狂人
「すげぇな。あのラズでさえもヤバイと言わせて、この狂人もこんなに重症を負っているとか・・・お前、何者なんだよ」
刹那。ボクが少しだけ認知している人物が現れた。
「キミは・・・噂の無叶大和君かい?」
「なんだ。認知していたのか?」
「あぁ。キミ、そこそこ有名だよ。ラズがSクラスでキミの存在をよく言っていたからね。ボクも名前は知っているね」
「あいつ・・・いらんことしやがって。それで、だ。お前は何者なんだ?」
「待て。キミはやめた方がいい。いくらなんでも、ボクでも、ラズでも勝てなかった狂人だ。だから、キミは逃げた方がいい」
「狂人って・・・相当狂人なお前が言うくらいだから本当にヤバイんだろうな。だが、そんなの関係ねぇよ。お前は、今動けそうなんか?」
「ちょっと、傷を負っているから本領は発揮できないが・・・まぁ。動けなくもない」
「そんな程度か。じゃあ、一旦休んどけ。俺に任せろ。お前が動けるようになれるくらいにまでは・・・耐えてやるよ」
「信じていいんだな?」
「あぁ。任せろ」
そうして俺は、そいつに向き合った。
「ハッ。すげぇな。どうやってあいつ等を弱体化させた?」
「・・・」
「なんか言ったらどうなんだ?」
「・・・」
「なるほどな。あくまで喋るつもりはないのか。こっちだってな・・・」
こいつだったら、少しくらい本気を出してもいいか。
「弱くないんだぜ?」
刹那、俺は久しぶりにあの術を使用する。
「っ!?・・・」
「お前のその仮面の下が気になるなぁ。今さら、驚いたりしてんのか?」
そりゃそうだ。だって、こいつらとは違った雰囲気を今、醸し出しているだろうからな。
「流石に、これで死んだりしねぇよな?」
そうして、俺はそいつに放つ。
「っ!!」
「中々強靭な肉体だな。俺も少し、体に反発が伝わってきたな」
「・・・」
だったら、もっと出力上げてもいいか。そうだな。次は・・・。
「60%で行くか」
神の60%・・・舐めるなよ?
「ハハハッ!!おもしろいねぇ!強いねぇ!!これでも、まだ倒れないんだな!!次の一発は・・・どうだ?」
そうして、俺がパンチを放とうとした刹那。
<<ゴゴゴゴ・・・・>>
段々と、地面の雑草が剥げていく。同時に、何かおかしいものを感じる。まさか・・・。こいつは。
「そういう類いだったか」
だったら、こいつに攻撃させてはならなかったか。だったら・・・久しぶりに、アレを使うか少し労力は消費するが・・・。強制的に俺のターンに持っていくなら、これを使うしかない。
「ふーっ・・・はっ!!」
すると、その”何か”は、一瞬にして消えて・・・。
「は?」
ついに、その仮面が声を上げた。
「びっくりもするか」
だって、俺は手刀を振り下ろしただけだからな。そりゃ、平常心を保てるわけがない。
「お前が・・・神」
「は?何言ってんだ?」
まさか。バレたのか?しかし、なんで。何故バレた。
「始末対象・・・」
「チッ」
仮面でもしておけばよかったか。ただ、ここで殺してしまえば問題ないか。
「待って!!ボクも、もう参加できる。だから、やるよ。大和」
すると、先程まで回復に専念していた狂人がその体を立ち上がらせた。
「必要なかったがな・・・。まぁいい。やるか」
おれとそいつはナイフを構えて、そいつに視線を飛ばした。
「・・・チッ」
「お、おい!!」
すると、そいつが急に逃げ出した。
「・・・逃がすかよ!!」
俺は地面を強く蹴って、そいつに接近した。1秒も経たないうちに、そいつの眼前にまで移動して、そして、
「卑怯ものが。たったの人間如きにビビってんのか?」
そう言いながら、俺は蹴りを入れた。すると、対応しきれなかったそいつは体を吹っ飛ばし、地面に体をぶつけながら転がっていく。
「おい狂人!!お前にキルをやるよ!!さっき傷をつけられた恨みを晴らせ」
「恨みなんか・・・ないけどね」
そうして、その狂人が・・・。
<<ブシュッ>>
その仮面の目の付近に、ナイフを刺した。
「おーおー。随分とグロい光景が・・・」
いくらなんでも、これは見てはいけない光景だった。・・・が、まぁ。ルールに殺してはいけないなんて言うものはない。だから、これでいいのだ。その男に近寄ると、つけていた仮面が段々と剥がれ落ちた。・・・そして、愕然してしまった。
「・・・あぁ。素顔が。曝されてしまった・・・。お前等、よくもやってくれたな・・・」
「え?ど、どうして生きて・・・」
「お前だ。そこの女が邪魔だった。お前がすぐ死んでいれれば、この神とも万全の状態で戦えたって言うのに・・・お前、狂ったような行動ばっかしやがって・・・!!殺してやる!!」
そう言うと、そいつはその狂人に向かって動き始めた。こいつならどうにか出来るかもしれないが・・・。賭けるしかない。
「馬鹿・・・!!」
その狂人は、動いていなかった。ずっと、突っ立ったままだった。
<<キーン>>
なんとか間一髪で、その攻撃を交わすことが出来た。
「馬鹿!!なんで動かなかったんだよ!!」
「・・・」
「おい。生きてるか・・・?」
・・・すると、その刹那。
「・・・ハハッ」
その狂人が、突然笑い声を上げるのだった。




