まあ、いるよね…
2人はまだ高校生なので、この日はイルミネーションだけ見て帰ることになり、
真央は家の前まで戻ってきていた。
巴菜になんて言おうかな…
龍弥の彼女になったよ、それとも普通に付き合ったよ、うーん…どうしようかな。
ガチャリと家のドアを開けると、自分のものではないブーツが玄関にあった。
巴菜のブーツもちゃんとあるので、別の第三者のものということだ。
まさか…
「おかえり」
雅子が玄関までやってきて、真央の服装を見てニヤニヤしていた。
「ずいぶんかわいい格好しちゃって」
「こ、これは違うの!いろいろあって…」
「はいはい」
雅子は微笑みながらリビングに戻っていき、さらに、奥から博幸が顔を出して覗いていて、目が合った瞬間に顔を引っ込めていた。
あー…最悪だ…
クリスマスイブの日に、この姿を両親に見られるなんて…
階段を上がっていくと、雅子が「あ、そういえば香蓮ちゃんもきてるよ」と教えてきて、
やっぱりな、と思った。
それ以外に、あのブーツの持ち主は考えられなかった。
部屋のドアを開けると、香蓮も巴菜も自分の家のように
お菓子を食べながらくつろいでいる。
「あ、おかえりー」
2人がニヤニヤしている。
「ねえ、香蓮は佑太くんとデートだよね?なんでいるの?」
「もうバイバイしたから。巴菜が泊りにきてるのに来ないはずないじゃん」
ですよね、隣なんだし。
「それよりどうだったの?」
「そうだよ、どうだったの?」
巴菜が話したから、香蓮もすでに知っている。
まあ、どっちみち香蓮にも言わなきゃいけなかったからいいけど。
でも…せっかくだからもったいぶってやろう!
どうせ根掘り葉掘り聞かれるんだから。
真央は心の中でニヤリとしてから話し出した。
「会ってきたよ」
「その先を聞いてるの!」
「衣香と別れたって言ってた」
「別れたの?キャー、それでそれで?」
2人がメチャムチャ盛り上がっている。
予想通りの反応だ。
「イルミネーション見て、帰ってきた」
「え、それだけ?そんなはずないよね?」
さすがに無理があったかな…
だって、そのまま話すと次は付き合ったって話になっちゃうんだもん…さて、どうするかな。
考えていたら、先に香蓮が言い出した。
「イルミネーション見て終わりなんでしょ、もう面白くないからいいや」
「ちょっと香蓮、そんなはずないって」
巴菜は聞きたくて必死になっているのに、香蓮は興味なさげな態度に変わっていた。
「どうせ2人は進展ないんだから。それよりテレビでも見ようよ」
香蓮がリモコンを探し始める。
あれ、香蓮…これで終わっちゃうと話しづらくなるんだけど…
すると、巴菜も「そうだね、どうせ何もなかったんだろうからいいか」と言い出していた。
巴菜まで…おーい、まだ続きあるんだよ…
そんな真央の気持ちも知らずに、香蓮と巴菜はテレビを見て笑っていた。
「あ、あのね…」
「ん、何?あははは」
まるで聞こうともしない香蓮と巴菜。
なに、このパターン…おかしくない?こうなったら…
「付き合ったよ…」
「何?聞こえない。あはは」
「だから龍弥と付き合ったの!」
真央は思わず大きな声で言ってしまった。
香蓮と巴菜がニヤリとする。
あれ…?
「やっと言ったか。真央も単純だよね、もったいぶってるのわかってたから、わざと自分から言うようにしたんだよ」
「そうそう、わたしも途中で香蓮のもくろみに気づいたからさ」
真央は思わず額に手を当てた。
やられた…あー悔しい!
「真央さ、そういうのでわたしに勝てると思う?」
そうだった、いつも香蓮のほうが一枚上手だった…
何度同じ過ちを繰り返すんだ、わたしは…
「さてと、自分の口で詳しく話してもらおうかな」
聞かれてもったいぶりながら話す予定が、全部自ら話す羽目になってしまった真央だった。
「へー、そんな感じだったんだ。でもよかったね」
真央は顔を真っ赤にしながら「うん」と返事をしていた。
「あとは巴菜だけだね。わたしも真央も彼氏できたから」
「わたしは焦ってないから、好きな人ができたらでいいの」
巴菜は本当に彼氏を欲しがらない。
こればかりは個人的なことなのでしかたないが、巴菜は普通にかわいいから
彼氏がいないのがもったいないと思ってしまう。
「ねえ、乾杯しようよ!クリスマスと真央が彼氏できたお祝いに」
「いいね、しようしよう」
香蓮と巴菜がグラスに入ったジュースを手に持つので、
真央も少し照れながらグラスを持った。
「真央に乾杯!」
「乾杯!」
なんだかんだ言っても、祝福されるのは嬉しい。
真央にとっては、最高のクリスマスの思い出になった。




