表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他人日記  作者: 糸島 凪
2/3

向かいのマンションの男

家に帰ってくると、ふと窓に目が止まる。実際は窓に注目しているのではなく、その先のマンションの光に吸い込まれるのだ。




何をしてるんだろう、あの男は。

向かいのマンションの窓に男の姿が映っていた。顔は分けるわけではないが、なんとなく服装はわかる。黒のパジャマに白の横線が一本だけ入ってる。

禿げては……いないっぽい?かな。


何をしているのだろう。

何かを畳んでる?布団だろうか?

いや、あのすごく重い力のかかった動きは布団じゃなさそう。

あれは…ダンボールか?




なぜダンボールを畳んでいるんだろう。

何かが届いた。だとすると、何が届いたのだろう。

小包じゃ無くてダンボールだというならば、例えばノートパソコンやダイエットマシーンなんかの中・大サイズの荷物が考えられるけど、窓の男はふとっているわけではない。


男は30代後半だ、今になって新しくパソコンを買うだろうか?壊れたから買い換えたとか……それならあり得る。

だが、今日は木曜日。仕事用だったら全くもって間に合ってなさそうだが、いきなり壊れたのか?


元々不調だったら、買い換え時を考えて先に新しいものを休日に届くようにすると思う。じゃあ、突然壊れたのか?


原因はなんだろう。例えば落として壊れた。ありそうだが、仕事用パソコンを生身のまま持ち運ぶだろうか。


ならば、水をぶっかけてしまった。コーヒーなんかを飲んでシエスタしていたところ、気を抜いてカップを倒してしまった。それなら合点が行くが、いい歳して、


おっちょこちょいだなぁ。



きっと昔からおっちょこちょいで、会社ではマヌケ係長とかって裏で呼ばれてるけど、なんだかんだで人望が厚いほっとけないおじさんなんだろうなぁ。


うーん、あったかいなぁ。

…うん?


いや、もしかして、ダンボールではない!?


ダンボールにしては妙に硬そうでそれでいて厚みがあると思ったが


まさか、あれは!

旅行用のキャリーバック(ベージュ色)!?


なんという色のチョイス、まさかのベージュ。だ、騙されたぞマヌケ係長…貴様、本当の姿は部下に仕事を押し付けて自分だけ、有休を消化している世渡りのうまい男なわけだな!?マヌケ係長の仮面をかぶったアクマ係長だなッ!?


くぅ〜、これからそのキャリーバックをひいてワイハにでも行くんだろう。それとも草津か?いや、京都観光なんていうのも……とにかくズルイ!


あれやこれやてんやわんや、旅行先は皆目見当がつかない。日本列島北端代表の北海道においでよ。


それはそうと、キャリーバックパンパンになるまで何詰め込んでるんだ?

そんなぎちぎちに詰め込んだら蝶番壊れるぞ、荷物を減らせ。

なぜ減らさない?


あ、もしかして、麻薬を…?


マヌケ係長の仮面をかぶったアクマ係長の有休消化の本当の目的は、海外に麻薬を運ぶこと。つまり、マヌケ係長の仮面をかぶったアクマ係長のふりをしたマフィア係長ということか……



ひえ、末恐ろしい。朝顔の種でも窓に投げつけておこう。




さてと、お風呂もわいたようだし、今日はマフィア係長のことは警察に通報せずに泳がせておこう。それじゃあ、明日は朝から釣りにでも行くか。それとも……ワイハにでも行くか?





続きではありませんがちょっとした小話。


実は向かいの部屋、借りているのはどうやら本当は女性の方のようでした。

ん〜、おかしいなぁw?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ