ONLY
その紙を見た瞬間、俺は絶句していた。
「・・・は?は?どういう、ことだよ・・・?」
驚くしかなかった。だって、そこに書かれていた内容は。
『あなたは殺し屋です。仲間はいません。市民全員にバレないように行動してください』
俺の役職は殺し屋。そして・・・仲間はいない。いや、どういうことだ?何故、仲間がいない?数千人VS俺ということか?そんなの・・・勝ち目があるか?仮に、俺が勝つ路線があったとしよう。・・・そんなの、何日かかると思ってんだ。
「それでも、ミッションを遂行しろってことか?」
これは、俺にとって不利過ぎる状況だ。だって、まず味方がいないこと。その次に、日が経てば経つにつれ・・・バレる可能性が上がること。だから、俺はアリバイ作りを入念に行わないといけない。
「と、とりあえず周りの様子を見に行くとしよう」
そうして、俺が外へ出ると・・・そこは、地獄そのものだった。
「お前が殺し屋なんだろ!?」
「あ!?なんだよ!!」
既に、争いが起きていた。生徒同士で言い合って、お互いがお互いを疑い合っている。すると、
「あ!!殺したぞ!!」
そのとき、一人の生徒が他の生徒を殺したらしい。
「こいつが、殺し屋だ!!」
周りにいた生徒が、皆してその生徒が殺し屋だ!!・・・と、避難する声をあげる。
「ま、まて・・・!!俺は、俺は!!殺し屋じゃない・・・!!」
その必死な叫びも、群衆の声に敵うはずもなく・・・。
「投票だ!!こいつに投票しろ!!」
と、多くの生徒が呼び掛ける。すると、
「っ!!・・・あぁ。そういうことか」
一つの、会議室のような場所に飛ばされた。何かの言霊を発することで、こういう会議室に飛ばされるようになっているのか。
「投票する人を選べ」
そのナレーションが響き渡る。それと同時に、ほとんど全員の生徒が、先程殺人を犯した生徒に投票する。
「まて!!本当に待ってくれ!!」
その悲痛の叫びも虚しく・・・。
「一人の生徒が追放されました」
その生徒は、追放された。そして、次に。
「追放された生徒は、殺し屋じゃありません」
「は、はぁ!?」
全員が、その疑問を口に漏らす。・・・あぁ。そういうことか。殺し屋が一人である理由が分かった。
「おい、どういうことだよ!!」
「ま、まって・・・!!そんなつもりじゃ!!」
こうして、人間関係というものが壊れていく。その光景を見ていると・・・。
「ハッ」
思わず、笑みが溢れた。・・・と、するとそのとき。
「皆の衆!!落ち着け!」
一人の生徒が、声をあげる。すると、全員の視線が、一斉にそちらの方へ向く。その生徒は、少し他と様子が違った。
「ワシのこれが見えるか?」
そうして、頭に被っているそれを指差す。
「これは、見ての通り王冠だ。クラスSの生徒しか着用することが出来ない・・・王冠。これの意味が分かるな?」
全ての生徒が黙り込んだ。
「なんだこの状況は。お前達、全員殺し屋なのか?何故、まだ何もしていないはずなのに、お互いを責め合う。こんなの、殺し屋からしたら美味しい状況でしかないぞ!!だって、市民同士が無様に戦い合っているのだからな。一度、落ち着くがよい」
「・・・チッ」
邪魔が入った。そうして、俺はアイツのことを知っている。だって、
「ワシは、Sクラスのトップ。・・・つまり、この学園の頂点に座るラズだ」
数週間前、俺はこいつに出会っているからだ。
「とりあえずは、ワシが仕切る。だから、勝手なことをするな」
ラズが、そう言うと、
「そういうお前が殺し屋なんじゃねぇか?そうやってこの群衆を牛耳り、一人ずつ殺していこうっていう作戦があるんじゃねぇか?」
はぁ。馬鹿か。そんなことしたら・・・。
「あ?楯突こうって言うのか?」
「あぁ。信じられるわけがねぇだろ。確定で市民と決まったわけでもねぇのによ」
「まぁ。楯突くってんならワシを殺してみろ。・・・所詮、お前はワシより実力が低い」
ラズがそう挑発すると、それに乗った生徒数人がラズに向かって攻撃をしかけた。
「ほんと、惨めだな」
そんなことしたって、無駄だって言うのに・・・。瞬くうちに、ラズに敵対した生徒は全滅した。このゲームにおいて、殺しは自由だ。市民が市民を殺害しても、なんの問題もない。だから、ラズはその生徒達を殺した。
「一応言っておくが、ワシは市民じゃ。殺している時点で、信じられないっていう奴もいることだろう。しかし、そんな私に楯突いてみろ」
ラズは、死んだそいつの死体を持ち上げながら言った。
「こいつのようになるからな?」
あぁー。面倒な奴が現れてしまったな。
そうして、一旦部屋に戻った。ラズの、何が面倒だって・・・。そんなの、決まっている。あいつは、Sクラス。そしてこの学園のトップであるが故に、全てのステータスが最強だ。実力も、頭脳も、推理力も・・・。だから、俺からしたら厄介な存在になる。しかし、
「すぐにあいつは殺せない」
不意を突くことは、最悪出来るだろう。しかし、それで殺せると思ったら大間違いだ。だって、あいつは最強だから。いくら神の俺でも、あいつを殺そうってもんなら長い時間をかけないと殺せない。
「一旦、あいつは保留か」
しかし、これからどうしようかなぁ・・・。




