学園の設備
そうして、俺はラズの元へ来ていた。
「まだ、動けそうにないのか?」
「あぁ。相当深いダメージを負っている様だな。というか、あいつはどこへ行ったのじゃ?」
「あいつは、死んだ。俺とルアで殺した」
「ルア・・・あぁ。あの子か。でも、あの子もよく倒せたね。ワシですら勝てない相手だったのに。それは、貴方がいるから?」
「俺がいたところで、そこまで変わらないだろ。それで、お前はどうするんだ?」
「流石に、十分に戦えるエネルギーは残ってないな。体力はまだあるんじゃが・・・戦っても意味がないじゃろう」
「そか。じゃあ、教師のところまで付き添ってやるよ」
「いや、いい。ワシ一人でなんとかなる」
「ダメだ。もし道中で敵に出会したらどうする?対処できるのか?」
「まぁ、あれほどの強者が現れてしまったら流石に負けるじゃろうな。だが、ワシ一人でなんとかなる。お前さんは、残りの退学者を全滅させてくれ。ワシを、信じてくれ」
「わかった。絶対、死ぬなよ」
「誰に言っておる。ワシは、学園最強の人間じゃぞ?」
「あぁ。そうだったな」
そう言って、ラズは立ち去っていった。
それから、俺は誰一人残らず退学者を殲滅していった。次第に、島中を探しても退学者を見つけることが出来ず、
「これにより、全ての退学者を殲滅した。在学生は、初期の位置へ戻ってくるように」
と、そのアナウンスが鳴り響いた。あれだけの大きな音、スピーカーも無しにどうやって出したのだろうか?・・・まぁ、
「そんなことは、どうだっていいか」
と、結論付けることにして、俺は元の位置へ戻ることにした。
敗者復活戦も終わりを迎え、気づけば学園に戻ってきていた。少しずつ、世界は変わってきている。
俺の目で、特殊能力を所持している人間を3人も見つけることが出来た。ただ、おかしいのは学園最強のラズが特殊能力を覚醒させていなく、それ以外の人間が覚醒させることに成功していることだ。
「だとしたら、やはり発動条件があるのか」
Fクラスの女、希空と戦ってから薄々気づいていた。あいつは、ナイフを対象に当てることによってその特殊能力を発動させる。そして、ナイフを当てれば当てるほど、その威力は上昇していく。
ルアだってそうだ。あいつは、狂えば狂うほど、その威力を上昇させることが出来る。
つまり、基本的な発動条件と、その特殊能力の強度が更に増す条件もあるということだ。
「少しずつ、謎が解明されていっている」
が、異能力と特殊能力の違いがまだ判っていない。この世界で、異能力を使用している人間が、まだ現れていないから。おそらく、初めてこの世界で対峙したあの術者も、異能力ではなく特殊能力だったんだろう。
「とりあえず、今日は寝るか」
判ったことは、増えてきている。もう、夜風も十分浴びたし、そろそろ部屋に戻って寝よう。まだまだこれからも、こう言った戦いが増えていくだろうから。
次の日、俺はラズに会いに行っていた。
「お邪魔します」
学園内に設備されている病院の、ラズの部屋を開ける。
「おぉ。やってきたのか。大和」
「調子はどうだ?」
「それが、この学園の医療はとても発展している様でね。見ての通り。昨日負ったはずの傷が、もう完治したんだ。蓄積した疲労とダメージも、なかったかのように消え去っていてね。ほんとびっくりじゃよ」
「それはよかった」
「今日から、また学園生活に復帰できるらしい。・・・が、ワシもまだ実力が足りなかったのか」
「そんなことないだろ」
「いや。結果的に、ワシは負けてしまったのだ」
「でも、相手はあの狂人ですら大ダメージを負っていたくらいだぞ?それほどの強者だったんだ。負けることは仕方ない」
「なんにせよ、負けたことには変わりない。ワシは、最強なんだ。誰よりも強く、誰にも負けない。そんな、最強だ。だから、まだ欠点があるのじゃ」
「ま、更に強くなろうとすることは悪いことじゃない。お前がそうしたいなら、それでいいんじゃないか」
「あぁ。そのつもりじゃ。お前、もうすぐ授業なんじゃないのか?」
「ほんとだ。そんな時間だ。それじゃ、行ってくるな」
「あぁ。頑張れよ」
ワシはそいつに手を振って、彼が病室を出るまで見送った。
「・・・ふぅ」
さてと。流石に、ワシも馬鹿じゃない。あれに関しては、いくらなんでも違和感を感じた。
「あの力は、一体なんだったんじゃ?」
今までに、見たことない力だった。明らかに、人間ではない何か・・・。もしかしたら、我々人類が気づいていない”何か”があるのかもしれない。
そして、何故ルアと大和はあの人間に勝つことが出来た?たしかに、その前にワシもあいつにダメージを与えていた。でも、あの力を行使されてしまえば、あの力には及ばないだろう。おそらく、ルアも大ダメージを負っていたことから、その力を使われたんじゃろう。
なのに、何故勝つことが出来た?それも、大和が来てからあっさりと・・・。
「やはり、あいつは何かがおかしい」
あいつは、普通の人間ではない気がする。でも、だとしたらあいつは何になるんだ?




