その9 殿下に言い渡されました。
仕立て屋さん?デザイナーさん?
よくわかんないけど。
採寸してもらってる間中
呆然自失だった。
ランさん、怖いよ。
「では、こちらのデザインで仕立てさせていただきます。」
ニコニコしながらデザイナーの男性は言った。
「はい。」
ごめんなさい、考えられません。
「ランさん、失礼します。」
仕立て屋さんが帰ったのでランさんの私室にいきました。
ああ、まだ無表情だよ。
今日は、迎え会わせにソファーに座れって事ですね。
「サイラ・アイリルア、貴女は私の婚約者だ。」
そうですよね。
「私の婚約者であると言う事の自覚はあるのか?」
.....自覚は...。
「ありません。」
この間再会したばかりだよー。
「そうか、では、心して聞いてくれ。」
うわー、まだ無表情だよ。
「サイラ・アイリルア、貴女は私の婚約者である以上、公人だ、いずれ私と結婚すれば王太子妃そして王妃となる。」
そう、だよね...自覚無かったよ...。
「そして、貴女はあの契約により、生まれる前から死ぬ瞬間いや墓場の中まで私のものだ。」
は、墓場の中まで?
「...あの、墓場の中って。」
ちょっと怖い。
「貴女の眠る場所は私の隣と決まっている。」
眠る?永久に?わー。
「サイラ・アイリルア?」
....言っておこう。
「私は、ランさんと結婚する事でやっぱり、空間管理師を諦めないといけないんですか?」
諦めたくないよ。
「...直ぐに嫁にこいとは言わないが、少なくとも、高校卒業後には来てもらいたい。」
あと、少ししかないよー。
「空間管理王太子妃なら許そう、結婚せずに社会に出したくない。」
それって束縛ですか?
「私は、貴女が愛しくてたまらない、貴女と会えなかった時どうしていたかわからない。」
そんなに愛してくれてるんだ。
「ランさん、ごめんなさい自覚が足りなくて。」
私、頑張るよ。
「ランさん、心配したんだよね。」
アイリルアが分家がちょっかいかけたから。
「私、死んでからでいいなら墓場の中まで一緒に行くよ。」
もちろん死んでからよいのだがなぜだとランさんは呟いた。
「....サイ、私は貴女が欲しい...。」
サイラからサイに戻った。
欲しいって何?
「あの契約から解放出来れば良いのだが...それもできない。」
ランは言った。
「大事にする、だから私から離れないで欲しい。」
大事にしてくれるんだ...。
ランさんは私に手招きした。
ランさんに近づくと抱き締められた。
そのまま膝の上に抱き上げられキスされた。
本当に大事なものになった気がする。
ランさん、本当にごめんね。
だから、そんなに力入れなくても大丈夫だよー。