第2話~職業「」
まだ序章的な感じです!
後1~2話位で物語が大きく動きます!
「そんな!職業が無いなんてどういう事ですか!?」
神官の言葉に思わず声を荒らげてしまう。
職業というのは誰に対しても平等に与えられる物というのが一般常識だからだ。
「水晶にお主の職業が出るはずなのだが、「」で何も書かれておらんのじゃ・・・こんなのは初めてでのぅ」
「そんな・・・」
「次がおるからどいてくれるか?」
僕はよろよろとその場を後にし、エリスの元へと戻ろうと歩き出す・・・だけどそれを遮るように前に出てくる人影が1つ。
「ハッハッハ!まさか職業無しとは笑わせてくれる!お前はこれから特技も何もなく無能で哀れな人生になるみたいだな!」
ガイルが僕を罵る、だけどその言葉に反論することはできずに黙って耐えるしかなかった。
「ちょっと!ラウ君をいじめないでよ!」
そこでエリスが目の前で僕を庇うように立つ。
だけど、それが余計に惨めに思えてしまう・・・
「エリスじゃないか、こんな無能は放っておいて俺様の元にこい!職業弓聖なら剣聖とも引けをとらないからな!」
ふざけた事を言っているけど・・・僕はもう冒険者にはなれないから、一緒にエリスと冒険者になる約束は守れそうになかった。
だからエリスがガイルの元に行くのは仕方ない事なんだけど・・・
「べーっだ!あんたの元になんか行くもんか!行こラウ君」
「なっ!?」
エリスが僕の手を取りその場から離れるように歩き出してくれた。
後ろでわーわーと叫んでいるけど、そんな事は気にしない。
そのまま孤児院の前まで戻ってきて、そこでようやく手が離れた。
「エリス、ごめんね・・・約束守れそうにないや」
僕は泣きそうになりながら謝った。
「ん~ん、大丈夫!仕方ない、仕方ないよ・・・」
エリスも何故か泣きそうだった・・・
あまり良くない空気が漂ってきた時、孤児院の扉が開いて1人の老婆が出てきた。
「おやおや、もう儀式は終わったのかぃ。一体職業はどうなったのか教えてくれるかい?」
この老婆は孤児院の院長で僕たち孤児がお世話になってる人だ。
「私は弓聖だったよ!だけど・・・」
「最上級職じゃないかい、親に似たのかねぇ・・・それでラウはなんだい?」
そりゃ僕も答えないとダメだよな、答えたくないけど逃げていても直ぐに分かることだよね…
「僕は職業貰えなかった・・・」
「なんと!?そんなことが有り得るのか!?」
普段ここまで驚かないのに、職業を貰えないというのはそれほどの出来事らしい・・・
「・・・とりあえず2人とも疲れたじゃろう、少し休憩してくるといい」
疲れていたから僕達は孤児院の中に入り一眠りすることにした。
僕はこれからどうやって過ごすか不安でしかないよ・・・
職業1つでエラい大騒ぎ、だけどこの世界はそういう世界で~す。
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