106匹目 始まりの街防衛戦 ルール説明
執筆中にうたたねをして起きたらメガネがどっかいってて、探そうにもメガネを探すためのメガネが無くって、部屋中を手探りで探すハメに・・・
皆さんも寝る前には必ずメガネやコンタクトは外して、部屋の中は定期的に掃除しましょう!
ついさっきまであかるかった空に急速に黒雲が広がり噴水広場を中心に渦を巻き始める。
「来たかな?」
「きゅい!」
「ホー!」
「メエエ」
「~~!」
「……んにゃ」
イベント当日。
ギリギリまでレベル上げを続けた俺達はリアさんの店(屋台では無く、新築の一戸建てで大通り沿い)の屋上を貸してもらいイベントの開始時間を待っていた。
いや~、キツネさん装備が珍しいからか、道にいるとしょっちゅう写真を撮ってもいいかと声をかけられてうざかったからな。リアさんに訳を話したら貸してくれた。
っと、闘技大会の時と同じ様に上空の黒雲の中心に穴が開いて魔人ちゃんらしき羽が生えた人影が降りてきたな。
……どうでもいいけど、敵のトップが単独で敵陣の中心に現れて大丈夫なのかね?まぁ、街中だからダメージは喰らわないだろうけど、ちらほらと投網やら鉤爪ロープやらボーラやらを構えているプレイヤーがいるんだが……
「聞けーーーーい!!愚かなる人間共よ!!私は魔を統べる者!魔人である!!」
相変わらずあんなに遠いのにまるで耳元で喋っている様に聴こえる不思議な声で闘技大会の時に聞いたのと同じような自己紹介をしている魔人ちゃん。魔人って名乗ってるけど個人名は無いのかな?精霊ちゃんも無かったし無いのかも。
「私達の軍勢はこの人間の巣を完全に包囲している!!後30分もすれば10万のモンスターの軍勢がこの巣に押し寄せるだろう!貴様ら人間は逃げる事も許されず私達にただ蹂躙されるのだ!!」
ふむふむ。イベント開始が30分後で敵の総数は10万なのね。つまり1つの門に押し寄せるモンスターの総数は2万5千で、無限湧きでは無いと。
ふーん。敵の強さにもよるけど、それぐらいなら大丈夫だな。
というかさっきから下がうるさい。
なんだよ”金髪ロリ美幼女悪魔っ子魔人ちゃん”って。長いよ。
この魔人ちゃんの声が一方通行でよかったな。双方向だったら、身の危険を感じて魔人ちゃんが逃げ帰っていたんじゃないか?
……あれ?いい事なのか?
「それでは、私達に滅ぼされるまでの残り30分を精々楽しむんだな!クックック、フハハハ、アーッハッハッh、ガホッ!ゲホッ!ゴホッゴホッ。うぅ~、変なところ入った……え~と、話すことはこれで全部だったっけ?(ごそごそ)……うん。大丈夫。じゃあ帰ろっと」
かわいいなおい!マイク切り忘れてるよ!声全部入っちゃってるから!というかみんなに見られてる状況でポケットからカンペ取り出しちゃって良かったの!?ていうかカンペがいるほど喋ってないよね?
って、あ~あ~行っちゃった。ホント何しに来たんだろう?情報を伝えにきてくれたのかな?優しいな、おい。
まぁでも、最後のが全部演技だとしたらあの魔人ちゃんなかなかの策士だな。これから殺し合いが始まるのにこっちの陣営がほんわかしたムードに包まれてるし。まぁ一部暴走しているけど。一部と言わず街のあちこちから慟哭が響いてくるけど。
……この国はもうダメかもしれない。
『『と、言うわけで』』
『FWO大型イベント第2弾!「モンスターの大侵攻!始まりの街防衛戦!」を始めるぜええええええええ!!』
『始めるよー!』
「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」
闘技大会の時と同じ様に空に映った巨大ディスプレイにテトとメトの姿が映し出され、街中へと2人の声が届けられる。魔人ちゃんの仕草にほんわかしていたプレイヤーが一転2人の登場で火が付いたように歓喜の絶叫を上げていて耳が痛いんだが……
というか今更だけど、街に大量のモンスターが押し寄せてくるっていうのに歓喜の声を上げるってどうよ。まぁ俺も楽しみにしていたから人の事は言えんが。
『まぁ、始めるとは言っても開門まではまだ30分ぐらいあるんだがな』
『だから、みんな落ち着いて説明を聞いてね~』
テトとメトのその言葉に立ち上がり門へと走ろうとしていたプレイヤーが再び腰を下ろして話を聞く体勢になる。
細かいルールを聞き逃してて、死んだりしたら嫌だしな。
『んじゃ、今回のイベントの概要から説明していくぜ!』
『1回しか言わないからちゃんと聞くんだよ~。まぁ、メールでも送るけどね~』
『今回のイベントはタイトル通り、始まりの街の防衛戦だ。魔人率いるモンスター軍団VSプレイヤー連合って感じだな』
『みんな仲良く戦うんだよ~?』
『プレイヤー側の勝利条件はどこかで指揮をとっている魔人の撃破。モンスター側の勝利条件は始まりの街の東西南北に4つある門のいずれかの破壊だ』
『どれか1つでも壊されたら負けになるから気をつけるんだよ~』
『門にはイベント中個別に耐久値が表示されて、これが0になると負けだから、プレイヤーのみんなはどこで戦うのかをよく考えろよ』
『門以外は壊せないし、モンスターが城壁を越えてきたりはしないから安心してねー。基本街中は安全だよー』
『次にデスペナだが、イベント中は内容が変更になる。イベント中に死んだ場合1時間街の外に出る事及び、一切の戦闘行為が禁止だ』
『ゾンビアタックはダメだよー』
『んで、最後に報酬だが、今回は貢献度システムを使おうと思っている』
『新システムだねー、調整大変だったんだよ~』
『説明しよう!貢献度システムとはモンスターを倒したときその討伐にどれだけ貢献したかでもらえるドロップアイテムが自動分配されるシステムであ~る』
『この貢献っていうのは、倒したプレイヤーは勿論モンスターの攻撃をかばったプレイヤーもプレイヤーの武器や防具を作ったプレイヤーもプレイヤーが使った回復薬を作ったプレイヤーもそれを売ったプレイヤーも対象だよー。勿論実際に戦ったプレイヤーの方がいっぱい報酬をもらえるよー』
『んで、イベント終了時にこの貢献度のポイントで。個人とパーティの両方で上位1万まで別途報酬も用意しているからな。頑張ってくれよ!』
『んー、説明が必要なのはこれぐらいかなー?あ、今はまだ始まりの街から出られないけど、開戦時間以降は閉じている門に触れば中と外を自由に行き来できるようになるからねー。門の近くに転移する感じかな?勿論デスペナ中はこの転移は使えないからねー』
『うっし。説明終り。開戦までは残り20分ぐらいだな。それまでに自分がどこの門から出撃するか決めておけよ?安全を取ってプレイヤーが多いところに行くか。報酬を狙ってプレイヤーが少ないところへ行くか。だが、門を突破されたら全員が負けになるからな。攻め込むだけでもダメだぜ?』
『生産職のみんなは今が売り込みのチャンスだよー。自分の作った物を使ってもらったらそれだけで報酬が入るからねー。料理とかを配ってもいいと思うよー』
『よっし!それじゃあ解散!次はプレイヤー連合が勝った時に会おう!』
『バイバ~イ』
気が抜けるような声と共にテトとメトが消えていき、代わりに開戦までのカウントダウンが上空に表示されたな。
ん~、細かい事はよくわからないんだが、要は門を壊されないように守りつつ敵を倒せばいいんだろう?そして敵の大将である魔人ちゃんを倒したら勝ち。と。貢献度システムとかはよく分からなかったからいいや。
「お~い!ユウ~!」
「おね~ちゃ~ん!」
おや?聞き覚えのある声が下から……
「タク!シルフ!こっちこっち!」
「きゅい!」
上から呼んでやると俺を発見したのか手を振ってきたので後ろに”キャシゴ”がかかっている事を教えてやると上に上がってくるらしい。
ちなみにキャシゴとは、タクにハシゴの事をハシゴと呼ぶかキャタツと呼ぶか聞いた所「めんどうだ。まとめて、”キャシゴ”と呼ぼう」という事になったのでキャシゴと呼んでいる。でも、シルフは「”キャシゴ”はどうかと思うんだけどなあ……」とちょっと不満顔をしていたが、代替案も無かったのでそのまま通っている。まぁどうでもいい話だが。
「お、いたいた。全く。こんな所に隠れてるぐらいならそんな服着なきゃいいのによ」
「うっせ。かわいくて優秀な装備があるんだ。着なくてどうするよ」
「今日はあたし達もフルメンバー揃ってるからねー。どうせなら狩場が被らないようにバラバラの門へいこうかなーって、ティーニャちゃんどうしたの!?天使みたいになってるよ!?むしろあたしの天使だよ!?」
「落ち着けシルフ。慌てすぎて日本語が不自由な人になってるぞ。そしてティーニャは俺の天使だ」
「いや、ユウも十分不自由になってるからな?」
「~~!!」
「いや~ん!かわい~!いや~~ん!!もふもふしてる~~!!いや~~~ん!すごい嫌~~~!」
「「すごい嫌!?」」
なんかシルフからすごい爆弾発言が飛び出してきたが、めちゃくちゃ混乱している事は伝わってきた。まぁ、ティーニャはかわいいからね。しょうがないね。
「んで?3人で別の方向へ行こうっていうのは分かったけどお前らはどっちへ行くつもりなんだ?」
「おう。とりあえず俺は良く行く山エリアがある北門の方へ行こうと思ってるな。んで、シルフが森エリアのある東方向だな」
「ふーん。まぁ、妥当じゃないか?北は山エリアに行くプレイヤーが多かったらしいからイベント中もプレイヤーがいっぱいいそうだし、森の方は安全だろうしな。じゃあ俺達は砂漠エリアのある西方向に行こうかね。とはいっても砂漠の暑さじゃ、ボーパル達が満足に動けないから手前の草原までだけど」
「おう。じゃあユウは西な。……あれ?なんか変なセリフが混ざってた様な気が……」
「気の所為だろう」
「ボーパルちゃんも、ミズキちゃんも、アイギスちゃんも、ノゾミちゃんも久しぶり!もふもふしてあげてもいいんだよ~~?むしろさせて!!」ガバッ!
「きゅい~~」
「ホ~~」
「メエ!メエエ!」
「~~~♪」
「……んにゃ!」
「ハァハァ。もふもふがいっぱい……ハァハァ」
「……シルフが電波には乗せられない顔をしている……」
「いや、お前ももふもふした動物をなでている時は似たような顔してるぞ?」
そんなバカな。
「んー、にしても今回のイベントも事前情報が少ないなぁ。どんな敵がでるのか全く分からんから対策の立て様がねーんだよな。しかも獲物は有限。早い者勝ちと来たもんだ。遠距離攻撃や範囲攻撃はあるのか、状態異常攻撃はしてくるのか。なにも事前情報がないままで、全員で突撃して全滅したりとかしなきゃいいんだがな……」
「ん?俺は事前情報とか集めたこと無いけど?」
「お前はいっぺん死に戻って来い」
ひでぇ言われようだな。
「……ようは敵の情報が知りたい、と。城壁の上にでも上がればいいんでね?」
「城壁の上は立ち入り禁止なんだよ。教会は城壁より高いけど、流石に教会に登るのは……なぁ?」
ああ、確かに。神罰とか下りそうだな。ゲームの世界だからなおの事落ちそうだ。
「ふむふむ。つまりは城壁よりも高く上がりたいんだな。それなら俺にいい考えがあるぞ」
「……ミズキやティーニャに見てきてもらっても俺達に伝わらなければ意味が無いぞ?」
「大丈夫大丈夫。タクが自分の目で見て来れるから。ボーパルおいでー」
「きゅい?」
「なぁ、なんでそこでボーパルを呼ぶんだ?なんかちょっと嫌な予感がするんだが」
「大丈夫だって。気にしすぎだぞ?」
「そ、そうか?」
「そうそう。じゃあボーパル。”ボーパルロケット”の準備だ。目標真上で」
「きゅい!」
「ちょっと待てい!!!非常に不穏な響きなんだが!?本当に大丈夫なんだよな!?」
「へーきへーき。大丈夫だって。俺を信じろよ。俺達親友だろう?」
「お、おう。いいんだよな?信じて大丈夫なんだよな?」
「本当に大丈夫だって。……街中じゃダメージはくらわないから」
「なにも大丈夫じゃねえ!?」
「ボーパルロケット発射!」
「きゅい!」
「ちょっとまてえええええぇぇぇぇ~~~……・・
「お~、タクさんが飛んだ」
「きゅい!」
「~~!!」
ボーパル流格闘術に統合された溜め蹴りをモロに喰らったタクが凄い勢いで真上へとすっ飛んでいくのをシルフとボーパルとティーニャが面白そうに見ているな。
「Oh……」
そして俺はボーパルの蹴りの全ての衝撃を受け止めすっ飛んで行ったタクを若干青い顔で内股になって微妙に震えつつ見上げていた。
そりゃあそうだよね。立っている人間を真上に吹き飛ばそうと思ったら当然そこを蹴り上げるよね。むしろそれ以外に選択肢は無いよね。
実際に吹っ飛んで行ったタクは一瞬の事で分からなかっただろうし、痛覚カットで痛くも無いんだろうけど見てた俺に極大のダメージが……
その後たっぷり10秒ほど空の旅を楽しんだタクが「親方!空から鎧の男が!」 「0.5秒で避けろ!」とか地上で叫ばれつつビッターン!と近くの大通りに落っこちた。
正直賠償金を払うのも辞さないレベルで謝ろうとしたんだが、凄く楽しかったから鎧を脱いだ状態でもう一回飛ばしてくれと逆に頼まれ、個人的には「やめたげてよお!!とっくにタクの息子のライフはゼロよ!!」と言って止めたかったんだが、さっきの負い目からタクがどういう状態になってたのか言う事も、断る事も出来ず、多くの観客が見守るなかもう一度タクを飛ばす事に……
街中に突如青い顔をして内股で震える男達の集団が発生した事は説明するまでも無い。
ついでに飛んで行ったタクを羨ましそうに見上げる一人の紳士も発生したと付け加えておこうか。
シルフは変態を視界に入れた瞬間悲鳴を上げてライガを悦ばせていた。
もう、ホントこっち来んなよ……
そう言ったらまた悦びそうだから言わないけどさ。
結局タクは合計5回程飛んで、変態に完全に同類扱いされてた。
タク……お前変わっちまったな……
あ、ちょっとこっち来ないでください。親友?いえ、他人です。ちょっ、触らないで貰えます!?警察呼びますよ!?
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
タマヒュン注意(今更)
あっそれと、さらっと裸イガが混ざってますが、変態が禁止されてるのは大会への出場だけなので、今回は参加します。しなくていいのに。
さて、とりあえずユウ視点の西門防衛戦と、シルフ視点の東門防衛戦。??視点の南門防衛戦を書くことは決定していますが・・・
・・・北門要る?タク視点とか需要ある?正直普通の戦闘にしかならなそうだから要らない様な気も・・・いや、でも基準点を作る為には必要なのか?
何!?ボーパルの戦闘力は2000タクだと!?
みたいな。まぁ、書きたくなったら書こうかな。
書いちゃいな♪書いちゃいな♪書きたくなったら書いちゃいな♪(某黄昏の姫君のゲームの王都に有る二号店の洗脳BGMに乗せて)
が、突然脳内再生された件・・・




