接触
…接触…
僕は、簡易テントの中で目が覚めた。
「家のベットの上だったらよかったのに……」
愚痴をこぼしながら、今後の予定を決める。
「はぁ~、とりあえず僕がここで生きてるということは、地球にとても似た惑星なんだろう。ということは、知的生命体、いや、人が居るはずだ、てか居てください。」
僕は心の底から願った。
「人がいると仮定すると、やっぱり下山しないとな~」
そう言いながら、僕はテントを畳んでしまった。
「何があるかわからないから、これ持ってくか」
そう言って、昨日作った槍を持つ。
「よし、行くか」
僕はリュックサックを背負い歩き出した。
~数時間後~
川沿いに歩いていくと、細い砂利道に出た。
「木を切った跡がある。よっしゃこの先に人が住んでいるはずだ」
僕は嬉しくなり早歩きで進んだ。
~1時間後~
砂利道を進むと、舗装されてはいないが車が十分通れる道が現れた。
「おお!、広くなった、ということは通行量が多い証、この先町が必ずある!」
リュックサックの重みを忘れて、今にも走り出しそうだった。
~30分後~
「この坂、案外キツイな」
愚痴を言いながら登ったその先には、町があった、城壁に囲まれた小さい町だ。
石積みの城壁だった。その城門から馬車が入っていった。
「ほぉ~、中世ヨーロッパみたいな感じかな。よし、行ってみよう」
僕は坂を駆け下りて城門に着く。
城門には門番らしき人が立っていた、帽子を被っていて背が高く、顔立ちから白人系ぽかった。
「何語で話せばいいのやら……」
ちゃんと考えてくるべきだった。
一人の門番がこっちに気づいたようだ。
横の門番に話しかけている。
隣にいた門番はこちらを見ると、慌てたように街中に走って行った。
「まずったかな……」
僕はどうしたらいいのか悩んでいると
「おい、お前人族だな!」
「はい?」
急に肩を持たれ、人族だな! と言われても……
僕はパニックに陥った。
「えっと、どうゆうことですか?」
「こっちが聞いているんだ! なぜ人族がここにいるんだ!」
訳がわからなかった、どうしろと言うんだ。
「あなただって、人でしょ、意味がわからない」
「俺が人だと! これを見ろ!」
おじさんは帽子をとる。
するとそこには長くとんがった耳があった。
「……コスプレですか?」
「コスプレとはなんだ! 言い逃れするつもりか!」
そう言えばここは地球とは違う、異世界だった、忘れてた。
「すいません、コスプレのことについては忘れてください、ところでそのとんがった耳、本物ですか?」
「おまえ……、エルフを馬鹿にするのもいい加減にしろよ。アベル! こいつを独房に入れておけ!」
「はい! 隊長!」
ふと周りを見ると、さっきいた門番含めて何人もの兵士が剣や弓を構えて取り囲んでいた。
「え、ちょまって」
「連れてけ!」
おじさん、もとい隊長がそう怒鳴ると、僕は門番の兵士に引きずられていった。
やっときました、異世界チックな、エルフです。




