殿下のお気持ち2
部屋に帰ると深夜だった。
サイの部屋をのぞくとソファーで居眠りしていた...律儀だな。
「ランさん。」
物音に気がついたらしい。
サイが目を覚ました。
眠そうだな、夜中だしな。
「すまなかった、夕食も一緒に出来ずに。」
私があやまると。
サイは首を横にふった。
「お忙しいですよね。」
こんな事を言ってくれるなんて。
なんて可愛らしいのだろう。
「貴女は不安な事ばかりではないだろうか?」
私がそう問いかけるとサイはうなずいた。
「何が、どうなってるのかわかりません。」
サイは言った。
「そうだろうな、データで悪いが、端末で契約書を見せよう、原本は次元図書館の公文書保存室に厳重に保護されているのでな。」
あそこまで、厳重だとは思わなかったが。
端末を開くとのぞく為かサイが身を寄せてきた。
柔らかいな、濃紺の髪の毛が私の腕にかかる。
「確かに、ランティス・パリュデス・ルーアミーア殿下の所有物にサイラ・アイリルア(花山彩良)はなってますね...最優先が殿下で、次がマルティス・グラディ・サテレイス・ルーアミーア国王陛下ですか...その後は王家にと言うことですね。」
意外と冷静にサイは言った。
「貴女に自由が無いわけではない、私の許可が有れば、誰とでも結婚出きるが。」
私は、貴女を他の男にくれてやる。
自虐的な趣味はない。
「殿下、ランさんが婚約者じゃないですか。」
やはり、戸惑っているようだな。
「そうだ、私の初恋の君は貴女だからな。」
バレて困ることではない。
「遊びで体力の限界までつれ回された覚えしかないです、カエルがとどめでした、殿下、いつでも泥少年だったし、本当は美少年だったんですね。」
サイがくると嬉しくてつれ回したが。
それは、悪かったな、美少年?
それはよくわからないがサイがいつきてもかわいくて。
ついついいじめた覚えがあるな。
「それはすまなかった、貴女は、不本意かも知れないが、一生かけてつぐなおう。」
だから、私のそばにいてほしい。
「....別にいいです、好きな人が殿下にできたら婚約解消しますね。」
好きな人か...サイラ・アイリルアだが。
いまの状態では、納得しそうにないな。
「...口づけを許してほしい。」
そのくらいは、良いのではないだろうか?
「どこにですか?」
もちろん、唇にだが、首筋の方が良いのか?
「...口づけだからな。」
目で訴えてみた。
「......あの、経験がないのでお手柔らかにお願いします。」
少し怯えているようだ。
可愛いな、経験がないのはあの、データ集に記載されていた。
学校の男性の目は節穴だな。
まあ、そのお陰で初めてはすべてわたしのものだが。
「目を閉じてくれ。」
サイは言われた通り綺麗な水色の目を閉じた。
なんて可愛らしいのだろう、花のような唇に口づけをした...。
今夜は自制しないといけない、出きるだろうか?
「......不味いな、しすぎたか?」
自分でも驚いた、止まらないとはこう言うことか?
房中術の授業の相手と違う、自制心などないに等しいな。
「....初心者だって言ったのに、ランさんひどいです。」
サイが涙声で言った...。
悪かった、唇どうしの口づけのつもりが。
大人の口づけになってしまった。
サイが可愛すぎるのが悪いんだ。
それでもしばらく話しているうちにサイが居眠りしだした...。
ベッドルームに運んでやるか...。
サイは、可愛すぎる、今まで、本当に、誰も貴女に愛を告げなかったのか?
...アイリルアの分家から。
婚約についての抗議がきたが。
貴女には知らせない、本家は容認している事だから.........。
一生、一緒だ、サイ。