目的
そうしてやがて学園に戻ってきたのだが、俺のクラスは半数以上が退学となったそうだ。元々100人ほどいたクラスが、30人にも満たないほどに減っていた。
「改めて、合格したものはおめでとう。少しでも、実力主義の世界においては使える存在となった。が、忘れてはいけない。所詮、お前達はFクラス。最弱クラスだ。試験に合格したからって、自惚れるなよ?」
それはその通りだ。あくまで俺たちはFクラスの生徒。それこそ、俺だったら高ランク帯でも通用するかもしれないが、その他のFクラスの生徒だったら通用するかどうかは怪しい。通用しても、CやBランク帯の生徒だろう。
「それじゃあ、授業を始める」
そうして、授業が始まるのであった。ちなみに、授業内容は正しい体の扱い方や、剣術などがある。本当に、基礎中の基礎を習っている。いつか、銃の使い方とか出てくるのだろうか・・・。にしても、隣の席の奴はこう言ったものを使わなくてもいいんじゃないだろうか?いや、大事と言えば大事だが・・・俺が見たあれは、中々に強力なものだった。この世界には、まだ生身な人間に溢れている。だから、あの特殊能力だけでもなんとかなると思うが・・・。
「ま、なんでもいいか」
それからは、ぼーっとしながら授業を受けるのであった。
この世界は、実力主義の世界。実力が高い者は優遇され、実力が低い者は不遇される。そういった、格差社会が築かれている。そして、私が通うこの学園も、実力主義の学園。この学園に入学する者は、何かしらの目的がある。その大半が、卒業した際の多額の賞金だろう。しかし、その中にも何かしらの目的があって入学した者もいるだろう。例えば・・・。
「っ・・・」
私、とかね。
「おい、殺れたのか?」
「いえ。ごめんなさいお父様。対象は、まだ始末できていません」
「何をやっているんだ。あいつは、危険因子なんだぞ?何故そんな人物を放置する。いづれ、我々の敵となるかもしれないんだぞ?」
「ご、ごめんなさい」
「早急に始末をしないと、本当にお前捨てるぞ?」
私、夢川緩涼は、殺し屋の娘だ。お父様とお母様の殺し屋を継ぐ、娘。一応、私には兄と姉がいるが、その2人と一緒に殺し屋を継ぐことになる。
「怜と御霊は既に功績を修めているのに、何故お前は出来ない」
姉と兄が出来る人だから、私は基本比べられてきた。だって、私は不出来だから。いや、しっかり殺し屋の娘として任務を遂行したことはある。そして、達成させた経験もある。が、しかし。今回の任務に関しては、達成できない理由がある。だって・・・。
「とにかく、絶対にアイツを始末するように。今日の任務は、大犯罪者の捕獲・もしくは殺害だ。警察から許可は得ている。行ってこい」
「はい。わかりました」
そうして、私は任務を達成させるために、その目的地へ出掛けるのであった。
学園に入学したのも、それが理由。この学園内に、始末するべき対象がいて、今も生き続けているから。だから、この学園に入学したのだが・・・。かなり難しい話だった。お父様から聞かされた話によると、その人物は途徹もなく強いだとか。
「そんなの、今の私に出来るはずがない・・・」
だから、もう少し実力を高めないといけないんだけど・・・。
それから次の日のお昼、俺が屋上でのんびりしていると、
「あ、大和さん」
「たまたまみたいな反応をしているが・・・どうせ必然だったんだろ?」
「バレちゃいました?狙ってきました。それで・・・また煙草ですか?」
「別になんだっていいだろ。お前には関係ない」
「関係・・・なくはないですけど、お体に悪いって言いましたよね?」
「俺が死のうがお前には関係ないだろ?・・・だったら、なんでもいいだろ」
「なんでもよくはないです!だって、貴方は私の友達ですから」
「それは一方的なもんだ。俺は、お前を友達だとは思っていない」
「そんな。酷いですよ」
「んで、用はなんなんだよ」
「えっと。特にそれといった用はないんですが・・・。Fクラスはどうですか?」
「なんだ?嘲笑いに来たのか?」
「そんなつもりは一切ないです!!ただ、気になっただけで・・・」
「・・・。別に。普通だよ」
「また、同じクラスになりたいです」
「なんだ。あれだけ友達という存在に固執していたくせに、友達が出来なかったのか?」
「い、いや。友達はいるんですけど・・・。私の実力が低すぎて。やっぱりNクラスの中では最弱なんですよ」
「でも、Fクラスの俺よりかは実力が高いわけだからな」
「本当にそうですかねぇ・・・」
そう言われて、一瞬ビクッとしてしまった。
「なんか、風格と言うんでしょうか。オーラや、その傲慢さが最弱には見えないんですよね」
「はっ。どの口が言ってんだ。お前は、最強か何かか?」
「いや、そう言ったわけではないですけど・・・」
「だったら、節穴だろう。まだ、AクラスやSクラスの生徒が言うなら分かる。が、所詮お前はNクラスだろ?だったら、考えすぎだ。俺は正真正銘、最弱だ」
「ふーん。そうですか」
一瞬バレそうになってしまったが、まぁ。なんとかなったみたいだろう。なんで、急にこいつは鋭くなったんだろうなぁ・・・。




