その37 新年会は波乱万丈?2
ねえ、お兄さん誰?
私、別にどこもいかないよ?
「サイラ、ランティス王太子殿下に手を握られるなんてかわいそうに。」
その青い髪の毛の人は言った。
「え?私はランの婚約者ですよ。」
私は言った。
ランの方を見るとさっきの女性が泣き崩れている。
「ランティス王太子殿下はベフィデ・ニーナにやればいいお似合いだ。」
その人は笑った。
この人誰だろう?
でも、ついていっちゃダメだよね。
「私、大丈夫です、離してください。」
私は言った。
「やっと抱き締められたのに。」
その人は熱のある微笑みを浮かべた。
なんか怖いよ。
「離してください!」
私はコウマ師匠に教えてもらった。
自己防衛の術を使った。
「跳ねっ返りだな、サイラ。」
その人に余計押さえられた。
「トーラン・ギルデーヴィさん、サイラを離してください。」
コウマ師匠が静かに後ろから言った。
「トーラン、すまん、守護戦士をうまくべつのところへやれなかった。」
一緒に知らない男の人がいる。
「お友だちを助けてあげないんですか?」
コウマ師匠が言った。
よくみるといつでも攻撃が仕掛けられるようになっているようだ。
「お前の犠牲は忘れない。」
トーランさん?は私を引きずるように
逃亡を図った。
「そう言うやつだよな。」
トーランさん?の友だちがぼやいているのが聞こえる。
「トーラン!うちの娘を離してもらおうか?」
お母さんが前をふさぐ。
「罠か?」
トーランさん?が言った。
「そうですね。」
コウマ師匠が言った。
「...サイラ、空間術を使え。」
トーランさん?が言った。
「なんでですか!私、あなたの仲間じゃ有りません。」
私は言った。
トーランさん?が不思議そうに
私をみつめ、微笑んだ。
「サイラは怖いから混乱してるんだな、私の愛しいサイラ。」
トーランさん?が言った。
背筋に寒気が走ったよ。
「私、あなたに愛しいと言われる筋合いは有りません。」
私は言った。
「君はサイラ・アイリルアだ、私の妻になる娘だ、私の事愛してるだろう?」
トーランさん?が言った。
さっきのベフィデ・ニーナって言う人みたいで自分の主張しか信じて無さそうで怖い。
「私は、ランの。」
婚約者だけど恋人ではないよね。
「ランティス王太子殿下の不当な主張など気にしなくていいよ。」
トーランさんは言った。
「確かに不当な主張だけどね、お前に娘はやれない。」
いつの間にかお母さんがトーランに近づいていた。
「おや、アイリルアの仮のご当主の妻どの、サイラの母君、私になんのご用ですか?」
平然とトーランさんは言った。
「娘を返してもらうよ。」
お母さんはそういってトーランさんから私を離した。
「サイラは私のものですよ。」
背筋がぞっとするような笑みをトーランさんは浮かべた。
自分の主張しかやっぱり信じてない。
「ベフィデ・ニーナが吐いたぞ、トーラン・ギルデーヴィ・アイリルアにランティス王太子殿下は本当はあなたを愛しているとあおられたと。」
ランが登場した。
「ランティス王太子殿下は美人女優と結婚すればいい、軽薄な感じがお似合いだ。」
トーランさんは微笑んだ。
「私は、サイラ・アイリルアと結婚する、ベフィデ・ニーナの出るまくはない。」
ランは静かに言った。
「トーラン・ギルデーヴィさん退場していただきます。」
トーランさんはコウマ師匠に強制的に退場させられた。
「サイラ、助けにまた来るよ。」
あやしい事をいいながら。
「ランティス殿下、今後こう言う事があればサイと結婚させない、どんな手を使ってもだ。」
お母さんは言い捨てて会場に戻った。
「サイ、すまなかった。」
ランは私を抱き締めた。
「無事でよかった。」
そういってキスをした。
自分の主張しか信じない人っているんだね。
ラン、私、こわかったよ。




