”ヤバイ”
そうして、開始の合図が豪語されてから、俺も動き出していた。数は、在学生より退学者の方が多い。が、流石に負けることはないだろう。・・・中に、ヤバイ奴でもいない限り。・・・ちなみに、とある場所を見ていたら・・・。
「ははっ。派手にやってんな」
雰囲気的に、おそらくSランクの生徒と思われる奴が、数百を越える退学者を一人で抹殺していた。その姿は、まさに”狂人”だった。・・・怖い怖い。だって、アイツはずっと・・・
「キャハハハハハハ!!!!」
と、甲高い笑い声を上げながら次々に生徒を殺していっている。目にはハイライトが灯っていなく、まるでその眼は”闇”であった。気味が悪いほどに口元がニヤついていて、常に笑い声を上げている。・・・正直に言えば、気持ち悪い。
「さて。俺も少しくらいは何かするか」
とりあえず、人目につかないところを探そう。
そうして探し回っていると、複数の退学者がいた。
「お前は・・・Fクラスの生徒」
「元な。今は違うんだわ」
俺は、その人物に見覚えがなかった。
「・・・納得がいかない。何故、Cクラスであった俺たちが退学して、Fクラスだったお前が残っている・・・」
「実力が足りなかったんだろ。全てを人のせいにするな」
「おかしい。だって、聞いたぞ!?お前は、ラズ様のお陰で昇級することが出来たんだろ?だってのに、なんで・・・」
「さぁな。別に、退学したお前に関係なくねぇか?・・・それに、そんなに納得いかないってんなら・・・」
俺は、ポケットからソレを取り出して、
「この俺を、殺してみせろよ」
そう煽ると、そいつらは群がって俺に襲いかかってきた。・・・結局、実力がなければ群がってもなんの意味も為さない。三人寄れば文殊の知恵と言うが、それが馬鹿3人集まったところで何の知恵も働かない。それと同じだ。無能が数多く集まったところで・・・
「グハッ・・・!?」
「その程度で、よく俺に勝てると思ったな。もっと言うなら・・・」
ナイフについた血を俺は振り払って、
「よく、それでCランクになれたな」
「ま、まて・・・!!殺すな。俺は、まだやりたいことがあるんだ!!」
「あ?・・・お前w。忘れたのか?この世界はな・・・」
その生意気な弱者の眼前にナイフを突きつけて、
「実力主義の世界なんだよ。強者は優遇され、弱者は人権がないものと等しい。そんな弱者に、物申す権利があると思うか?」
「・・・チッ。ふ、ふざけ・・・!!」
そいつが言い切る前に、俺はそいつ等にトドメを刺した。あぁ。虚しい。弱者は、行動を起こせないから。・・・だが、俺はこの制度がおかしいと思ったことがない。世界最強であるから・・・という理由もあるが、それが普通だと思っているからだ。
それから、俺は呆然と歩いていた。半日で、ほとんどの退学者が殺られたようだ。歩く道の端々に、退学者の死体が転がっている。
「こりゃ、派手にやったなぁ」
まぁ、当たり前の光景だ。別におかしくない。だって、退学者が在学生に勝てるわけがないから。・・・そんなことを考えながら、歩く。真っ暗な山道を。・・・すると、また誰かが倒れているのが見えた。近づくにつれ、その姿は段々とハッキリしていき、そして・・・。刹那。俺は驚愕してしまった。
「・・・は?ラズ?」
この、実力主義の学園の最強、頂点に立つラズが、地面に倒れていた。意味が分からない光景だ。何故、こいつが倒れている?
「おい。ラズ!!返事しろ!!」
脈を確認すると、しっかり動いているので、生きてはいると思うのだが・・・。
「ラズ!!」
俺が必死に叫ぶと、やがて、
「あ・・・お前は・・・。き、気をつけろ。この島には・・・『ヤバイ奴』がいる・・・」
「や、ヤバイ奴・・・?」
こいつが言うくらいだ。だから、相当ヤバイんだろう。
「何があった?」
「退学者がいたから、いつも通り排除しようと思ったんじゃ。・・・が、何故か攻撃が通らなかった。そして・・・。ついに、ワシはやられてしまったんじゃ」
「お前が負けるって・・・どういうことだよ」
「ワシにも・・・わからない。ただ一つ、言えることが・・・あいつは、おかしい。何かが外れている。お前に・・・伝えておく。あいつに出会ったら、絶対に逃げろ。あれは・・・誰も勝てない」
ラズにそう言わせるくらい。ヤバイ奴・・・。あぁ。やばい。やばい。本当に・・・。
「・・・ハハッ」
笑いが止まらないくらいヤバイ。そんな、奮い立たせるなよ。俺からしたら・・・興奮してしまうじゃねぇか・・・。
いつも通り、すぐ殺せると思っていた。だって、相手は所詮退学者。Sクラスのボクが負けるわけないと思っていたから。・・・だけど、
「ハァ、ハァ・・・」
こいつは、おかしい。さっき、ボクも見てしまった。・・・あのラズが、倒されるところを。その時点で、事のヤバさを知らせていた。ボクが興味を持ってしまったからそいつに戦闘を申し出てみたのだが・・・。
「お前は、一体何者なんだ・・・?」
これほどに強い人物を見たことがなかった。もしかしたら、ボクも・・・。
<<シュッ>>
「・・・え?」
そのとき、目の前を何かが通りすぎるのを、私は見るのであった。




