差
俺だって、流石に混乱せざるを得なかった。だって・・・
「何故、生きている・・・」
「そのセリフ、聞くの2回目ですね。あはは!!思った通りの反応してくれて良かった!!」
そりゃするだろ。だって、確かにさっき、俺は自らの手で、お前を殺したんだぞ?だってのに・・・。何故、お前は生きている。
「どういう種仕掛けをした」
「それを貴方に言うつもりはないよ。だって、私と貴方は敵なんですもん。そんな敵に、わざわざ種明かしをすると思いますか?流石に、私もそんな馬鹿ではありませんよ」
「それじゃあ、あの飛来した”何か”は何なんだ」
「それも、教えるつもりはありません。だけど、おそらく・・・誰も正体に気づくことは出来ませんでしょうね」
この瞬間、俺は少しだけ悟った。こいつは・・・只者ではないこと。少しでも『負け』という言葉が、頭の中に浮かんできてしまったこと。
「さぁ、どうしますか?第二回戦・・・という展開も面白そうですが、貴方が望むなら逃がしてあげてもいいですよ?」
「・・・お前は、さっき殺されて悔しくないのか?」
「悔しく・・・はありますね。これでも、仲良くしていたつもりなんですけどね・・・。まさか、なんの躊躇いもなく殺されるとはね。でも、いいです。私は、私の意見より貴方の意見を尊重したいです。貴方が戦うと言うのなら、先程よりも協力な力で貴方と戦いますし、このまま逃げると言うのなら、私はその意見をそのまま受け入れます」
「・・・」
表情は、何一つ変わっていない。しかし、俺には伝わってきた。こいつは、俺に逃げてほしいのだろう。
「お前は、俺に情が湧いていたんだな」
「どうしたんですか?いきなり。私を殺したことに・・・今更後悔しているんですか?」
「そうではない。・・・が。そうか。そういうことか・・・」
「はて?どういうことですか?」
全く分からないと言った様子で、そいつは小首を傾げる。俺は、答えを絞り出した。
「よく分からないですが・・・どうやら、決意が固まったようですね。それでは、貴方から動き出してください」
「・・・あぁ。分かったよ」
俺は、結論を出した。これから俺がする行動も、あの、突然進路を変えて俺に飛来してきた”何か”も。
「・・・っ!!なるほど。貴方は、その選択を取ったんですね・・・!!」
刹那、俺はさっきよりも速いスピードで彼女の方へ向かった。まだ、動体視力は発達していないからか、相変わらず俺の速度に対応は出来ていなかった。・・・しかし、
「言いましたよね。私と貴方の差が開いていたのは、先程までだったって・・・。貴方こそ、私を侮りすぎなんじゃないですか?」
だろうなと、思ってたよ・・・!!その瞬間、俺は構えていたナイフを、突然やめた。
「どうしたんですか?私だって、容赦はしませんからね・・・?」
あぁ。分かっているよ。だから、俺は攻撃する姿勢をやめたんだよ・・・!!そうして、その瞬間、俺の予想通り、そいつからは考えられないスピードで拳が振るわれたから、俺はそいつが予想もしていない方向へと進路を変える。
「・・・え?」
攻撃が当たると思っていたそいつは、明らかに動揺していた。だって、そこには無叶大和の姿はないから。そして、そいつに出来たその一瞬の隙を、俺は見逃さなかった。
「っ・・・!!」
俺が拳をそいつに当てると、そいつは数十メートル吹き飛ばされた。何度か、地面に体を激突させて、そしてようやく木に激突したことによって、その勢いは止められた。
「な・・・なんで。あの攻撃を避けれたんですか?」
「そんなの、簡単な話だろ」
「・・・ははっ。やっぱり、貴方はおかしいです。何もかもが、不明です」
「そりゃ、さっきまで俺もお前が不明だったさ」
「まさか、私の攻撃を予測されていたなんて・・・。貴方、本当にFクラスの実力なんですか?」
「・・・俺は、正真正銘、Fクラスだ」
少し、その少女の質問に、体が動いてしまいそうになるが、その動揺を俺は隠す。
「まだ、動けるのか?」
「はい。そりゃもちろん。これでも・・・ちゃんと鍛えているんですからね?」
たしかに、傷はそこまでついていなかった。しかし、それにも理由があるのだろう。
「ふぅ・・・。痛い痛い。どれだけ強く攻撃しているんですか・・・」
「さぁな。これは本気の勝負だからな」
俺は、すぐに構えの姿勢を取る。
「油断も隙もないですね」
「そりゃそうだろ。隙を与えてしまったら、その隙を突かれてしまうからな」
「・・・ですね」
さて、そろそろ時間が来た頃合いだろう。
「なぁ。お前は、俺の名前を知っているよな?」
「はい。無叶大和・・・さんですよね?」
「あぁ。その通りだ。そう言えば、俺はお前の名前を聞いていなかったな」
「あれ、言ってませんでしたっけ?」
「あぁ。聞かせてくれよ。お前の名前は、なんて言うんだ?」
「私の名前は・・・希空と言います」
「ほう。・・・そんな希空に質問だ」
「はい。なんでしょう」
そうして、俺はその言葉を言い放った。
「お前、人間じゃねぇだろ」




