03テロメア
いよいよ今回は寿命にかかわるテロメアを伸ばす事にする。
テロメアとはDNAの末端部にある構造の事で、細胞分裂のたびにテロメアが短くなる。テロメラーゼと呼ばれる酵素があればテロメアが伸長されるが、ヒトの体細胞では発現していないか弱い活性しかもたない為、細胞が老化し分裂出来なくなってしまう。
そこでテロメラーゼを自分で合成できるようにすれば、細胞の寿命を延ばすことができる、というわけだ。
レトロウイルスに感染済みの体細胞から今回使用する分を取り分け、テロメラーゼを混ぜる。
一日置いて、濾過し、霧吹きで吸い込む。
熱が出て、熱が下がった一週間後、自分の体から体細胞を採取し、民間業者の遺伝子解析所に送る。
結果が送られてきたら、パソコンに取り込み確認する。
よし、成功だ。
これでテロメアの長さについては心配が無くなったが、老化の原因はこれだけでは無い。
生まれた時をピークに減少し続ける脳細胞。紫外線や分裂時のエラーで傷付くDNA。体に蓄積する不純物。
脳細胞については細胞分裂が出来るようにして、後の二つについては免疫の強化で対処する。
とりあえず今は健康に気を使って、死ぬ前に研究を完成させるぜ。