第9話~何処かの土地に飛ばされた
光に包まれ、光が収まった時には師匠の目の前ではなく、見知らぬ土地が目に入った。
「はぁ・・・師匠は勝手だもんなぁ、しかもどこに飛ぶかもわからないなんて頭おかしいんじゃないかな?」
1人師匠に対しての愚痴を零すけど、それで何かが変わるわけでもなし、いたずらに時間が経つだけだった。
周囲には見たことのない細長い木や、普通の草木が生えていた。
僕が飛ばされた場所は森の中だったというわけか。
人影や建物もなく魔物もいない・・・いや、何かいてる。
グルルルルゥゥゥ・・・!!
木の影からのそりと、鋭い牙と爪をもった大きな熊が出てきた。
ただのクマではない事は1目見ただけでわかる。
「熊の捌き方は教えてもらってるし、倒して食べよ!?危な!」
ガキィッ!!っと飛びかかってきた熊の爪と牙を何とか刀で防御して防ぐ。
ガァッ!!予想以上に押し込む力が強い、僕の首筋を噛みちぎろうとしてかている!
「怖いなぁ、だけどこの程度じゃ僕を食べる事は出来ないよ!」
防御してあった刀の鞘だけをその場に残し、抜いた刀の勢いを利用して熊の胴体を斬り捨てる。
「おぉ!?凄く綺麗に切れた。この刀切れ味良すぎだよ」
そのまま刀を上に掲げて見ると、煌びやかに光る刀身が目に入った。
それもそのはず、この刀はゼファーがラウの為に1から全て作り上げた最高傑作。
ラウの身長に合うように作った長刀。これの切れ味が悪いわけがなかった。
だがラウはこれがゼファーの手作りだとは知らない・・・
そんな凄い刀だとは思っていないラウは今、真っ二つに切れた熊を見下ろしながらどうやって食べるかを考えていた。
「よし丁寧に皮を剥いで、それから肉を焼いて食べよう!皮はどこか街や集落に着いた時にお金にできるからね」
そうと決まれば後は早かったのだが、いざ皮を剥ぎ取ろうとした時木々の間から人が現れた。
ラウ・カーウィン=武器・長刀、持ち物無し