魅譜の残響(ソード・ワールド2.0 リプレイ風小説)
ソード・ワールド2.0のルールに従っていますが、小説としてもご覧いただけます。
まだまだ、未熟ではありますが、お気軽にご覧いただければと思います。
魅譜の残響
主人公ステータス
名前:ラルガ
種族:ルーンフォーク(人造人間)
性別:男
年齢:5年目(見た目は22歳)
硬質素材は首のみ
生まれ:戦士
器用度23+3
敏捷度20+3
筋力 24+4
生命力23+3
知力 17+2
精神力11+1
HP:50 生命抵抗力:12
MP:11 精神抵抗力:10
経験値:500
レベル:9
グラップラー 9
スカウト 3
セージ 1
技能
種族:暗視、HP変換
技能専門:追加攻撃、投げ、カウンター
技能:両手利き、全力攻撃、双撃
武器習熟<格闘>、武器習熟Ⅱ<格闘>
言語:交易共通語 会◯ 読◯
魔動機文明語 ◯ ◯
シャドウ語 * ◯
所持金7540G
装備:アクセルブローグ(両足)
ポイントガード
タワーシールド
ブラックベルト
持ち物(上記装備品に加え)
冒険者セット、着替えセット、執事服(3)、スカウト用ツール
ヒーリングポーション(5)、エンジェルリング、通話のピアス
序章「日常」
「ラルガ、今日の予定はどうなっている?」
小太りの、一目見ただけで一流の品だと分かる服装を身に着けている男が、執事服を身につけた長身の金髪の男に話しかけた。
「本日は、シャナ様と会食の予定でございます」
「そうだったな。……娘のレベッカも同席するのだった。強欲のに歪んだシャナ会長のご尊顔を拝むのは気が滅入るが、久々の娘との食事は楽しみだな」
その時、部屋の扉がノックの後に開かれ、綺麗な容貌といって余りある女性が、入ってきた。
「お父様、ラルガ。迎えの馬車が参りましたわ」
彼女は、淡々とそう述べた。部屋から出るとき、ラルガを見てそっと微笑んだ。
バァン!! と音を立てて木製のドアが吹き飛んだ。
ラルガは反射的にベッドから身を起こした。どうやら夢を見ていたらしい。素早く周りを確認すると、どうやら自宅のようだ。ものが殆ど無い、20畳ほどの一般的な部屋だ。
月明かりが侵入者の表情を照らす。どうやら人間のようだ。
部屋の中ほどまで進んだ男は、ラルガを睨みつけながら荒々しい声をあげる。
「お前が賞金首のラルガで間違いないな?」
「そうだが、お前さんは?」
緊張感のなさそうにラルガが尋ねる。
(奇襲か。用心して装備は盾以外は完了しているとはいえ、はあ。もったいなかったなあ、いい夢だったのに)
「俺は、紅の宝玉のガナ。その首もらったぁ!!」
そう言い終わるやいなや、彼はその手のライトメイスを彼に振り下ろした。
ベッドが中央から真っ二つに砕けるが、そこにラルガの姿はない。
「来いよ、小僧。攻撃したんだから、死ぬ覚悟はできてるんだろうなあ?」
ラルガは男の背後から声をかける。ガナと名乗った男は、叫び声を上げながら襲いかかってきた。
先制判定:(スカウト技能+敏捷ボーナス+2dで競合)
ラルガ:8、ガナ:5 先制成功
両手利き:1撃目、命中判定
ラルガ:13、ガナ:13 回避されました
2撃目、命中判定
ガナがクリティカルにつき自動回避成功
追加攻撃で3撃目
ラルガ:20、ガナ:13命中
ダメージ計算:ファンブルにつき自動失敗 経験値+50
ラルガは鋭い回し蹴りを放ったが、ガナはかろうじて回避した。その勢いを利用し、次の回し蹴りは、達人のような受け流しで回避された。体勢を崩しながらも、もう一蹴りラルガは放ったが、それは見当違いの場所を鋭い風斬り音を伴って通りすぎた。
「バケモノかよ。流れるような無駄のない動きでありながら、当たったらと思うと……」
男は武器を構える。
「そうらあ!!くらいやがれ!」
命中判定:ガナ15、ラルガ16 回避成功
男の攻撃を、ラルガは紙一重で避ける。
(そんな大ぶりでは当たらないな……)
その直後にラルガは蹴りを放った。
命中判定、両手利き1撃目
ラルガ:17、ガナ:14 攻撃命中
ダメージ計算:ファンブル。自動失敗、経験値+50
両手利き、2撃目
命中判定 ラルガ:12、ガナ:11 攻撃命中
ダメージ:16
追加攻撃
命中判定:ラルガ:23(クリティカルにつき自動成功)
ダメージ:クリティカル発生!!ダメージ30
一撃目の蹴りを何とかかわしたガナだったが、2撃目は腰にダイレクトにはいった。その瞬間、ガナの意識は一瞬朦朧とする。
その隙をラルガは見逃さなかった。的確に頭を鋭い蹴りが穿った。吹っ飛んで壁に激突したガナは、絶命して崩れ落ちた。
「ふう、少し手間取ったか。もうここまで賞金稼ぎが来てしまったか」
服の汚れを払いながら、ラルガは溜息をついた。
手早く荷造りを済ませると、ラルガはかつて我が家だった場所を後にした。
(確か、『紅の宝玉』は盗賊団名だったはず。衛兵に知らせてやるか)
外は深夜のようで真っ暗だが、道の向こうから幾つもの明かりがこちらに向かってきている事に気づいた。おそらく、衛兵の持った松明だろう。深夜とはいえ、やかましかったから、近隣住民の誰かが通報したのだろう。
(住み心地の良い場所だったが、致し方無いか)
ラルガは反対方向の暗闇へと、歩みを進めるのだった。
第一章『残響』
ラルンディア王国は、16年前に周りの国から独立した、タビットを王に据える国である。その種族の特徴から、研究分野の影響は大きく、他国から多くの企業や資産家が融資していることも影響してか、穏やかな雰囲気を保ち、様々な種族が自由に暮らせる希少性を有していた。
夜中になってもまだまだ活気あふれる通りの一角の酒場に、ラルガは入った。
地酒を注文すると、隣の女性が話しかけてきた。
「こんばんは。観光者さんかしら?」
そちらをみると銀髪に灰褐色の肌、何よりおでこにある3つ目の目が彼女がシャドウの種族であることを物語っている。
「ああ。ここに来て3日になる。なかなかいい国のようだね」
彼女は酔っているらしく、大げさに頷いている。
「そうそう! いい国なのよぉ。みんな気さくで差別もないからねぇ」
彼女は眠たそうにあくびをする。
「どうやら、酔っちゃったみたいね~。それじゃあ、旅人さん、ごゆっくりぃ~~」
立ち上がろうとして、足がもつれたようで、こちらにもたれかかってきた。香水だろうか。甘い匂いが鼻先をくすぐる。
「ああ、ごめんなさいね~」
ふらつきながら店を出て行く彼女を見ながら、出された酒を口に含んだ。
酒場をでると、満月だった。
危険感知判定(目標値11):9 失敗
念のため気配を探るが、ありふれた気配、例えば酔って騒ぐ人々や猫の鳴き声など、無害のものしか感じることができなかった。
宿への道を急ぐ。さすがに夜遅いからか、いつの間にか喧騒も聞こえなくなっている。三叉路を曲がるとフード付きのコートをまとった人物が路地に立っていた。フードに隠されていて顔は見えない。
「お兄さん。ちょっと来てほしいところがあるんだけど」
若い女の声が聞こえる。
「悪いけど、急いでるんでね。通してくれないかな?」
警戒しながら、ラルガがそう言い終えるかどうかという時に、高圧なエネルギーの奔流がラルガを襲う。
エネルギーブレス(2d+10、不意打ちのために回避不可)<2撃>
1:13→生命抵抗判定18、ラルガ14
2:16 17 19 威力半減
ラルガHP:24/50
全く予期していなかった攻撃を受け、ラルガは膝をついた。周りの家々は黒煙を上げ半壊している家屋もある。そのうち、家事に発展することも予期される強力な攻撃だった。あちこちで悲鳴や鳴き声が聞こえる。
ラルガが攻撃された方向を向くと、そこには竜が2体空を飛んでいる。あれらが今の攻撃を仕掛けたと思って間違いないようだ。
「もう一度言います。あなたに来て貰いたい場所があるのです。ラルガ、さん?」
先ほどコートの女性は攻撃などまるでなかったかのように変わらずそこに立っていた。変わったといえば、フードが外れていることだ。
「そのツノは……」
女性の頭には立派な角があった。また、先程は暗くて見過ごしていたようだが、背中には翼もみてとれる。
(ドレイクか)
今の攻撃で体力の半分が削られた。反論の権利はないようだ。
「分かったよ。どこへ行けばいい?」
ラルガがそう尋ねると、女性はニコッと笑い、片手を上げた。すると上空に待機していた竜形態のドレイクが背後からラルガを掴み、空へと持ち上げた。
先程までいた場所が、遠のいていく。
激しい風の音の中、言い知れぬ不安を味わっていた。
そこは、山の中腹にある古い神殿のような場所だった。入口の前にラルガは降ろされた。
竜形態のドレイクも人の、綺麗な女性の姿になった。腰には剣が携えられている。
「それでは、ご案内致しますわ。王がお待ちです」
そう言って彼女は中へといざなった。斜め後ろに2体のドレイクがおり、囲まれるような形で中へと入った。
中はまるで巨人が生活していたのではないかと思われるほど天井が高かった。細やかな装飾もなされていたのかもしれないが、今は風化していて見る影もない。だが、建物としての最低限の機能は果たしているようで、ちょうどいい温度と湿度が保たれている。
少し歩くと、奥に椅子が2つ備え付けられている。おそらくは玉座だろうか。
椅子の片方に、純白のドレスを纏った女が座っている。角と翼が見られることから、ドレイクだと判断された。
周りのドレイク達が跪き、頭を垂れる。
「今戻りました。王よ」
王は立ち上がり、こちらへとゆっくり歩みを進める。
「よく戻りました。あなたがラルガ殿ですね。はじめまして、王のアシュアと申します」
「ドレイクの王たるあなたが、どのようなご用件ですか?」
「実は、暗殺して貰いたい者がいるのです」
彼女は笑みを浮かべながら、優雅に話す。
「なぜ、私が? 暗殺のプロに依頼されたほうが、よろしいのではないですか?」
ラルガの問いかけに、頷きながら答える。
「その通りですね。しかし、それでは当たり前すぎるのです」
「当たり前?」
「そうです。相手が暗殺者、しかも有名であればあるほど、相手は警戒し、事前の密偵などから、足がつくことも考えられるでしょう。それにもし足がつこうものなら、我らが根絶やしにされることも容易に考えられるというもの」
「しかし、私がなぜ?」
「それは、あなたがルーンフォークであり、他人との関わりが薄く、なおかつ、2体のドレイクのエネルギーブレスにも、片膝をつく程度に耐える実力を有しているからです」
「私がルーンフォークだからというのは?」
「それは、消してほしい相手というのが、ルーンフォークの『王』だからです」
ラルガが絶句する。そんな様子を誰も気にすることなく、周りに跪いていたドレイク達が立ち上がり、それぞれ別方向へ歩きだす。
「このあたりの地域でルーンフォークの国といえば、『レオルド連合国』か?」
「そう、その国では、近々新たな王が選出される。その中でも軍国的な、リベリオン王子を消して貰いたいの」
ラルガは王を睨みつけるが、全く気にした様子がない。
「期限は、王が決定する氷苗の期の終わりまで。手法はお任せいたしますが、我らドレイクとの関係がバレてはいけません」
「ハッ! 俺にはメリットがないわけだな」
「そんなことはありませんわ」
王は、会ってから1番綺麗な笑みを浮かべた。
「あなたには、『自由』が手に入るのですから」
「……」
「そ・れ・と・も……」
バチンと王が指を鳴らした。その瞬間、バラバラに散っていたドレイク達が剣を頭上に掲げた。光を放った後現れたのは竜形態のドレイク。丁度3方からラルガと取り囲んでいる。これは突破は難しそうだ。機動力も戦力にも圧倒的な差がある。
「私たちの歓迎がご所望かしら?」
受けるしかないのか。……まだだ。もう少し情報を引き出せる!
「フッ、それもいいかもな。もし、暗殺を投げ出して逃げ出したらどうなるんだ?」
「そうね。私たちの情報範囲はとても広いのよ。至るところにいる蛮族、例えば野外で会うメデューサはもちろん、料理屋で働くコボルドも私の手のものかもしれない。ましてや、貴様の近しい人物が私の友人の可能性もあるな。空をおそれ、他者をおそれ、自分さえも呪う人生を送りたくないなら、私に従え!!」
ここまでか……。どうする。ドレイクに犬のように服従するか、それともここで死ぬか。
…………
その時、ふと昔の思い出が心をよぎった。
あれは確か、まだ執事として仕えていた頃。まだ幼かったレベッカ様と星を見たことがあった。眠れないからと無理やり私を引き止め、大きな窓から一緒に星を眺めたことがあった。
「ねえ。ラルガは、人を殺したことある?」
「いいえ。幸い、まだそのような事態には遭遇しておりません」
「……きっと、ラルガは自分に厳しいから、どうあるべきかを優先するんだろうね」
ふと手に暖かさを感じたので確認すると、ラルガの手の上に、レベッカ片手が乗っていた。
「でもね、あんまり無茶し過ぎちゃったら、きっとラルガは今のラルガじゃなくなっちゃうと思うの」
「……」
そうなのだろうかと考えても、何も解答は得られない。
「私は今のラルガが好き。優しいし、私を特別な目で見ないっていうのもそうなんだけど、……きっとラルガが大切なものを大切だと思っているからだと思うわ」
少しずつレベッカはうとうとし始めているらしく、言葉もゆっくりになっていく。
「だから、…ラルガ、お願いだから、……自分を、…見失わ、…い……で…………」
完全に意識を失ったレベッカが身をこちらに預けてくる
。この後、私がレベッカ様を寝所にお運びするべきなのだろう。ただ、どうか今だけは、この無垢な温もりを感じていたかった。
…………
「ハハ、ハハハハハハハ!!」
ドレイク達が困惑の表情を浮かべる。
「貴様らの脅しはそんなものか」
「なんだと!」
周りのドレイクが警戒を強める。
「確かに、お前達の提案を受けなければ地獄かもしれない。だが」
その瞬間、懇親の力を振り絞り『全力攻撃』をドレイクの王に叩き込んだ。
先制攻撃(不意打ちにつき今ターンかつドレイクの王への攻撃のみ命中確定、ラルガの体力24/50)
両手利き1撃目 全力攻撃
ダメージ判定:20+ 23(10(クリティカル)、11(クリティカル)、8)=43
ドレイクの防御点で-7、ダメージ36
両手利き2撃目
ダメージ判定:16+19(11(クリティカル)、11(クリティカル)、3)35
ドレイクの防御点で-7、ダメージ28
合計:64ダメージ
流れるように2撃目もドレイクの王に叩きこむ。それは通常以上の威力で、打撃にもかかわらず、王の腹を斜めに切り裂いた。
「きっさまああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
ドレイクの王、アシュアは断末魔をあげることしかできず、崩れ落ちた。
その光景をみたドレイクたちは激昂する。
「ラルガーーー!!!!」
ラルガはその威圧を物ともせず、ドレイクの1体に蹴りを叩きこむ。
追加攻撃(技能:双撃)
命中判定:ラルガ 18 攻撃命中!
ドレイクA 17
ダメージ判定:16+1(3)-7=10 ドレイクAに10のダメージ
ドレイクも回避を行ったが、かろうじて足はドレイクの胴体を捉える。
しかし、その威力は、ドレイクにとって大したものではなかった。
「だが、お前達の要求を飲んでしまったら、俺は俺ではなくなってしまう。そうなるぐらいなら、俺は死んででも貴様らに抗う道を選ぶ!」
ドレイクは、ラルガを見下す。
「たかが、ルーンフォーク風情が何を言うかと思えば。貴様は殺すだけでは足りぬ。王を殺した罪、万死に値する! 死体さえ残らぬと思え!! 貴様の関係者全員に後悔と地獄を味わわせてやろう!!」
後攻のターン
ドレイク各自『飛翔』(命中・回避に+1)
ドレイクAが牙でラルガを攻撃
命中判定 ドレイクA 21
ラルガ 22 回避成功!
先ほど全力攻撃を行ったラルガは回避力が若干低下しているが、間一髪ドレイクの牙を逃れた。
「まだまだいくぞ! 小僧!!」
ドレイクBが牙でラルガを攻撃
命中判定 ドレイクB 15
ラルガ 23(出目が12のため自動成功)回避成功!
ドレイクCが牙でラルガを攻撃
命中判定 ドレイクC 22(出目が12のため自動成功)命中
ダメージ判定 12+15(12(クリティカル)+3)=27
ラルガの防御点3でダメージ24!
ラルガのHP 24→0
なんとか急降下してくるドレイクの牙をかわしたラルガだったが、その影に隠れて急降下してくるドレイクには気付かなかった。
ドレイクの牙が、ラルガの心臓をいとも簡単に刺し貫いた。
「っぐ!」
数秒もせずうちにラルガは絶命する。身体は真っ二つに裂け、地面に激突する。
しかし、ラルガの死に顔の口元にはかすかに笑み浮かんでいるのだった。
魅譜の残響 完
はっきりいって、全くの予想外でした。それが、TRPGの魅力ではあるのですが。
まず、執事として働いていたラルガは、主人を含む大勢の殺害の冤罪をきせられて、賞金首として追われる身になってしまいます。
5章くらいで、犯人を突き止めようと考えていて、酒場でシャドウの密偵との件もあったのです。
しかし、なかなか納得できるラストでした。いかがでしたでしょうか。
ドレイクはレベル6~7。主人公はレベル9。しかもモンスターは複数での戦闘が前提でしょうから、死ぬのは覚悟していたのですが。今後は違う展開にも挑戦して行きたいです。
また、近いうちに違う作品を投稿予定です。
読んで頂きまして、本当にありがとうございました。