表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彗星に願いをこめて  作者: 姫
4/122

男との違い

「ったく、香蓮がいると疲れる…あいつはなんでいつでも元気なんだ…こっちは女になったばかりで大変なのによ…」

そうだ…俺、女になったんだ…

しかし、さっきほど悲壮感はない。

鏡を覗き込んで、改めて今の自分を確認した。

ベリーショートの女の子が写っている。

「これが今の俺か…この姿を龍弥とか見たらどう反応するんだろうな…あはは」

なんとなく自虐的に笑ってしまった。

こうなったら…なるようになれ、だ!

気を取り直してテレビを見て深く考えないようにした。

しばらくすると、雅子からご飯だと言われたのでリビングに降りる。

気を使ってくれたのか、好物のカツ丼が置かれていた。

「お、カツ丼!いただきまーす」

一口目を食べ「うん、うまい!」と思わず言ってしまうくらいカツ丼が好きだった。

「ところで制服は男子のにしたんだって?」

「なんで知ってるの?」

「帰り際に香蓮ちゃんが教えてくれたから」

まったく、香蓮はペラペラと…

「当然だろ、女子の制服なんて無理だよ」

そういってまたカツ丼を食べ始めた。

すると、半分くらいでお腹がいっぱいになってきてしまった。

それにあれだけ好きだったのに飽きてきてしまう。

あきらかに食べるペースがダウンしていた。

「どうしたんだ?」

それを見て博幸が聞いてくる。

「いや、なんかお腹いっぱいで…」

「あれじゃないかしら、女の子になって身体も小さくなったから胃袋も小さくなったんじゃない?」

「そうなのかな…?」

「無理に食べなくていいからね」

真央は残すのが嫌いで基本的にはいつも完食していたが、今日は無理だった。

「ごめん、せっかく作ってくれたのに」

「気にしなくていいよ、気づかなかったわたしも悪いし」

「ごちそうさまでした」と言って箸をおき、部屋に戻った。

あーあ、カツ丼が完食できないなんて情けない…

風呂でも入るか…

着替えを持った瞬間真央は立ち止った。

「風呂?」

風呂に入ればこの身体を見ることになる…うわー、見たくねぇ…

けどずっと入らないわけにいかないし…仕方ない。

気を取り直してお風呂場へ向かうと、もう一つ気になっていたことがあった。

トイレ…行きたいかも…

着替えをお風呂場の前に置き、トイレに入る。

えーと…座ってすればいいんだよな…

ズボンとパンツをおろして便座に座る。

力を抜けばいいのか…?

ゆっくりと力を抜くとチョロチョロと尿が出始めた。

ふー…なんか男と感覚が違うな、力を抜いた瞬間に出てきた…

しかも、今も出てるけど一気に放出してる爽快感もしないし…

もう出ないかな…えっと、これ拭かないといけないんだよな…

トイレットペーパーを何重かににして恐る恐る拭き取った。

毎回トイレのたびにこれをやるのか、女って面倒くさいな…

トイレを出て今度こそお風呂に入った。

しかし色が白いな…

身体を洗いながらそう思った。

腕とかすげー華奢だし、そりゃ香蓮に力負けするわな。

すると次に意識は胸に移っていた。

あんま大きくないな…別に大きくなくていいけど。

女の胸は気持ちいい…以前見たアダルト動画ではそんな感じだ。

必ず胸を揉んで女が「あんあん」言っている。

本当に気持ちいいのかな?

興味本位で揉んでみた。

うーん…柔らかいとは思うけどそこまで気持ちよくはないんだな、あれは演技なのか。

自分の身体でそれを認識する。

って、俺は何をやってるんだ!さっさと湯船に入ろう!

洗い流して湯船に浸かる。

「ふー…」

思わず声が出る。

なんだろ、いつもより気持ちいいな…理由はわからないけど。

そんなことを思いながら女として初めてのお風呂を体験した。


香蓮は音楽を流しながらタンスを漁っていた。

どれがいいかな、ワンピとか着させたら楽しそうだな。

けど絶対に嫌がるしなぁ…

探していたのは、真央に着せるためのものだ。

制服は諦めたが、こっちで思いっきり女の子にしようと企んでいた。

思わず歌を口ずさむ。

あ、これにしよう!

手に取ったのは紺のスカート。

これにグレーのパーカーを合わせて…

けど髪がなぁ…あれじゃベリーショートだから似合わないかなぁ…

すると部屋をノックして、母親の由紀恵が入ってきた。

「香蓮、真央くんが女の子になっちゃったって本当?」

「うん、さっき会ってきたよ。本当に女の子だった」

「そう…かわいそうね。できるだけ力になってあげるのよ」

そういって由紀恵は部屋を出て行った。

かわいそう、という言葉が頭に響く。

そうだ、わたしがあんな願いしたから真央は女になったのかもしれない…

スカートをしまい、別の服を取り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ