突然の呼び出し
巴菜とたわいもない話をしてまったりとしていたら、
突然スマホが鳴りだしたので誰だろう?と思いながら画面をみて真央は驚いた。
「香蓮?」と巴菜が聞いてくる。
真央は胸がドキドキと高まっていた。
「違う、龍弥から…なんだろう…」
少し手を震わせながら通話を押して耳に当てる。
「もしもし…」
「真央!今すぐ駅まで来てくれ!」
「今すぐって…急にどうしたの?」
「いいから、今すぐだ」
あまりにも唐突すぎて話が見えてこない。
だって衣香とデートでしょ?
「巴菜がいるから無理だよ…」
そういってからチラッと巴菜を見ると、万弁の笑みを浮かべて
手で「行け」とジェスチャーをしている。
「うるせー、とにかく来い!わかったな!」
そこまで言うと、通話が切れてしまった。
龍弥が一方的に切ったらしい。
「意味わかんないんだけど…だって衣香とデートなんだよ、龍弥は」
「いいから行ってきなって」
「だって巴菜を置いていけないよ。ここ、うちだもん」
「真央のおばさんが帰ってきたら、真央はちょっと出てるって言っておくから大丈夫」
巴菜は何度も真央の家に来ているので、雅子もよく知っているから
そう言えば確かに問題はない。
「うー…」
このあとの展開は真央もなんとなく理解していて、
望んでいたことなのに、実際にそれが現実になると恥ずかしくて
素直に行動ができなかった。
「せめて着替えてからじゃないと…」
「その格好、クリスマスにピッタリじゃん」
真央は巴菜を迎えにいったときのままの格好だ。
「服はいいけどメイクとか髪型は…」
「そんなの直してたら時間かかるでしょ、早く行きなよ」
巴菜が背中を押してくる。
しかも、結構本気で。
「わ、わかったよ!行って…くる」
「いってらっしゃい」
どうしよう、ドキドキが止まらない…
緊張しながら真央は家を出て龍弥の待つところへ向かっていった。
辺りを見回すと、いたるところにカップルがいる。
さすがクリスマスイブだ。
そんななか、真央は必死に龍弥を探す。
どこにいるんだろう…
緊張しながらも、目前まで来ると会いたい気持ちが高まっていた。
だが、人が多いせいでなかなか見つけることができないので、電話をかけてみる。
「もしもし、どこにいる?」
「駅を出たところにいるよ」
「もっと具体的に言ってよ。人が多くてわからないよ」
背が低いせいもあって、必死に背伸びをしながら探している。
「東口を出てすぐ左のところだよ」
「は?東口??」
真央がこの駅を利用するのはいつも西口のほうなので、普通に西口を探していた。
これでは見つかるはずがない。
「西口だと思った、すぐ行くから」
電話を切り、足早に東口へ向かう。
なんだか急にムカついてきた。
東口なら最初からそう言ってほしいのに!
すごく無駄なことした、見つけたら文句言ってやる!
そんなことを思いながら、東口に到着する。
出てすぐ左だっけ?えーと…
左に向かって歩き出すとすぐに龍弥を見つけることができた。
向こうは気づいていないので、近づいて声をかける。
「龍弥」
「お、おう…」
龍弥はいつになく照れている。
「なに照れてるの?」
「そ、その…いつもと雰囲気が違うから…」
「あっ…こ、これは巴菜と遊ぶのにクリスマスだからってこういう格好をしてみただけで…りゅ、龍弥と会うためじゃないからね!」
事実を言っているのに言い訳にしか聞こえないのが、よけいに恥ずかしかった。
お互い顔を赤らめて無言になってしまったので、
それを誤魔化す意味で真央は文句を言った。
「それより東口なら最初から言ってよ!西口探しちゃったじゃん」
「なんで西口なんだよ、普通に考えれば東口だろ。こっちには何がある?」
「東口は…あっ」
奥には、きれいなイルミネーションが輝いていた。
そっか…それで誘ったんだ…けど!
「それより、人の都合も聞かないで今すぐなんて急すぎるから!巴菜を家に置いてきたんだよ。まったく…」
「仕方ないだろ、真央と…一緒に見たかったんだよ、イルミネーションを」
そんなこと面と向かって言われたら恥ずかしくて顔を見れなくなる。
「だったら…もっと早く誘ってよ」
「わ、わりぃ…」
またお互い恥ずかしくて無言になる。
こんなことをしていたら先に進めないので、
いい加減イルミネーションを見に行こうと言いたかったが、
その前にどうしても一つだけ確認したいことがあった。




