恋愛マンガの世界に生まれたかった
私には分からない。
恋というものが、他の人の語るような儚くて美しいものなのか。知ることができなかった。
どうしても、どうしても知りたかった。だから高校生の今でも、私は恋をもとめているのだった。
そして鈴野春花は重度の恋愛マンガ脳になってしまった。思ってた方向に向かっていないような気が、するような。
先生に頼まれたプリントを職員室に持って行く間そんなことを考えていた。
「鈴野サンキューな!!」
イケメンの先生に声をかけられたら普通の女の子なら嬉しくなってしまうだろう。私もその仲間であるが、大抵少女マンガでは結ばれるもの同士、初めは険悪であるものなのだ。クールに対応するんだ春花!!
「えっあっそのえっとは、はい。あの、、うん。」
しまった。秒で撃沈。
クールなんて無理なのでは?だってイケメンすぎるんだもん。
表情筋をピクピクさせながら返事をしたからだろう、その先生は少し困った顔をして
「なんか俺怒るようなことしちゃったのかな、、、」
と小さく呟き、職員室に消えた。
多分嫌われた。
「あはっ。ちょ面白すぎんだけどw」
この声は、、、蒼真!!
幼なじみの蒼真。幼なじみって恋愛ポジションいいのになぁ。流石にこいつとは結ばれたくないっ。結構顔が整ってるのも腹立つ。
「今、笑ったでしょ?!」
「春花?!」
お前、なのかよ。ったく。とぼやきムッとした顔をし「お前も結局イケメンなんだな。」
と去っていった。全くあいつ、何なの。どーせ私は面食いですよぉ。
「ほっといてよ。もう。」
全然人の気持ちが分からないから恋ができないのかもしれない、と少し気分が落ちた。
気分が良くない時は少女マンガを読もう!!静かな四回の階段に座りマンガを取り出す。ここはお気に入り。だって誰にも会わないんだもん。ふふっ。
と思っていたのに。私は、私は!!なんてバカなんだ!!こんなに人が少ない場所はもちろん告白の場に使われてしまうわけで、、、
「ずっと気になってました。好きです。付き合って下さい。」
「あ、あぁうん。気持ちは嬉しいんだけどね?僕つきあってる人いるのー。ごめんなさい。」
「そうなんだ、、、。誰とつき合ってるの?」「えー。四階の階段で君よりも先に約束してた人、かな。待たせちゃってるかもしれないから、もう行ってもいいかな。」
????????????????????????
私しか四階の階段にいないよ、、?
「うん。分かった。じゃあね。」
「じゃあねー。ほんとごめん。」
ううんいいよ。と女の子が階段を降りていく。切ないな。これが恋っていうものなのか、、、。
「さて。四階の階段にこれで誰かいたら笑っちゃうよね。」やばい。階段を登ってくる!!どうしよう。
少女マンガで顔を隠すしかない。それで階段をかけおりよう。頑張って耐えるのよ。春花!!私は相当なアホだ。だって前が見えない状態で階段を走って降りれる能力なんて、私にはなかったから。
「「うわあああああああああ」」
しっかりと階段を登ってくる彼にぶつかってしまった。頭がガンガンして痛いよ。うぅ。
「痛った。何。」
「本当にすみませんんんん。」立ち上がってすぐに走ろうとするが、手首を掴まれる。
「ねえ。」
恐怖で顔がまともに見れない。
「俺と付き合ってよ。」
「はい。え?!今なんと、、、?」
「だぁかぁらぁ。俺とつき合って。」
恋愛マンガかよ!!