実力
「・・・あぁ。今一番、お前の声が聞きたくなかった」
本当にそうだ。なんで、こんな悪いタイミングで現れるのだろうか。一番来てほしくなかったのに。それに、こいつの性格上・・・。
「大和さん。下がっててください。これは、私の問題なので。私が終わらせます」
「・・・やめろ」
「でも。貴方の手を汚すのは嫌です。本当に、私の問題ですから。だから、私に任せてください」
「チッ。なぁ。みぞれちゃんよ。そこを退いてくれねぇか?」
「それはどうしてですか?」
「俺たちは、そこの雑魚に用があるんだ。みぞれちゃんには、手を出せない。だから、退いてくれ。さもないと・・・ちょっと痛いことするよ?」
「嫌です。それに、私最初から話聞いてました。・・・貴方達、大和さんに罵詈雑言を浴びせていましたよね。なんで、そんなことを言うんですか?」
「だ、だって・・・!!」
「みぞれ。こいつらな、お前のことが好きなんだってよ」
「ちょ、ちょっと!!お前!!なに言ってんだ!!」
「別に、間違ったことは言ってないだろ」
「ふーん。そうなんですか。じゃあ、その告白に対して返事をします。貴方達の中の、誰とも付き合えません。そんな、周りの人を大切にしない人は嫌です」
「・・・はっ。そうか。じゃあ、それほどみぞれちゃんにとってはこいつが大切なんだな?」
「そりゃそうですよ」
だったら・・・と、そいつらが付け足したその次の瞬間。
「こいつを殺したら、俺たちのこと見てくれるか?」
刹那、そいつらは俺に向かって突進してくる。
「遅いな」
俺が、避けようと思ったその瞬間、
「大和さん!!」
「おい。まて・・・!!」
その時、俺は動かずにはいられなかった。
「なっ!!お、お前。どうやって避けた!?」
「え・・・?ど、どういうこと?」
ま、まずい。みぞれが殺されそうだったからつい動いてしまったが、人間には出来ない芸当をしてしまった。まさか、バレたか?
「ま、まぁ。偶々だろう」
「ねぇ、本当にやめてくれない?大和さんには手を出さないでほしい」
少し、面倒くさい状況になってしまった。
「大和さん。貴方は逃げてください」
「いや、無理だって」
「貴方は殺されかけているんですよ?それで、ここにいる必要はありません。・・・あ、大丈夫です。私は、この人達に負けることはないので」
「言ったな?じゃあ、やってみろよ」
本当は、こいつにやらせるのは気が引けるが・・・俺の実力がバレるのもそれこそヤバイ状況を招いてしまう。それに、おそらくこいつは戦闘に参加させてもらえないだろう。
「私の問題だから・・・」
と言って、守ってくることだろう。だから、ここはみぞれにやらせるしかないのだ。それに、少し実力が気になる。
「しっかり、私の実力を知ってくださいね?」
すると、みぞれはポケットからナイフを取り出した。そして、次の瞬間、
「お、おぉ・・・」
一瞬にして、10人の男を蹂躙した。気づけば、そいつらは倒れていた。
「殺してはいないんだよな?」
「はい。もちろんです」
「というか、強いじゃないか。それでなんでFクラスになんかいるんだ?」
「あれでも、他の人と比べたら歯が立たないので」
「はへ~。そうか。まぁ、ありがとう」
本当は俺がやるつもりだったんだがな。どうするのが正解だったんだろうか。ま、なんでもいいか。
そうして、次の日も普通にみぞれは関わってきた。
「お前さぁ、昨日のこと忘れたのか?」
「ん?別に、気にすることないでしょ。私が誰と関わろうとなんでもいいでしょ?」
「ま、まぁ。そうだな」
「私は貴方と関わりたいから関わってるだけなんで。細かいことは気にしない方がいいんですよ!!」
なんか、あのときと少し性格が変わったよなぁ。なんて思う。
「おし。席に着け」
すると、教師が入ってきて、そう生徒達に促した。
「朗報であり、悲報だ。単刀直入に告げる」
と、教師がそう前置きをして、
「明日、これまでで一番大事な試験を行う」
・・・と。
「内容は、クラス内最強決定戦だ。この試験で退学することはまだないが、今後の成績に大きく響いてくる。もし、クラス内で最強となることが出来たら、加点とランクアップの特典が与えられる。逆に、最底辺となったら退学へ近づいてしまう。お前達は、正直に言ってしまえば雑魚だ。せいぜい、退学にならないように頑張れよ」
さて、どうしようか。最強決定戦・・・か。やろうと思えば、おそらく最強になることは出来る。しかし、あまり奮発しすぎてしまうと、実力がバレる可能性がある。かと言って、最弱になってしまえば退学となってしまう可能性がある。それだけは避けたい。俺の目的のためにも。
「そして、前の試験とは違って、明日の試験はトーナメントだ。トーナメント相手は、ランダムで決まる。そして、当日の試合前になるまで対戦相手を知ることが出来ない」
つまり、なんの対策をすることも出来ないのか。
「どうしようかなぁ」
流石に、悩んでしまう俺であった。




