第3話~絶望
皆が職業を貰ったあの日、僕だけが貰えなかった日でもあるあの日から、僕の周囲の環境は大きく変わってしまった・・・
いつも仲良く遊んだりしていた同じ孤児院の子供達と遊ぶことがなくなった。
皆僕を避けるようになったんだ。原因は職業が貰えなかったからと、大人達が無能と呼ぶからだと思う。ここら辺に住んでる人達は僕の事を皆知っているから・・・
それとガイルが今までよりも頻繁に孤児院に現れるようになった。
来たらずっとエリス付きまとってるようで、よく一緒にいてる僕の悪口をずっと言ってくる。
あれ以来皆、自分の職業にあった事をしていた。
剣士なら剣で素振り、手に馴染む武器を持って遊んだり訓練したりしているのだけど、その中に僕は交じる事が出来ないでいた。あぁもちろん真剣じゃなく木剣だ。
ある日離れた所でその光景を見ていると、ガイルとその取り巻き連中がやってきた。
「ラウ!お前1人横で見てるだけじゃつまらないだろう、俺様がお前の相手してやるから感謝しろよ!」
唐突に押し付けがましい事を言いながら、木剣を構えてこっちに近づいてくるガイル。
「僕はいいよ、職業も何もないんだし・・・そもそも剣聖のガイルと戦っても怪我するだけだよ」
だけど僕が言っても無駄だった。こうしてガイルがエリスのいない時に来るのは、僕を痛めつけるために来てるからだ。
「ふん、お前の意見なんて聞いていない。俺様がやると言ったらやるんだよ、お前は黙って耐えていればいいんだ!」
「痛い!!・・・うぅ」
持っていた木剣で殴りかかってくるガイル。僕は体を丸めて、飽きて帰ってくれるのを耐えるしかない。
「オラオラどうした!丸くなってるだけじゃ誰も倒せないぞ!おいゴリアテ、お前もコイツで訓練してもいいぞ!」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
取り巻きも参加してきた。
普段なら見てるだけで殴って来ることはないのに!
より一層激しくなってきた暴力を歯を食いしばって耐えていく。
空が少し暗くなってきた位で暴力が止まり、ガイル達はようやく帰っていった。
「うぅ・・・体中痛い、ぼろぼろだよ」
僕は何とか立ち上がり、孤児院へと戻ろうとしたけど目が霞む・・・体もマトモに動かない状態だ。
それでもゆっくり、少しずつ休憩しながら歩き続ける・・・その道が帰り道かどうかもわからずに・・・
「はぁ、はぁ、水の流れる音が聞こえる。どうして?」
ここで僕は帰り道が少し間違ってることに気付いた。
今ラウが立っている橋の下は川になっており、帰る時に橋は通らないのだ。
「戻らないと・・・あぁ!?」
橋の手すりに掴まろうとしたけど、目がまともに見えていなかったから掴みそこねて下に落ちてしまった!
ふらついていたから踏ん張る事も出来なかったのだ。
ドボンッ!!
(あぁこのまま死んじゃうのかな・・・けどもぅいいかな)
僕はもう生きることを諦めてしまっていた。
意識がだんだん遠くなっていき、ついにラウは意識を失ってしまったのだった・・・
これでプロローグは終わりです!
まぁ次の話から主人公の運命が大きく変わっていくことになります!