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第五話
私が覚えている中で一番古い記憶。
空は広くて果てしなく、流れる雲は何故か白くて。
私を照りつける太陽が眩しくって、暖かくって。
私は花だから、咲いたら後は枯れるだけ。
風が気持ちいい。
太陽が頭の真上を過ぎた頃、大きな黒い鳥が飛んで来て、
私をじっと見つめる。
一番星が光るまで。
そうして枯れた私は種を残して
またその種から花になる。
何度も何度も繰り返す。
そのたびに大きな黒い鳥がそばにいてくれて、寂しくなかった。
また会えるかな?
私はここよ?