Episode1
この学校では、アビリティと言われる超能力を持った生徒がいる。
そして、それぞれの強さを示すクラスレベルと呼ばれる物があり、
それがクラス分けとして使われる。
ここでは、歳など関係ない。
「校訓!」
「「力持ちし者、力を学び、力を使い、実を育てよ」」
ここの奴らは、皆かなり真面目にその校訓を言う。
つか、校訓がそれってなんか物騒だな。
まあ…仕方ない。
この学校では、アビリティの強さ、要するに力が全てだ。
んで持って、今日はクラス分け日。
高いレベルならば、高いクラスに。
低いレベルならば、低いクラスに移動する。
優劣は自分を担当する教師との対決で決まる。
早い話が、どれだけ教師相手に戦えたか、どういう技術を持っているかを測るのだ。
それがこのクラス分けだ。
「さぁ、どっからでもかかってこぉい!」
どこかで声を大きく響かせる教師がいる。
体育担当、野村だ。
妙に気合が入ってやがる…それもそうか、女子相手だもんな。
「いきます」
そして、その相手をするのが、我が校のトップ10にも入る実力を持つ生徒…
須崎 謙信だ。
彼女に刀を持たせれば、並ぶ者がいないともされていて、
アビリティは剣の真価を最大限に発揮させる能力。
おまけに美女ときた。
その美しい袴姿というのも、これまた自然に見えて仕方ない。
シャッシャッシャ!
「せい!はっ!」
対する野村は、格闘技で攻めるタイプ。
教師のアビリティはその実力が計り知れないという理由から公開されていない。
生徒だけ公開するっていうのも、なんか変な話だが…。
シュッシュッ!
「あぁ!おしい!」
須崎の動きはそれはそれは巧みに相手の身を掠めていく。
須崎自体に実力がないわけじゃない。
教師が異常すぎるんだ。
どうしてか、須崎の竹刀が、野村の腹部を捕らえ、ようやく当たったかと思えば、
その野村は自分の体を宙で一回転させて、竹刀をかわして須崎の頬すれすれに手刀を繰り出している。
須崎もまた、野村の手刀を首の動きと肩の動きで見事にかわし、
その後背後にサッとまわって体勢を立て直している。
ああ、見れば見るほどに見事と言わざる負えない。
「さ、見世物になってる彼女に悪い…こっちも始めるぞ、小川」
「はい」
このクラス分けは、二組が同時に行う。
今は僕と須崎だ。
順番はくじでいつも適当に決められる。
さて、やるか…。
僕のアビリティ…それは…。
「小川、今日は”どれで”くる?」
「モチ、竹刀っしょ!」
「いやいや、弓っていうのも…」
と、武器箱と書かれたどう考えても物騒な箱にあった物を僕は適当に取り出した。
「これでいくか」
僕はそれを構えた。
「おいおい、正気かよ」
「ヌンチャクって…あの仙道に?」
そう、僕が取り出した武器…それは、ヌンチャクだ。
使った事なんて一度もない。
そして、仙道と呼ばれるこの教師は、近接格闘で一度も遅れを取った事がないという。
仙道はこの学校の国語の教師で、いつも授業を退屈そうにしているが、
いざ立ち合いになるとその姿を豹変させるという。
だが、僕のアビリティ…武器とみなせば、その使い方を全て理解できる能力で、
この戦いは正直五分五分だ。
「いざ」
「勝負!」