的中
月曜日、真央は教室に入ってきた龍弥に目を向ける。
その龍弥は真央と目が合うとすぐさま逸らして
そそくさと自分の席へ座ってしまった。
ちゃんと話すと言っておきながら、話そうとする気配がない。
こういうところは、真央の中で龍弥の嫌いな部分だ。
男同士の親友の頃から気づいていたが、龍弥はどうも肝心なところで逃げるというか、
避けようとする傾向がある。
「あれ、絶対に真央から逃げてるよね」
見ていた香蓮も同じことを思ったらしい。
「うん。このまま何も言ってこなかったら問い詰めてやる!」
そんな話をしていたら、男子たちの会話が聞こえてきた。
「1組に転校生がきたらしいよ。結構かわいかった」
「見てきたの?」
「どんな子か気になるじゃん」
どうやら女子の転校生らしい。
こういう会話を聞いていると、いかにも男子っぽいなと思った。
けど、真央にとって他のクラスの転校生などどうでもよかったので、
ほとんど頭には入っていなかった。
昼休みになっても、龍弥は何も言ってこない。
早く真相を知りたい真央は、我慢の限界だった。
立ち上がって龍弥のところまで行く。
「龍弥、ちょっといい?」
「あ、ああ…」
まわりは冷やかしの目て見ているが、そんなことは気にせず龍弥を廊下に連れ出した。
「さて、こないだのことを話してもらおうか」
真央は腕を組み、逃がさないというプレッシャーをかける。
さすがの龍弥も観念したように話し始めた。
「あいつは元カノなんだよ…」
「やっぱりそうなんだ…」
予想通りだったが、少しショックを受ける。
「越野衣香っていって、中2の終わりに転校して、それっきりだったんだけどさ」
ぽつりぽつりと話し始めたので真央も真面目に聞いていたら、
「龍弥くん」という、こないだと同じ声が真央の後ろから聞こえてきたので、
まさかと思いながら振り返ったら、そこには衣香が立っていた。
しかも、同じ制服を着ている。
「お前…なんで…」
龍弥はこないだよりも動揺してる感じだ。
「今日からこの学校なの。昼休みになったから龍弥くんを探しに行こうと思ったら、ちょうど廊下にいるの見つけたから」
そうか、さっき話していた転校生ってこの子だったんだ…最悪!
頭を抱えたい気分だ。
その衣香は、真央を見て言ってきた。
「龍弥くんと仲がいいんだね」
「まあ…それなりに…」
こないだから思っていたが、衣香の口調はとてもおっとりしている。
それでいてニコニコしているので、あまり悪意を感じない分、タチが悪いと思った。
「あのね、悪いんだけどあまり龍弥くんと一緒にいてほしくないな」
突然の一言にカチンときた。
これは宣戦布告ということだろうか?
聞いていた龍弥が慌てだす。
「衣香、何言ってるんだよ!」
「言うよ。だって彼氏がほかの女の子と遊んでるの嫌だから」
この発言に、真央と龍弥の声はもった。
「彼氏!?」
「そうだよ。だってわたしたち別れてないもん」
「おま…中2の頃の話だろ、3年も前だぞ…」
「中2だろうと3年前だろうと、別れないで引っ越したんだから継続でしょ?」
そして再び真央のことを見てくる。
「わかってくれたかな?そういうことだから、あまり龍弥くんにまとわりつかないでね」
こないだ以上に頭がパニックになる。
居てもたってもいられなくなった真央は背を向けて歩き出した。
「お、おい、真央!」
引き留める龍弥の声を無視して、真央は教室に戻っていった。
なんなの?なんなの一体?
龍弥はずっと彼女がいたってことなの?
じゃあわたしは何?ただのバカじゃん!
ただただ、怒りだけがこみ上げていた。




