試験
そんなこんなで、時は進み、俺はあっさりと実力主義の学園の入学試験に合格した。・・・ちなみに、この学園にはクラス分けがあるそうなのだが、そんな中で俺は、
「案外、こっちの方が格好よくないか?」
俺は、学園の中でも最底辺のクラスに入学した。別に、弱者をいじめるため・・・とかじゃない。まず、俺の実力はバレてはいけないのだ。そりゃあそうだろう。まず、この世界に神はいないこととされているのだ。神を信じるものは腐るほどいる。・・・そんな存在が、バレてしまった時には・・・どうなるか、流石に分かるだろう?そして、俺と言う人間は有名なんかじゃない。そんな名も知られていない人間が、いきなり最上級クラスに行ったら疑われるに違いない。
「今日から、お前達のクラスを担当する教師だ。・・・お前達でも、流石に立場は分かっているんだよな?」
俺が所属しているクラスは、学園の中でも最底辺のクラス、Fクラスだ。なんで、Fなのかは、俺にも分からない。・・・と、いうか。こう言った戦闘系の学園ものの漫画だったりすると、最弱クラスがFクラスだったりするが・・・なんでFクラスにするんだろう?ゲームで言ったら、ほとんど最底辺のランクはGだと思うのだが・・・。
「ま、なんでもいいか」
そんな細かいことはどうだっていい。俺がこの学園に入学したからには、俺の目的を達成させるばかりだ。
そんなこんなで、本格的な授業が始まるまでは自由時間とされた。俺は、その自由時間の中で少しだけ動くことにした。
「はぁー。やっぱり、あの頃に比べて、身体能力が劣っているな」
異能力を封印したということもあってか、従来の身体能力は失われていたのだ。俺の、今の実力を見ると、大体Cクラスくらいだろうか。・・・ちなみに、この学園の入学数は多かったりもする。理由は、ほとんどが報酬だろう。その、報酬と言うものが、
「卒業をしたら遊んで暮らせる程度の莫大な金銭・・・か」
ほとんどの人間がそう言ったものに目が眩んだのだろう。どの世界に行っても、『お金』の価値は共通だった。どの世界に行っても、人間はお金が全て。というのだ。別に、それが全てではない。
「とりあえず、恥じらいないくらいには鍛えておくか」
これも、また別の世界では良い経験となるだろう。あの頃は、自分が転生者だとは思いもしなかったが、その事実に気づいた今、俺は・・・。
それから普通の授業も始まって行ったわけだが・・・ある日突然、俺のクラスを担当する教師がこんなことを言い出した。
「1週間後、試験を始める」
あの世界でも、聞き慣れたその言葉。そう、試験だ。・・・曰く、
「このクラス、Fクラスの最強を決める試験を行う。内容は簡単だ。とある島で、お前達は1週間生き延びてもらう。ただ、ただただ生き延びるだけじゃない。これ。これを、試験当日はお前達に付けてもらう」
そうして教師が見せびらかしたのは、とあるバッジだった。
「これを、一人一個身に付けてもらう。そして、これがこの試験の合格条件だ。このバッジを、20個集めると、晴れて合格というわけだ。逆に、20個集められなかった者は退学・・・とまでは行かないが、評価が下がることとなる。それで、このバッジを取るためには、人から奪っても構わない。・・・が、しかし。絶対に、殺しは行わないように。もし、生徒を殺害した場合、その場合は問答無用で退学とさせてもらう」
とのことだ。なるほど。やっぱり、実力主義の学園ということもあってか、生徒に実力を確かめさせるというわけか。しっかし、どうしようか。俺は、本気が出せない。もし、このFクラスに俺を越えるような存在がいたら・・・
「いや、殺されないように鍛えるだけか」
そもそも、殺しはなしなのか。だったら、大丈夫だろう。・・・・・・と、そのときの俺は、油断をしていたのだ。
時は一瞬にして過ぎ去り、試験当日がやってきていた。
「ルールは先週伝えた通り。殺しだけ行わなければ、退学されることはない」
と教師が言うと、同時に開始の宣言が為された。
「いやいや、少しくらい猶予をくれよ」
突然の出来事だったが、この好機を逃さなかった生徒が、次々にバッジを奪い合った。
「・・・ふぅ。とりあえず、ここまで来れば問題はないか」
安定思考の俺は、とりあえず拠点になりそうな場所を探し当てた。なんとか、夜も安心して越せそうな洞窟を見つけた。あとは、
「食料か」
1週間ここで暮らす・・・というわけだから、生活するために最低限必要となってくる食料は存在するんだろう。しかし、Fクラスはこれだけ人数が多いと言うのに、食料が足りるのだろうか?実は、Fクラスだけで生徒数が1000人を越えるほどには存在する。
「とりあえず、集めに行くか」
誰かに奪われる前に、乱獲しておいた方がいいだろう。そうして俺は、食料を探しに行くのであった。
意外と、食料になりそうな動物は、数多く存在した。川には川魚がいて、陸には豚や鶏、それ以外のタンパク質となる動物や昆虫が数多く存在した。流石に牛は、見当たらなかった。まぁ、1匹用意するだけでも中々な費用がかかるからな。
「これくらいあったら充分か」
割と良い量の食料を集めることが出来た。バッジは・・・
「またいつかでいいか」
別に、そう焦ることはない。一旦、生活に意識を向けた方がいいだろう・・・と、俺はそう思うのだった。




