100匹目 地底湖
コメンタリーが不評だったので短編の方に移す事にして本編再開します (´;ω;`) シクシク
後みんなキツネちゃん好きすぎるでしょ!!出番はまだ先だよ!まだ80匹近く封印しなくちゃなんだからね!!
「ふぅ。危なかった……」
「きゅい!」
山エリアの第二層。洞窟エリアの落とし穴で落ちた先にある地底湖でゴブリンの団体さんに絡まれた俺達は俺の視力を犠牲にすることにより見事ゴブリンを全滅させることに成功した。←今ココ
「もう……お姉ちゃんそのセリフ、フラグっぽいからやめてよ。そう言う事言ったらだいたい潰れて死ぬんだからね?」
「うへぇ、圧死とか割と嫌な死に方だから勘弁して欲しいんだが……」
主に死後の絵面的に。転がってきた岩にペラペラになって張り付いてる方の表現なら許す。
いや、別に圧死したい訳じゃないけどね。圧倒的な死に様と書くほうの圧死なら一度くらい体験してみたい気もするが。
「そもそも潰れるって言っても、上から降ってくるものなんてなにも……」
「ホーーーー!!」
「ぶへっ!?」
突然後頭部にもこもこした物体がかなりの勢いで突撃してきて、その勢いのまま地面に顔から叩きつけられた。
い、いってぇ!今のでHPが1割りは削れたぞ。洞窟に来てからの初ダメージがこれってどうよ……というか、またノゾミはさらっと退避してるし。いつのまに……。
「あ、ミズキちゃん!さっきぶり!……ってあれ?そういえば今までどうしてたの?ボーパルちゃん達だけ先に来てたけど……」
「ホー!ホー!」ぴょんぴょん
俺の後頭部に着地したミズキらしきモコモコが俺の頭の上でぴょんぴょんしながらシルフと会話している。おそらく落とし穴のスイッチを頑張って探して踏んづけたことを言いたいのだろうけども、事前情報がないシルフの前でどれだけ俺の頭を踏んづけたところで伝わらないと思うぞ?
というかフクロウってその場ジャンプとか出来たんだな。知らんかった。
「~~♪」ぺちぺち
って、ちょっと!?何故か後頭部に感じる衝撃が増えたんだけど、ティーニャさんまで俺の頭に乗ってません!?俺の後頭部は踏み台でもトランポリンでもないんだぞ!?
「……んにゃ」ぺしっ
「あー、もう!お前ら退け!!」
「ホー!?」
「~~♪」
「……にゃ」
ガバッと顔を起こして人の頭の上で好き勝手している三人娘を吹き飛ばす。完全に俺の頭に体重を乗せていたミズキだけが俺の背中をコロンコロンと転がっていき、ふざけて遊んでいた2人は平気そうな顔をしている。げせぬ。
「きゅい……」
「むー、お姉ちゃんばっかりズルイ!」
顔をあげた先には自分も足を乗せようと右足をお手をするように差し出したボーパルと、ハムスターの様に頬を膨らませて顔全体で不満を表現しているシルフの姿が……というか、ボーパルは兎も角シルフは助けろや。
「あたしも、みんなともっと触れあいたい!特にノゾミちゃんと!お姉ちゃんばっかり肩に乗せてノゾミちゃんのもふもふと体温を堪能していて、あたしはそれを見てるだけだなんて酷い!ほらほら、ノゾミちゃ~ん。シルフお姉ちゃんの所に来てもいいんだよ~。おいで~」
「……にゃぁん」ぷいっ
「あぁん。つれないノゾミちゃんもかわいい!!」
……お前は前衛で激しく動き回るんだから肩に乗って歌ってたら舌噛むだろう。とか突っ込んだらダメなんだろうな。シルフが言いたいのがそういう事じゃないって事ぐらいは分かる。
「はぁ……まぁいい。それよりも聖なる石材と聖なる湧き水を採取してさっさと帰ろうぜ。そろそろ時間だし」
「ん?聖なる石材はそこらへんからいっぱい生えてるけど……聖なる湧き水はどうするの?」
「いや、どうするもなにも……」
そこで一旦言葉を切って辺りをぐるっと見渡す。
俺達が落ちてきた湖の畔はゴツゴツとした岩場が広がっており、所々の地面から淡く光輝く石―――聖なる石材―――が生えている。また、俺の背後には正確な距離が分からないほど大きな地底湖があり、壁から生えている聖なる石材の光を反射し、キラキラと輝いている。
「……俺の後ろにどれだけでもあるんだが?」
「……は?それってまさかその地底湖の事?」
俺の言葉に一瞬きょとんと惚けた表情をシルフが、わざわざ背伸びをして俺ごしに湖を覗き込みながら言った。
「おう」
「いやいや、絶対”湧き水”っていう規模じゃないでしょ。どうみても”地底湖”だよ!」
「んー?でも、壁から滴ってる水が湖に流れ込んでいるし、それ以前に……いつから湧き水が少量しかないと錯覚していた?」
「なん……だと……?」
突然フリーズし、体全体で驚きを表現しているノリのいいシルフは一先ず放置して、湖の水を教会で貰ってきたビンに入れてみる。
うん。鑑定結果にも聖なる湧き水って表示されてるな。よしよし。
「んじゃ、ボーパル。ちょっとそこらへんに生えてる聖なる石材を砕いて持ってきてくれる?」
「きゅい!」ドゴン!!
「あ、待って!あたしの!あたしの分もお願い~~」
「きゅ~い~!」ドバン!!
おおぅ。頼んだ俺が言うのもなんだがボーパルがぴょんぴょんする度に畔の景観がどんどん破壊されて禿げてゆく……。
合計10個あればいいんだからね~。全部取る必要はないぞ~。……うん。聞こえてないな。まぁ多くて困ることも無いだろうししいいか。ボーパルも楽しそうだし。
って、いたっ!破片がここまで飛んできた!ちょっとボーパル!もうちょっと手加減して!
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《ゴブリンの封印率が100%になりました》
《ゴブリンが封印完了しました》
《スキル:召喚魔法がレベルアップしました》
《封印完了モンスターが25体になりました》
《召喚可能モンスター枠が1つ増えました》
「よし。とりあえず納品アイテムの採取は完了だな」
「きゅい!」
「だね~……でも、問題はここからどうやって帰るかって事だよね……」
「……だな」
天井の落とし穴は既に閉じていてどこにあったのかも分からず、背後は底の見通せない湖。正面には先の見えない暗闇の洞窟が続いている。……うん。迷ったな。
「……本当は元の通路に戻れたら一番いいんだけど……」
「まぁ、無理だろうな。万が一落とし穴の場所が分かったとしても下から開ける手段があるとは思えないしな」
「ホー?」
調べてこようか?と首を傾げて尋ねてきたミズキの頭を、「ありがとう。でも大丈夫だ」と言いつつもふもふする。
さて、上から脱出出来なそうとなれば残るは後ろか前なんだが……
「んー、となればやっぱりこの洞窟を進むしかないかな~?でもお姉ちゃんこれからなにか用事があるんだよね?死に戻りしたいなら介錯するよ?」
「さらっと怖いこと言うなよ。というか死に戻りはなんか負けた様な気がするから嫌だ」
便利なのは分かるんだけどね。気分的にやだ。
「それよりも1つ試してみたいことがあるんだよ。……こほん。シルフよ、湖のふちに立って底を見るのじゃ」
「……なんで突然そんなかわいい声でおじいちゃん口調に……?まぁいいけどさ」
突然の俺の奇行に軽く首を傾げつつも、まぁいつものことか。とでも言いたげに軽く肩を竦めるだけで流されてしまった。元ネタが分かるとは思ってなかったけど、なんか腹立つなその仕草。
「どれどれ……って深!ちょっと予想よりだいぶ深いんだけど。これ底なんて見えな……」
「とう!」
「~~!」
「きゃぁ―――」とぷんっ―――
……はっ!体が勝手に!
いや~、実に押したくなる背中だったもんでつい。なるほどな。精霊ちゃんも俺の背中を押したときはこんな気持ちだったわけだ。そりゃあ満面のいたずらな笑みを浮かべるってもんだな。実際俺も今、どっきり大成功!って感じの笑みをティーニャと交わしてるし。というか打ち合わせ無しでよくタイミングが合ったな。さすが本家いたずらっ子マジパネエッす。
っと、冗談はこのぐらいにして、シルフは無事に街に戻れたみたいだな。
湖に沈んだにしては水音が小さかったし、第一シルフの体が溶けるように消えたしな。
底なしの湖を覗いた印象が精霊の住処の泉とそっくりだったもんで色々調べた結果、メニューに”街へ戻る”のコマンドが追加されていたのを見つけたから十中八九大丈夫だろうとは思っていたけど、これでシルフが湖の底に沈んでいたらどう見ても殺人現場以外の何物でもないな。
……うん。好奇心に駆られて精霊ちゃんのマネをしちゃったけど無事に転移できて本当に良かった。後でおやつ奢ってあげよう。
さて、それじゃあ俺達もメニューの”街に戻る”コマンドで街に帰りますかね。
ちなみに最初にユウが湖に落っこちた時に強制転移しなかったのはゴブリンを倒さないと地底湖の機能が開放されないから・・・とか後付けで考えてみる。
そして次回からあの落とし穴に落ちたプレイヤーは問答無用で街への強制転移に。
落とし穴からの強制転移とか鬼畜すぎんだろ・・・。
「本当に転移しますか?」見たいな選択肢の出ない、踏んだだけでダンジョンの外に戻してくれる脱出ポイントってネトゲだとわりとあるけど結構不親切だよね。
・・・まぁ選択肢が出たところでA連打で飛ばしがちなテトメトには関係無い話なのかもしれませんが。
ふと余所見していた間に竜王に世界の半分を貰ってゲームオーバーになってた件・・・




