い晴天に戻った空を見上げて呆然としてるし……
「えっと……魔人ちゃんはこれからどうするんだ……?」
「きゅい……きゅい?」
「……えーっと……今後とも末永くよろしくお願いいたします?」
こうして魔人ちゃんが居候になった。
もふもふ!
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掲示板もあらかた書き終わってるので今日中に投稿しまーす。お気を付けを。




