第一話 合宿へ
はじめまして。雨音傘と申します。
記念すべき第一作目です。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
「明日から、夏休みです。皆さん病気や怪我に気をつけてすごしましょう。また・・・」
長い校長先生の話に飽き飽きしていた。もう、30分近くこの蒸し暑い体育館で立ちっぱなしで話を聞いている。
(明日から夏休みとか誰だって知ってるよ・・・。)
俺は、周りと違ってテンションが低かった。
どうせ部活にはこなければならないし、課題は多いし・・・。
「ふぁああ~。」っと大きなあくびをしたときだった、やっと校長先生の話は終わり
「これで、終業式を閉会します。」
と、クラスごとに教室へ戻った。
先生の話を聞き、さようならの挨拶をして教室を後にする。
「早く帰ろう・・・!」
俺は、廊下に貼ってある「廊下は走らない。」という貼り紙を無視して、廊下を猛スピードでかけていき
一段飛ばしで階段を降りていった。バタバタと大きな音を立てながら。
何故、こんなに急いでいるのか。それは・・・
「「「「「「―――――っ!?」」」」」」
曲がり角。遅かった。危ないと思った時、すでに廊下に尻もちをついていた。どうやら、誰かとぶつかったようだ。しかし、これが運の尽きだった・・・・・。
「す、すみません!」
と、顔をあげた瞬間俺は「最悪だ!!!」と心の中で叫んだ。
「あら、山寺君!探していましたの。はい、かばん」
笑顔でそう言いかばんを拾ってくれた3年の鈴ヶ崎結華先輩。
確か、どこぞの社長令嬢だったよな・・・。鈴ヶ崎先輩と俺は同じ不思議研究部。
今日は部活をサボりたかった。だからあんなに必死に走っていた。
「篠木さんと宮田が心配していましたわよ?さぁ、はやく部室にいきますわよ!」
鈴ヶ崎先輩は俺の手を引き足早に部室へ向かった。
ガラガラガラガラ!!!!っと部室に入る。
「おうおう、山寺君。随分と遅かったではないか!もしや・・・、サボるつもりだった?」
とウザいノリで3年の宮田裕也が絡んでくる。
「はぁ・・・。うざいな相変わらず。裕也。」
「おい、僕は君より2年も上の先輩だよ・・・?敬語を使いなさい。それに人は短時間では変われない。」
と、ウザイ裕也に蹴りをくらわせる、鈴ヶ崎先輩。お嬢様とは思えないキレである。
「山寺君!無事だったのね!!よかったぁ~。神隠しにでもあったのかと・・・。」
と、同級生の篠木麗さん。オカルトオタクという部分を除けば完璧な美少女である。
いつも、こんな調子の不思議研究部。しかし、急に鈴ヶ崎先輩の顔がスッと真面目な表情に。
そして、静かにこう言った。
「きいてくださいまし・・・。何と九尾の目撃情報がでていますの・・・。」
と、普通の人が聞いたら、「は?」ってなるだろう。しかし沸く。
「えっ!?マジ!?何処何処何処!?」
「すごいわ!!さすが部長さん!」
・・・俺は、妖怪だとか、七不思議だとか興味はあるよ。だが、ここまで沸かない。
「近くの九ノ里神社だそうですの。」
「・・・え?」
俺は思わず声を出す。
「いやいや、あそこはないだろう!?林の中で人全然こないし!お供え物とか置いてく人見たことないし!九尾っていったらもっとデカイ神社に祀られてるだろ・・・。」
「わ、私毎日お供え物してるよ・・・?」
「「「えっ?!」」」
その、篠木さんの発言に部室の皆が驚いた。
「・・・コホン」と鈴ヶ崎先輩が空気を変える。
「その、九ノ里神社に九尾の目撃情報がありますの!夏休みの合宿は確かめに行きますわよ!」
「俺、パス。」
俺は、即答だった。
「なぁんで?」
と裕也が聞く。
「だって、この猛暑の中林の中になんて入ったら蚊に刺されるし、服は汚れるし・・・!」
「服が汚れるって、お前は女子か!!・・・篠木ちゃんは行く気満々だぞ?」
と裕也が篠木さんの方へ目をやる。篠木さんは目を輝かせワクワクが顔に出ていた。
「確かに、蚊には刺されると思いますわ・・・。でも、課題はかたずきますわよ!この合宿内容を自由課題にしてしまえばいいのです!」
と、鈴ヶ崎先輩。課題がかたずくと聞かされた俺は・・・
「・・・マジですか!?行きます!絶対行きます!」
と、言っていたことを簡単に変えた。
「決まりですわ!では、三日後の朝8時、学校に集合ですの!」
今日の部活はこれで終わり、俺は自由課題がかたずく嬉しさで跳ねるように家に帰った。
つづく
週一ペースで投稿していこうと思います。
最後まで有難うございました!
次回もお楽しみに!