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追及者 1
「さあな。また新たな魔法使いが生まれたのだろう」
「他人事か。お前もイカゴに遠征に行った身だろう」
「だとすれば、こうして生きてはないさ」
「どういうことだ?」
「あの時、イカゴに攻め入った国の兵士はユハを除き、全滅している。一般的に国にも知れ渡っている事実だと思うが」
「なんだって?それならどうして、殲滅したと言うことができるのだ?」
「ともかく、そこにいた黒魔法使い関係の当座の厄介事はカタがついた、ということだ。取りこぼしくらいはあるだろう」
「国民に心配を与えないための嘘かもしれんな。それに第一、どうしてお前はそこにいなかったんだ?」
「俺は直前の任務で怪我を負っていた。少し無茶をしてな。だから、副兵長にイカゴには行ってもらった。悔やんでも悔やみきれない」
「攻め入った時の兵力はどのようなものであったのだ?」
「主な戦力は執事を除く白魔法使い、副兵長、後は兵が付いていったくらいだ」
「それが全滅か。私たちの先人も命を落としたのだな」
「ああ、それだけの化け物があの島にいたのだろう」
「一体、どうやってそんなものを葬ることができたのだろうな」