旅立ちは突然に
…旅立ちは突然に…
山岳部の部活が始まり20分経った頃……
「まさか霧が出てくるとは予想外だ、はぐれないように2名でバディを組むぞ! ヒロ、鈴木を頼む!」
先輩は声を大きくして言った。
それに対して、ヒロは困惑しながら答える。
「鈴木がいないっすよ」
「鈴木がいない? おいセガワ、鈴木どこに行ったか知らんか?」
セガワは笑いながら答えた。
「さっきまで俺の後ろにいたんすけど、かくれんぼすかね」
「とりあえず、霧が濃くなるまでに、鈴木を探すぞ! スズキーーー!!」
「スズキーー!! いないっすかーーー!!」
「スズキーー! かくれんぼしてたらすぐ出てこーーい、スズキーー!!」
……その頃鈴木は……
「センパーイ!! ヒロさーん!! セガワさーんーー!! はぁはぁ」
霧が出て、先輩たちが見えなくなってもう10分たった。
急に気温が寒くなった、霧のせいにしては何かおかしい。
とりあえず、僕は厚手のパーカーを羽織る。
プチ遭難になったみたいだ。
さて、どうしようか。
携帯も圏外だから、下山し先輩たちと連絡を取ることにした。
幸い、登山し始めてから、30分ぐらいしか経っていない、すぐに下山できるだろうと思った。
~歩き始めて2時間後~
「はぁ、はぁ、はぁ、」
おかしい、絶対に何かがおかしい、この山はそんなに広くなかったはず。
そのうちどこか、崖らしきとこに到達した、そして風が吹き、ゆっくりと霧が晴れ、視界が広がった。
夢でも見ているのだろう。
視界に映ったのは、富士の樹海かと突っ込みたくなるほどの森、この先一帯を覆い尽くす木々が見えた。
「………」
僕は言葉を失った。
ほっぺたをつねってみたが、痛かった。
これは単なる夢ではなさそうだ。
「どうしよう……」
とりあえす、僕は本格的に遭難したみたいだ。




