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それからも、みぞれは俺に話しかけてきた。
「ほんと、いつまで話しかけてくるんだ」
「逆に、あなたはなんでそんな嫌そうにするんですか」
「別に。俺は友達とかいらんからな」
特に、過去の世界で関わりがあった奴とは関わりたくない。だって、未練が残ってしまうから。別に、平和な世界だったらいいけど、この世界ではダメなんだ。だって、この世界では・・・。
「席に着け」
そのとき、Fクラスの教師が席に着けと促した。
そんなこんなで、しばらくは何もない日常を過ごした。関わりたくもないのに、みぞれが関わってきて、そして授業をただ受けるだけ。
「何か面白いこと起きねぇかなー」
夜、屋上で黄昏ながらそんなことを呟く。すると、
「大和さーん」
「・・・ほんとお前、どこにいても現れるな」
当たり前かのように、みぞれが現れた。なんで俺の場所が分かる?まさか・・・と思って、俺は体を探った。しかし、
「ん?何しているんですか?」
「いや、なんでもない」
流石に、GPSはつけられていなかった。だったら、尚更なんで俺の場所が分かる?
「まぁ、細かいことはなんでもいいじゃないですか!!それで、何をしているんですか?」
「黄昏てる」
「ま・・・まぁ。そういう時期ですもんね」
「うるさい。からかうならどっか行け」
正直、こうやって着き離す度に心が痛くなる。そりゃそうだ。だって、俺は過去の世界で情を抱いてしまったことがあるから。
「せっかくなんだし仲良くしましょうよー」
「だから、俺は仲良くするつもりはないんだっての」
嫌なんだよ。未練が残ってしまうから。
「ほんと、連れないですねぇー。もう夜も遅いんですし、さっさと寝た方がいいんじゃないですか?」
「ま、そのうち寝る。俺の気分で決める」
「そうですか。じゃあ、私は寮に戻りますね。それでは」
「ういっ」
適当な挨拶だけ交わして、そいつは去っていった。
「まぁ、そろそろ帰るかぁー」
事実、ここにいてもやることがないからな。俺も戻るとするか。
そうして、寮に戻る道中、
「異能力者は、どこにいるんだろうなぁ」
忘れているかもしれないが、俺の目的は異能力者を探すことだ。この世界では、一応異能力者は存在する。それは、過去に俺が異能力者に出会ったからだ。しかし、それから、異能力者には出会わなくなった。実力主義の世界ではあるのだが、あの時のような異能力者がざらにいる世界ではなかった。・・・と、すると。
<<ガサガサ>>
と、微かに物音が聞こえた。・・・まぁ、そうだろうな。なんとなく、いる気配はしていた。人数的には・・・。
「あーあ。暇だなぁ」
その、隠れている人物に聞こえる声量で俺はわざとらしくそう叫んだ。すると、その物音がした位置までやってきたとき。
「っ!!・・・だろうな!!」
草むらに隠れていた人間が、俺に対してナイフを振りかざしてきた。すると、続々と、草むらに隠れていた人間が姿を表した。
「数は・・・10人程度か」
「くっそ。お前、なんで避けられた?」
はて。俺、こいつらの恨みを買うようなことをしただろうか?
「全くをもって、身に覚えがないんだがな」
「おい。答えろ。お前は、なんで避けられた?」
「なんでって。そりゃあ」
俺は、適当に嘘を吐くことにした。
「たまたまだ」
「はっ。だろうな。お前みたいな雑魚に避けられるわけがないからな」
「とかいうアンタは、俺よりランクが上っていうのか?」
「生憎と・・・俺はお前と同じFクラスだ」
「ほう。それでよく言うじゃないか」
「そんなことはどうでもいい。お前、みぞれちゃんとどういう関係だ?」
「みぞれ・・・?」
あぁ。そういうことか。まぁ、みぞれ可愛いからな。好きになるのも分からなくはない。
「別に。あいつが勝手に関わってくるだけだ」
「はぁ?なに言ってんだテメェ」
「嘘は吐いてないぞ。本当に、あいつが勝手に関わってきているだけだ」
「お前自身は、関わるつもりはないのか?」
「あぁ。全くをもってな」
「じゃあ、あいつと関わるのをやめてくれ」
「ほう。それはどうしてだ?」
「簡単な話だ。あんな子に、お前は合わない。可愛い子を、汚すな。お前と言った、汚れた存在が」
つまり、熱狂的なファンということか。どうしようか。そっちから攻撃を仕掛けているから、一応正当防衛にはなるが・・・攻撃する義理もない。ただ、あいつが変な目に会うと考えたら・・・少しだけ護ってあげたい気持ちが湧いてきた。
「俺も、熱狂的なファンになっちまったか」
だがしかし、過去に関わりがあったのは事実。そう思ってしまうのも・・・悪くないのか?
「それでも関わり続けるってんなら・・・」
そうして、次の瞬間。
「俺は、ここでお前を殺す」
そう言った瞬間、そいつらは俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。はぁ。弱い奴はだいたいそう。自分達の利益しか考えないから・・・成長できない奴は出来ない。ただ、ここで攻撃をしても、俺になんのメリットもない。何せ、死なせてしまえば罪に問われる可能性もある。さて、どうしようか・・・と、俺が悩んでいたそのとき。
「何をしているんですか?あなたたち」
と、その声があたりに響くのであった。




