地獄へ
…地獄へ…
捕まってからもう1日がたった。
もう朝になったのだろう、外から鳥の鳴き声が聞こえてきた。
最悪だ、住民と接触する前にしっかり観察するべきだったよ。
まさかエルフとは、ファンタジーだな~~
僕が捕まった際、槍は取られたが、何故かリュックサックその他諸々は、取られてはなかった。
その代わりなのか、食事は一切出てこない。
石造りでコケが生えてる牢屋の正面には、僕を発見した門番、アベルがたっていた。
寝ている間に担当の人が変わったのだろう。
僕は暇だったので話しかけた。
「アベルさん、ですよね」
「話しかけるな」
アベルは突き放すように言う。
「ここはどこですか?」
「牢屋だ」
「そうではなくて、ここの町はなんていう町ですか?」
「なんだ、知らないのか」
アベルは少し驚いて錆びた鉄格子の前にやってきた。
「ここは我らがエルフの王国、カリーヌ王国最北端最大の町アルバン要塞都市だ。知らないとは言わせないぞ」
アベルは少し自慢げに話す。
「そうなんですか」
「なんだなんだ、最強要塞都市アルバンだと知って落ち込んだか。そうだろう、そうだろう、聖アドリアーナ皇国の侵攻を幾度となく破ってるからなーー」
「はあ」
「驚いたか、まいったか、はっはっは」
僕は思った、この人調子に乗ったら色々教えてくれそうだ。
これは願ってもいないチャンス!
「カトリーヌ王国ってそんなに強いんですか?」
「なんだと! 強いに決まってるじゃないか。世界最大の人族国家、ベルント帝国との戦いでも勝利したからな、人族なんて目じゃねー」
僕はわざと国名間違えたのに全く気付いていない、大丈夫かこの人、いやエルフ。
「どうだ人族至上主義野郎、まいったか」
うん? 聞き捨てならない単語が出たな。
「人族至上主義ってなんですか」
「読んで字のごとく、人族最強とか考えてることさ、人族は基本そう考えてるだろ、最強はエルフに決まってるのに……ブツブツ」
うわーそんなことあるのか、というかこのエルフ、エルフ至上主義者ぽいな、気をつけよう。
そのエルフは、何かに気づいたようだ。
そして不思議そうに聞いてくる。
「そういえばお前、なぜビラリーニョ語喋れるんだ?」
「へ?」
そういえば、なんで言葉が通じてるのだろう?
「へ? じゃねー、エルフの公用語、ビラリーニョ語をなんで流暢に喋れるんだ」
このエルフ、アベルは口調をキツくしながら聞いてきた。
どうしよう。
「あえっと、知り合いにエルフの人がいまして……」
「そうかそうか……、な訳ないでしょ! 隊長がエルフかどうか気づかなかったくせに」
うっ、会話を聞かれてたか、まずったな……
「やっぱお前、皇国のスパイか! ちょうど国境方面から現れたしな」
やばいやばい、これはやばい。
そこに隊長がやってきた。
「おい、アベル! 捕虜と話すな!」
「はい隊長! あとこいつ皇国のスパイっぽいですよ」
「ほう、スパイとは、いい度胸じゃないか」
隊長が獲物を見つけた狼みたいに笑う。
「死ぬまでにいろいろと、喋ってもらおうか」
さっきより状況が悪化した、死ぬまで拷問地獄だろう。
おわった……
時間設定が少しずれてしまったので変更します。
話の大筋は変わっていません。




