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南へ

 宴の後。

 皆が騒ぎ疲れて道端で眠りこけていた時。

 レイヴンは、一人で屋根の上で星を眺めていた。


 夜が明けたらクレアはユキノ達と共に中央にいるリヴェリアの元へ行かせなければならない。

 いや、“ならない”と言うのはレイヴンの勝手な都合に過ぎない。



 今回の件で思い知らされた。

 力だけでは、守りたいという想いだけではダメだ。マクスヴェルトが張った結界を潜り抜けてくる連中がいる。

 もしもまた、クレアが狙われるような事があるのだとしたら?

 他の孤児院にいる子供達に危険が及ぶ様なことが起こり得るのだとしたら?


 クレアを連れたまま旅を続けるのは難しいと思う。



 クレアを連れた旅はまだ始まったばかりだ。けれど、リヴェリアの言った意味が少しだけ理解出来た気がする。

 クレアを連れ去られた時。レイヴンの中にはかつてない程の怒りの感情があった。それは自分自身の不甲斐無さではあったけれど、きっかけはクレアだった。

 誰かの為に怒れる感情が、自分の中にもまだあるのだと。その事に気付かされたのだ。


「少し、良いだろうか?」


 屋根の上に上がって来たのはゲイルだ。

 人間に戻ったばかりだと言うのに、言葉も体の動きにも適応している様だ。


 魔物堕ちした対象によって回復の度合いが違うのだろう。

 やはり、クレアの様な子供よりも、鍛えられたゲイルの方が肉体、精神共に安定しやすいのかもしれない。


「何の用だ?」


「命を救ってもらった礼をまだしていない。中央とやらに行き、情報の提供をすることは吝かでは無い。それが帝国を、皇帝陛下をお救いする近道であるならな。しかし、私はレイヴン個人に対しても礼がしたいのだ」


「礼なら既に言っていただろう。あれで充分だ」


「そういう訳にはいかない。命を救ってもらったのだ。私で力になれる事があるのなら何でも言って欲しい」


「……」


 このゲイルという男もまた、レイヴンとは違う意味で随分と不器用な人間らしい。


「私は皇帝陛下に絶対の忠誠を誓っている。どんな状況になったとしてもそれだけは変わらない。本当なら直ぐにでも帝国へ戻るべきだ。しかし、受けた恩を返さねば、皇帝陛下に仕える騎士として恥だ。何もしないままでは私の気が収まらない。本当に何でも言ってくれて構わない。レイヴン、後生だ。私に恥をかかせないでくれ」


 どうしてそこまで一人の人間の為に尽くせるのだろう。

 レイヴンがリアーナやクレアに対して抱く感情とは明らかに違う感情だ。


「なら、一つだけーーーーーー」


 意外な頼みにゲイルは動揺した様子だったが、引き受けると約束した。

 期間はレイヴンが戻って来るまで。

 それが半年なのか一年なのか、或いはもっとかかるのかは分からない。


「ーーー分かった。私が責任を持って引き受ける。必ず成し遂げてみせると約束しよう」


「ああ、頼んだ。それでお前の恩返しとやらはチャラだ。何か問題があればミーシャに言付けてくれれば良い」


「ミーシャ、あの少女か」


「そうだ。それと、帝国については俺も力を貸そう。あのトラヴィスとかいう男は危険だ。放っておくと厄介そうだ」


 ゲイルにはレイヴンの言葉が本心であると直ぐに分かった。

 トラヴィスの異常性は帝国内でも度々問題になる事がある。だが、それを表立って口にする者も、ましてや行動に移そうとする者も殆どいなかった。

 レイヴンほどの強者が力を貸してくれると言うのなら、これ以上に心強い事は無い。


「奴が帝国に現れてから、陛下は変わってしまわれた。しかし、原因が分からないのだ。あのお方は強い。トラヴィスがいくら強くとも、簡単にやられるような方では無いのだ……!」


 魔眼だ。皇帝陛下とやらが変わってしまった理由はおそらく、トラヴィスの持つ魔眼の支配を受けているからだろう。あの力は危険だ。無意識のうちに思考を書き換えられてしまう。


「その辺りの事は俺が調べる。どちらにせよ、今のお前ではトラヴィスには勝てない。先ずはその新しい体に慣れる事だ」


「感謝する。だが、何故そこまで……?」


「俺の目的の為だ。それに、見てみたい」


「見る?」


「お前がそこまで忠義を尽くそうとする皇帝陛下とやらの治める国をだ。俺には国という物はいまいちよく分からないが、この腐りきった世界が少しはマシになるのなら手を貸しても良いと思った。それだけだ」


「後悔はさせない。皇帝陛下は本来、人間も魔物混じりも平等であるべしとの理想を掲げて立ち上がったお方だ。きっと良い世になる」


「そうか……」


 正直、国がどうのという話には興味が無い。

 ただ、ゲイルの信じる皇帝が、この腐りきった世界に疑問を持っているなら。それを正せる力があるのなら……。この世界も少しはマシになれるのではないかと思うのだ。





 夜が明け、ユキノ達が中央へ戻る朝が来た。

 ランスロットも一度ちゃんとした治療を受ける為に中央へ戻るそうだ。

 皆が出発の準備をしている最中、レイヴンはクレアを森の中にある拓けた空き地に連れて来た。


(結局のところ、俺はクレアに何もしてやることが出来なかったし、リヴェリアの元へ預ける言い訳も何も思いつかなかった)


 考えれば考える程に、答えが見えなくなる。

 レイヴン自身、クレアと共に旅を続けたい気持ちがある。


 一人でも生きていける力を身に付けさせてやりたい。

 その気持ちは確かにあるのだ。


 けれど、それは今直ぐには無理だ。レイヴン達が知っている世界が、世界の全てでは無いと知った今、何が起こるか分からない旅にクレアを連れて行く事は出来ない。


(だからせめて、俺は俺なりのやり方で別れを告げる)



「レイヴン、待ってー!」


 無邪気に笑うクレアを見るのは、これが最後という訳じゃ無い。

 また会える。

 そうしたらまた、一緒にミートボールパスタを食べよう……。


「クレア。これを……」


「……これは?」


 クレアに渡したのはガザフから貰った剣。

 虹鉱石から作られた特別な魔剣だ。

 使用者の魔力に反応して強度や斬れ味を増す事が出来る。クレアに渡すのはまだ早いと思って、宿に置いたままにしていた。


「その剣を使って今から俺と戦え」


「……」


 クレアは剣を握りしめ、レイヴンの目を見つめていた。


 レイヴンと同じ赤い目。

 その輝きが僅かに揺れているのが分かる。


「やっ! 絶対やだ!」


 何かを感じ取ったのだろうか?

 クレアは駄々をこねてレイヴンから遠ざかった。


 この機会を逃したら、クレアに戦い方を教えてやれない。

 暫く会う事は出来ないかもしれないのだ。


 レイヴンは嫌がって首を振るクレアには構わず剣を抜き放った。


 クレアは見ただけで相手の動きや技を覚えて使う事が出来る。中央で戦い方を覚える前に、せめてレイヴンの戦い方を覚えさせてやるつもりなのだ。

 本当ならきちんとした師に型から教えて貰う方が良い。魔物とばかり戦っていた剣を教えたくは無い。

 

(それでも俺は今、クレアに俺の剣を()()()()()()()()と思っている)


 これはレイヴンの我儘だ。


 レイヴンは体を低く沈めてクレアに構えを見せる。

 腕はだらりと下げ、剣は地面に触れるか否かの位置を保つ。


 クレアの体がびくりと震える。

 首を横に振って戦いたく無いと言っているのだろう。


「クレア。剣を抜いて構えろ」


「や!!!」


 軽く踏み込みクレアの持つ剣の鞘を斬りつける。


「きゃあっ!!!」


 後ろへ転んだクレアが蹲り泣き始めても、レイヴンは追撃を止め無かった。

 必死に鞘に納まったままの剣を握りしめて耐えるクレアに容赦なく剣を振り下ろす。


「戦え!」


「嫌だ! レイヴンどっか行っちゃうもん! 絶対に嫌!」


「ッ!!!」


 再び鞘を斬りつけクレアの小さな体が宙を舞う。

 大きく吹き飛ばされたクレアが地面を転がっていき、服が所々破れてあちこち擦りむいているのが分かる。

 よろよろと起き上がるクレアは剣を投げ捨てた。


「レイヴンとは戦いたくない! まだ沢山教えて欲しい事があるのに! どうして⁈ どうしてこんな事するの⁈ 」


「……」


 やはりクレアは勘付いていた様だ。

 けれど、もう決めた事だ。


 酷い事をしているのは十分分かっている。


「これから先の旅に弱い奴を連れて行く事は出来ない。だから戦えない奴は置いて行く」


「……よ、弱く無いもん! ちゃんと戦えるもん! だから置いていかないでレイヴン!!!」


「戦う事も出来ずに震えているような奴に何が出来る? お前は、邪魔だ」


「あぅ……そ、そんな事無い!」


 クレアは剣を拾い、レイヴンと同じ構えを取ってみせた。


「ちゃんと戦えるもん……。戦ったら置いていったりしない?」


「さあな。言ったろ? 弱い奴は……邪魔だ!」


「そ、そんな事無い!!! 私は強いもん! レイヴンと一緒にいられるくらい強いもん!」


 クレアが一足飛びに俺の間合いまで飛び込んで来る。

 その動きは速く、普通なら目で追う事も出来ずにクレアの姿を見失ってしまうだろう。

 だが、相手はレイヴンだ。

 真っ直ぐ突っ込んで来るだけの攻撃など目を瞑っていても避けられる。

 クレアが剣を抜ききる寸前、レイヴンはクレアに向かって一歩踏み出し、剣を叩きつけた。

 間合いを失ったクレアがバランスを崩して地面を転がっていく。


「どうした? 口だけか? 真っ直ぐ突っ込んで来るだけの敵なら、此方が更に一歩前へ踏み込むだけで間合いを潰せる」


「ま、まだやれるもん!」


 再びクレアが突っ込んで来る。

 しかし、今度は先程よりもスピードが遅い。


 レイヴンは再びクレアが剣を抜く前に一歩踏み出した。


「もう覚えた!」


 クレアは剣を抜かないままレイヴンの放った剣を躱して横へと通り過ぎる。

 背後へと回り込んだクレアは片足を軸にして体を反転させると、遠心力を利用して剣を抜き放って一撃を繰り出した。


(良いぞ、悪くない)


 戦いとは常に変化する状況の中で行われる。

 冷静な判断力と順応性が生死を分ける。


「その程度か?」


 レイヴンはクレアの放った渾身の一撃を背中を向けたまま弾いた。

 魔物との戦いで四方を囲まれる事は多い。そうならない様に立ち回る事も重要だが、思い通りにいかないのが実戦というものだ。


 実戦で足を止めた者は死ぬ。

 魔物は待ってくれはしないのだ。


「一撃で倒せない敵なら手数を増やせ。速さに自信があるのなら相手を翻弄しろ。何度も手傷を与えて動きを止めろ!それでは駄目だ! ……そんな事も分からないようではやはり駄目だな」


「まだだもん!!!」


 今度は連撃。

 突進と離脱を繰り返しながら手数の多い攻撃を繰り出してくる。


(この動きはランスロットか……)


 この動きに対応出来る人間は殆どいないだろう。

 不規則で変則的。

 これだけの手数を繰り出していても、同じ剣筋は一つとして無い。


 感性に任せて放たれる剣撃は正しくランスロットのものだ。

 しかし、この攻撃には致命的な弱点がある。ランスロットの様に強靭な肉体とスタミナ、そして筋力が共わななければ、一撃が軽過ぎて魔物の硬い皮膚や外殻を貫けない。

 クレアの様に体が小さく筋力の無い者では使いこなせない技だ。


「何だその攻撃は? 連撃とはこうやるんだ!」


「……!!!」


 一見するとクレアが放った剣撃と同じに見える。けれど、この剣撃には仕掛けがしてある。

 それは、連撃の中にフェイントを混ぜるというものだ。

 いくつもの剣撃を放っている様で、致命の一撃になる剣撃は僅かしかない。目だけで追おうとしても無駄だ。フェイントに翻弄されて本命の剣撃に対応出来ないという訳だ。


「うう……!」


 必死に剣を追っているのだろう。

 闇雲に剣を振って防御しようとしている様だ。


「躱せないなら距離を取れ! 自分に有利な場所へ動け! お前の脚は飾りか? 話にならないな……」


 慌てて距離を取ろうとするクレアに対してレイヴンは追撃の手を緩めない。


「あう、うう……!」


「脚を止めるなと言っただろ! 相手をよく見て隙を探せ、無いなら作れ! こんな風に!」


 剣を振り続けるクレアに向かって更に一歩強く踏み出す。

 剣撃を潜り抜け、間合いの内側へと入り込む。

 

 そして……。


「うわああああ!!!」


 腹に拳の一撃を受けたクレアが吹き飛ばされた。

 だが、今度はどうにか踏み止まったようだ。


(それで良い……)


「覚えておけ。後ろへ退がる事だけが活路じゃない。前を向け。相手をよく見ろ。目を閉じた瞬間に待っているのは死だ」


「やあああああ!!!」


 剣を交える度、クレアの攻撃が鋭さを増していく。

 闇雲に放たれていた連撃も、フェイントを織り交ぜ放たれていた。

 どうやらもう会得したらしい。本当に大したものだ。

 今のクレアであればAランク程度の魔物なら苦も無く倒せるだろう。後は実戦と経験だ。それについては中央でも学ぶ事が出来るし、リヴェリア達が上手くやってくれる。


「少しはマシになって来た。だが、全然足りない。その程度では連れて行けない」


「まだやれる! 置いて行かないで!」


「……」


 このくらいだろう。

 もうクレアの体力も限界だ。重たい剣を振り続けた腕と、止まる事なく動き続けた脚は痙攣を起こしている。


 まだまだ教えてやりたい事が山の様にある。剣を交わす度、もっと伝えたい事が次から次へと溢れて来る。

 だが、もう時間が無い。そろそろ皆の準備も終わる頃だ。


「良くやった。それだけ動ければ低ランクの魔物程度なら遅れを取る事は無いだろう」


「……それじゃあ!」


「だが、駄目だ。お前はまだ本当の恐怖を知らない」


「……⁉︎ 」


ーーードクン!


 心臓の鼓動が森に響く。

 レイヴンは魔剣の力を解放して漆黒の鎧を纏ってクレアと向かい合った。


「あ、あ……」


 魔力が高まり、赤い魔力が黒い刀身を覆っていく。


 幼いクレアに向けるべき力では無い。

 殺気を少しだけ込め、ゆっくりとクレアに向かって歩いて行く。


 恐怖で震えるクレアの顔が強張っていくのが分かる。

 涙を溜め、それでも必死に剣を離さないように歯を食い縛っていた。


(クレア……暫くの辛抱だ。必ずお前を迎えに行く)


 もしかしたら、もう一緒に旅をしたいとは言わないかもしれない。

 それでも、良い。

 この経験がクレアの成長の糧になるのなら。

 強く生きていく力になってくれさえすれば良い。


 レイヴンは一気にクレアの前に移動すると魔剣を振り下ろした。


 今のクレアにこの動きは見えないだろう。

 反応すら出来ない攻撃。


 確実に死をもたらす一撃は、クレアの目の前でピタリと止まった。


 クレアはショックのあまり気を失ってしまった様だ。

 レイヴンは魔剣の力を解除して倒れ込むクレアを抱きしめてやった。


「良くやった。本当に良くやった……。こんなやり方しか出来なくてすまない……ごめんなクレア……」


 今の俺に教えてやれるのはここまでだ。

 後はクレア次第。


(また一緒にミートボールパスタを食べよう……)



「レイヴン」


「ああ、後は頼む……」


「任せてくれ。約束は必ず守る」


 木の陰から現れたゲイルにクレアを託す。



「ったく、不器用にも程があるぜ」


「ランスロット……それに皆も」


 ゲイルの後ろから現れたのはランスロット、ミーシャ、ユキノ、フィオナ、ガザフ、ライオネット、ガハルドの七名だ。


「レイヴンさん……本当に一人で行っちゃうんですか⁈ 」


「あれだけ戦えるんだ。連れて行ってやれないのかよ?」


「レイヴン、本当に良いの?」


「お嬢には私達からもお願いするから大丈夫だけど、クレアちゃんはきっと寂しがる……」


「そうですよ! 絶対にレイヴンさんを追いかけようとしますよ!」


「もう一度考え直してはどうですか? なんだったらレイヴンも一緒に中央へ戻っては?」


 皆の言っている事はよく分かるし、何度もその事は考えた。

 

(これはクレアの為ーーーーーいや、これは俺自身の為だ)


 クレアを狙う奴らの存在をどうにかしない限り一緒に旅は出来ない。


「一年だ。一年経ったら何が何でも迎えに来い。それまでに俺達がクレアを鍛えておいてやるぜ」


「ちょっと! ランスロットさん、何言い出すんですか⁈ 」


「落ち着けよ。ツバメちゃんならいつでもレイヴンの居場所は分かるんだ。お前が手紙を届けてやれば良いだろ」


「そ、そうですけど……」


「ランスロット、すまん」


「良いって事だ。それで? 何処へ行くつもりなんだ?」


「南だ。この魔剣を入手した場所へ向かう」


 レイヴンの言葉を聞いたランスロットとユキノ、フィオナ、ガザフの四人は、衝撃を受けたように固まってしまった。


「マジか……」


「ランスロットさん、どういう場所なのか知っているんですか?」


「どうもこうも……」


 レイヴンが魔剣を入手した場所は、Sランク以上の魔物しか生息していない危険な場所だ。道中に街はいくつかあるが、冒険者組合も無い。


「そう言えば、あの街の連中は湖の上にある街で生活してるって話を聞いた事があるな」


「強力な魔物が多過ぎて、中央も管理を放棄した場所よ。幸い、その地形のお陰で街は平和らしいけど、近付くのも困難な場所なのは確かね」


「そ、そんな場所が……」


「クレアを連れていては難しいか……」


「そう言う事だ」


 先ずは魔剣の事を調べ直してみる必要がある。

 クレアを襲った連中、そして魔眼を持つトラヴィスへの対抗策を考える必要もあるだろう。

 あの街でなら何か良い方法が見つかるかもしれない。


「俺はこのまま出発する。その……」


「何だよ?」


「クレアに……」


「ん? クレアに?」


「や、やっぱり何でもない……」


「何だそりゃ」


 “さよなら” は言わない。


「では、()()()()()


「おう。またな」


「ああ。またな」


 クレアが目を覚ます前に行くとしよう。

 この魔剣を手に入れた地。

 南の大地にある名も無き遺跡へ。



これにて第二章 西方騒乱 編は完結となります。

ここまで読んで下さいまして誠にありがとうございます。


次回から新章が始まります。

宜しくお願い致します。


次回の更新は8月11日を予定しています。

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