表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他人日記  作者: 糸島 凪
1/3

カフェで仕事する女

えー、少しばかり変態っぽい話です。

リアルな話なので変態性もリアルです。


江戸川 乱歩の人間椅子が読めるとか、スプラッター映画大丈夫、って方々には毛ほども変態には見えないでしょうが、変態性に注意して、気分が悪くなったら読むのを中断してください。



・変態っぽい


以上のことを踏まえて、お読みください。


今日はとあるカフェでティータイムと洒落込んでいる。都会っぽくて素敵だが、あんまりここの紅茶は好みでない。


斜め前に女性が座っていた。

彼女の座っているテーブルの上には飲みかけのレモンティーと何か持ち込んだようなお惣菜のプラスチックパックが置いてあった。


彼女はパソコンを開いている。

席を立った時も開きっぱなしだったから、きっとパソコンの中身が人目に触れることにあまり不安はないのだろう。


彼女の座った席横にスケッチブックが置かれていた。デザイン関係の仕事だろうか?確かにオシャレにも見える服装だったが、それがカフェの効果と言われればまぁそうかもしれない。


デザイン関係の仕事に就きながら、スケッチブックとノートパソコンの二刀流で仕事をこなす。素敵だ。




さっきから席を立って以来、まったく帰ってこないが大丈夫だろうか。あまり気にしてはいけないのだろうが、仕事用とみられるカバンが開きっぱなしだ。財布も入っているのに不用心な。ケータイも置きっぱなし、こういう人の家は絶対掃除されていないに違いない。


がさつで不用心、しかもやっと帰ってきたから顔を見たが髪の毛ボサボサ。

少しは身だしなみを整えなさいな、あぁもう、携帯ばっかりいじりおってからに!



おっほん。



彼女の年齢はいくらくらいなのだろうか。顔は直視できないが、なんとなく30歳以下に見える。パソコンのブラインドタッチがかなりうまい。画面から目を離しながらやってる。ということは、一本指打法で解決したがる新入社員、というわけではなさそうだ。



仕事はできる人だが、家事とかは苦手そうだ。服装には気を使っているようだが、髪がボサボサなのを見ると、結婚願望は仕事の二の次って感じだろうか。

そもそも、カフェで仕事するってなんなんだろう。どういう理由で?


やはり、家はいられないほど汚くて、それで静かで落ち着けるカフェに来たのか。


あぁ、そうそうここは禁煙席だからタバコは吸わないみたいだ。そこは私的評価が高い。決してタバコを吸ってる人が嫌いというわけではないが、健康第一が座標の名、じゃなくて辞表の名だから?

あれ?


続けよう、もしかしたら彼女は大手企業のスーパーエリート社員なのではないだろうか?しかし、方向性の変な貧乏性で

家を持っていないとか……


ん?今スケッチブックを開いたぞ!?




!!!?




な、何ィ!?

絵が一枚も書かれていないだと!?

こいつッ!デザイン関係の人間ではないッ!


ま、まさか…

私が浅はかだった……スケッチブック=デザイン関係なんて馬鹿正直に考えていた。よくよく考えてみたら、彼女は合理的に動いている。その合理性スケッチブックはただのノートにしか過ぎないのだ。断じて絵を描くとか、そんなことしない人間なんだッ!!


クソッ……

騙されるとこだった…


しかし、字がえげつないほど汚い。

ミミズが這ったところをさらに上からナメクジが這ったみたいな字だ。




うーん、パソコンは情報漏洩しないように黒いシートが貼られてて何をやっているかなんとなくでしかわからない。

でも、そのなんとなくというのはパワーポイントだと思う。いや、シルエットだけで断定するのは良くないが、今回はあれだ、そう仮定しよう。



彼女はきっと大手企業のスーパーサラリーウーマン。すごく合理的にものを考えて、一定以上の社交性を持った人間。しかし、物事に一度集中すると周りが見えなくなり、とても不用心になってしまう危なげな性格。そして、とてもガサツで結婚願望は若いこともありまだ薄め。そんなところだろう。



おっと、もうこんな時間だ。

今日のランチは諸事情で某上島カフェでだったが、ここのミルクティはガムシロを入れなくとも美味しかったな。また来よう。


さて、と彼女がどんな人かはわからなかったが、今日のところはこれにてランチタイムを終える。


商店街の雑踏に紛れるとひとの顔すら無意識的に認識しなくなるが、暇なひと時に私はこうして他人がどんな人生を送っているのかを勝手に妄想している。





誰1人個性のない人間がいないのが、とても面白いのだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ